〔いんさいど世界〕 2011 初笑い
明けまして、おめでとうございます。
元旦、ブログ書初め。初ブログです。
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さきほど、教え子から初電話がありました。その子は僕のところへ、ここ数年来、ずっと、定期的に電話をかけて来るのですが、初電話でその子の「初笑い」声を聞き、こちらも「初笑い」できて嬉しかった!
彼女は中・高で、教師による体罰と言葉によるいじめに遭い、その時、受けた「傷」がなかなか治らず、苦しんでいた子ですが、昨年あたりから、その「暴力センコー」を「替え歌」で笑い(歌い)飛ばすことができるようになりました。
で、僕が聞かせてもらった、新年の「初替え歌」は、なんとあの「歓喜の歌」!
「笑い」は、心の傷を癒してくれるんですね。
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去年は――去年もまた、この国(日本)の学校で、ひどいイジメが起きました。
この国の教室には、陰湿な憎悪や恐怖が蔓延していて、安心することができない。だから、笑えない。
どうして、こんなことになってしまったのでしょうか?
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愛読する英紙インディペンデントに、英国で子どもたちの「コメディー学校(School of Comedy)」運動が広がっている、という記事が出ていました。 ⇒ http://www.independent.co.uk/news/education/schools/afterschool-comedy-clubs-heard-the-one-about-the-teenage-standups-2167475.html
ローラ・ローソンさんという、「マーヴェリック・パイオニア(型破りな先駆者)が始めたもので、同名(スクール・オブ・コメディー)のテレビ番組を持っているほか、ロンドン西部の劇場で、子どもたちによるスタンダップ・コメディー(漫談・漫才)のショーを開いているそうです。
出演する子どもたちの先生役は、プロの大人のコメディアンたち。
ローラさんの「スクール」は今のところ、一ヵ所だけですが、新年早々、さらに2ヵ所増設する予定。ゆくゆくは英国すべてのふつうの学校に「コメディー・クラブ」をつくりたい――なんて言ってます。
ローラさんに負けずに、ジェームズ・キャンベルさんという男のコメディアンの方も、「子どもたちのためのコメディー・アカデミー」というプロジェクトを、全英で繰り広げている。
インディペンデント紙の記事によれば、英国では、お笑いを正課にしている大学もあるそう(「ソレント大学」)。
さすが、シェークスピアの国のことだけ、あります。
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でも、子どもたちがスタンダップの漫才に挑戦する動きは、別に英国に限ったことではありません。
たとえば、アメリカのニューヨークでだって、「キッズ・コメディー」というのがあって、ちゃんとした劇場で、笑いを連発している。
⇒ http://gocitykids.parentsconnect.com/attraction/kids-n-comedy-at-gotham-comedy-club-208-west-23rd-street-new-york-ny-10011-5805-us
英国のローラさんたちに負けず、アメリカにも「スクール・オブ・コメディー」って、テレビ番組があります。 ⇒ http://www.channel4.com/programmes/school-of-comedy/4od
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英国やアメリカで、こうした「笑いの学校」が成立しているのは、それだけ、子どもたちの間で、「笑い」というものが、大事なものになっているからでしょう。自分の「天職」だと考える子どもたちも出ているそうですから、これは凄い!
社会を、世界を、ユーモアで包み込みながら、笑い飛ばし始めた子どもたち!
インディペンデント紙は、情報化の進展で、子どもと大人を隔てる壁が消え、子どもたちも「コメディーが生れる社会基盤」を大人と共有できるようになっていることを、一因として挙げていますが、鋭い指摘ですね。
子どもたちもまた、大人社会に対する目を、大人と同じに持っていて、大人社会を笑い始めた――。
日本でも、若いお笑い芸人たちが続々とデビューしていますが、コレって、ひょっとしたら、新しい世代による、笑いによる世直し、かも……??
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「初笑い」にまつわる、「笑い」の話題を、もうひとつ、紹介しましょう。
オーストラリアに「ラップ・ニュース」という、人気のお笑い番組があるのですが、この「ラップ漫才」が素晴らしい!
ラップですから、ちゃんと「韻」を踏んでいる。そして、ドンドン、突っ込みをかける。
僕がユーチューブで見たのは、「ウィキリークス」による米国務省機密文書暴露問題をネタにしたものですが、小気味よい風刺がズンズン・ズンズン、リズムに乗って続き、スゴイ楽しい!(たとえば「ヒラリー」を登場させ、「アメリカ」なる「ブランド」が一気崩壊したことを嘆かせているあたり、う~ん、なかなか、やるジャン!)
⇒ http://www.youtube.com/watch?v=hl4NlA97GeQ
「ラップ漫才」――これ、日本でも始まらないかな!
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「笑い」による社会批判、コメディアンによる世直し――といえば、アメリカの社会派コメディアン、ジョン・スチュアートさんに触れないわけには行きません。
この年の瀬、アメリカの連邦議会の上院で、「ジェームズ・ザドロガ法」という法律が成立しました。
この「ジェームズ・ザドロガ」さんという方はニューヨーク市警の方で、あの「9・11」の際、現場で救援活動にあたり、有毒な粉塵を吸い込んで、その後、何の補償も受けられないまま、お亡くなりになった方です。
そのザドロガさんの名を冠したこの法律は、「9・11」の現場で闘い、後遺症で苦しむ消防士や警察官らを支援するため補償を行うというものですが、共和党の議員たちのサボタージュで、廃案になりかけていた。
その問題を、自分のテレビ・コメディー番組で、立て続けに4回も取り上げ、流れを変えたのが、ジョン・スチュアートさんだったわけです。⇒ http://www.nytimes.com/2010/12/27/business/media/27stewart.html?_r=2&src=ISMR_HP_LO_MST_FB
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連帯としての笑い。憎み合い、いじめ合うのではなく、笑いとユーモアで、心と社会を明るく、楽しくする笑い。
日本の学校で「コメディー」を、たとえば、総合学習なんかでやり出したら、きっと、「イジメ」なんかなくなるんじゃないでしょうか?
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2011年――さらに厳しい年になりそうです。
そういう年だからこそ、僕たちは、なおさら「笑い」を忘れず、笑って生きてゆかねばならない。
あの惨憺たる南北戦争を克服し、無利息マネーを発行してアメリカ社会の再生に成功した、かのリンカーン大統領は、こんな言葉を遺しているそうです。
I laugh because I must not cry. That is all. That is all.
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