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2011-01-28

〔コラム 机の上の空〕 荒野の正義 "Go in peace."

 
 私が尊敬申し上げるジョン・ディア神父ら14人の「被告」に対して、米ネバダ州ラスベガスの連邦裁判所が「判決」を下した。

 「有罪」の判決だった。

 米軍クリーク基地への「不法侵入」事件。

 ウィリアム・ジャンセン判事はしかし、14人の被告=「クリークの14人」に対して、同時に執行猶予を宣言した。

 ⇒ http://www.lasvegassun.com/news/2011/jan/27/creech-14-found-guilty-trespassing-judge-says-go-p/

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 ディア神父ら14人は、どんな「不法」行為を仕出かしたか?

 彼・女らは2009年4月9日、クリーク米軍基地に「不法」侵入して、抗議の座り込みを行ったのだ。

 何に抗議して?

 同基地からの無人偵察機(ドローン)を使った遠距離リモート殺戮に対する抗議行動に対して――!

 まるでテレビ・ゲーム化した、米軍の無法に抗議したのだ。

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 ディア神父ら14人に対する裁判は昨年9月に開かれた。

 ジャンセン判事は即決での判決を避け、半年間、考えさせてくれ、と言って、判決を年明けに先延ばししていた。

 ⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2010/09/post-36ed.html

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 その結果がこれだった。有罪――しかし執行猶予!

 問題はこれをどう見るかだが、僕はディア神父らの「実質勝訴」と見る。

 なぜか?

 それはジャンセン判事が各被告に意見陳述を認めた、最後の訴訟指揮でも明らかだろう。

 法の上では「有罪」だが、人道的には「無罪」――これがジャンセン裁判官の(判事としての判決ではなく)人間としての判断だった。

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 ネバダのクリーク基地から、アフガン・パキスタン国境地帯は遠い。

 クリーク基地のオペレーターにとって、戦場はまるでビデオゲームの画面でしかない。

 ドローン搭載のヘルファイア(地獄の業火)・ミサイルの発射ボタンを押したとしても、目の前の人間に銃弾を撃ち込むほどの罪の意識はないだろう。

 ディア神父ら「クリークの14人」は、そのことに――その非人間的なことに、異議を申し立てのだ。

 距離は無限大かも知れない。しかし、いま、ここから、「組織的な殺意」が、「攻撃」が、人々に向かって発せらる、そのこと自体が問題なのだと。

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 ジャンセン裁判官は判決言い渡しの最後に、14人の被告に対して、こう言ったそうだ。

 "Go in peace."  「平和の中で、行きなされ!」

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 「荒野」は、アメリカの今を象徴するメタファーだ。

 そのネバダの荒野の裁判所で発せられた、この一言の持つ、意味は重いと思う。

  "Go in peace."

 「平和の中で、行きなされ!」

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 平和運動を続けてください、と敢えて言った、ネバダの判事の訴えの意味は――日本の私たちたちにとっても、重すぎるほど重い。 

Posted by 大沼安史 at 07:18 午後 3.コラム机の上の空 |

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