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2011-02-20

〔いんさいど世界〕 アラブ 民衆による世俗の革命

 英紙インディペンデントのロバート・フィスク氏がバーレーン入りし、首都マナマからレポートを続けている。

 第一報。19日付け、マナマでいちばん大きな「サルマニア病院」のルポ。

 18日の軍による武力弾圧の犠牲者たちが運び込まれた救急窓口のルポ。 ⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/robert-fisk-in-bahrain-they-didnt-run-away-they-faced-the-bullets-headon-2219267.html

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 医師たちは叫んでいた。「虐殺だ。これは虐殺だ」

 医師の一人はわざわざフィスク記者を呼びとめ、軍、ひいてはハリファ王家に対する怒りを、こう説明した。「これはイスラエルがパレスチナ人にしているようなことではない。これはアラブ人(バーレーン人)が同じアラブ人にしていることだ。バーレーン政府は自分の民衆にこれをしている」

 目の前で、18歳か19歳の若者が死にかけていた。頭蓋の半分を完全に破壊されていた。治療をあきらめた医師が、こちらを振り返った。医師は泣いていた。涙が血まみれのガウンに迸った。

 虐殺現場から負傷者とともに病院に戻って来た職員のひとりは言った。「バーレーンの民衆は変わった。彼ら(デモ参加者)は逃げなかった。体で銃弾を受け止めた」

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 バーレーン政府は――ハリファ王家は、なぜ平和的なデモを行っていた民衆に対し、実弾を発射させたか?

 フィスク氏は、上記ルポ記事の中で、こう書いた。「おそらくサウジの重い手が、そう離れたところにあるからだろう。サウジ王家はマナマのデモが、シーア派住民の多い、サウジ東部、クウェート隣接地帯に飛び火するのを恐れている」

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 第2報、20日付けのレポートで、フィスク記者はサルマン皇太子が武力弾圧から一転、シーア派との対話路線へと転換したことについて、「ホワイトハウスから電話が何度もかかったからではないか」と書いた。⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/blooms-replace-bullets-in-bahrain-while-the-region-hits-boiling-point-2220132.html

 血の弾圧が招く、民主革命の大爆発を恐れるオバマ政権。

 しかし、「サウジ(王家)はこれと正反対なことをバーレーンの王家にアドバイスして来た」とフィスク氏。

 正反対なこととは、もちろん、徹底的な武力弾圧のこと。

 今後、バーレーンが平和的な民主化の道に進むか、武力での徹底鎮圧に再度乗り出すかは分からない。しかし、どう転ぶにせよ、行き着く先はひとつだ。

 ステータス・クオ(現状)の改変。

 中東・アラブ世界が変わろうとしているのだ。
 民主化運動のサウジへの波及は不可避な情勢ではないか?

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 第2報、20日付けの現地ルポ(上記記事)でフィスク氏は、再開された民衆デモで参加者たちが、×印=バッテンをつけた「サダム・フセイン」や「ムバラク」「ベン・アリ」の写真を手にし、「ハマド王制の打倒」「ハリファ王族の追放」を叫んでいた、と書いた。

 国王を、王族を、サダムらと同列に引きずり下したバーレーンの民衆。 

 デモ隊のシーア派はバーレーンの多数派だ。スンニの王政は、よほどの譲歩をしなければ、生き残れないのではないか。

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 フィスク記者は20日付けのインディペンデント紙(電子版)に、一連のアラブ革命について、示唆に富む解説記事を書いていた。「(西側の)誰もが宗教を非難しているが、これらは世俗の民衆の反乱である」 ⇒ http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-these-are-secular-popular-revolts-ndash-yet-everyone-is-blaming-religion-2220134.html 

 決起した民衆に追放された、エジプトのムバラクも、チュニジアのベン・アリも、イスラム過激派が陰にいると非難して生き残りを図ったが、バーレーン政府(王政)も、「ヒズボラ」(神の党)が――つまり「イラン」のイスラム原理主義者支配者が裏で糸を引いている、と言い出している。

 しかし、それは衛星チャンネルでコメントを続ける「愚かな‘専門家たち’」の発言同様、プロパガンダに過ぎない、というのが、フィスク氏の指摘だ。

 あくまでも民衆のよる、不正義に対する決起。

 そこに「ビンラディン」は存在し得ない、世俗的な民衆革命。

 フィスク氏は皮肉まじりにこうも指摘する。

 「ヨーロッパの独裁者は倒された――ファシストが、共産主義者が――。偉大なアラブ世界で、それが起きないとどうして言えるか?」

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 フィスク記者の言うように、今回の一連のアラブ世界の民衆革命は、歴史として語り継がれるはずのものだ。

 そこに「イスラム」が関わるとすれば、それは「不正に対する戦いこそ、まさにコーランの精神そのもの」だからだ。
 
 「コーラン的精神」に駆動されたアラブ・イスラム世界の民衆革命。

 イスラム主義を超えた、より大きな、覚醒した民衆による、歴史のうねり。

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 フィスク記者は20日付けの解説記事の最後で、世界の読者に対して(つまり、私たちに対して)こう呼びかけた。

 「宗教のことは、しばし忘れよ」と。

 私たちはフィスク氏の忠告に従い、あくまでも民衆の巨大な革命運動として、イスラム世界で続いている人々の決起を見守り続けなければならない。

 そこに、私たちと同じ、不正義に怒る「民衆」を見なければならない。

Posted by 大沼安史 at 08:37 午後 1.いんさいど世界 |

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