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2011-01-07

ウィキリースクの諸君にアピール Chiasso(キアッソ)を追うのだ!

 ウィキリークスの編集スタッフに、本ブログから、一点、アピールしたい。

 貴編集部では、「日本」がらみの「米国務省文書」の最優先解明事項として「捕鯨」問題をお考えのようだが、それ以上に(少なくとも、それと同等に)重要な問題がある。

 それは、Chiasso(キアッソ)問題だ。

 2009年6月、日本円で13兆円相当もの米国債をトランクの底に隠した日本人男性2人組が、イタリアからスイスへ、国境の町、キアッソから越境を企て(スイスの銀行の秘密口座に預金しに)、イタリア官憲に逮捕された事件を、君たちはご存知ないかも知れない。

 しかし、この事件こそ、日本がアメリカの属国になっている事実を――戦後の日本の政治がアメリカによって金で買われていた事実を――いわゆる「M資金」(M資金のMとは舞鶴の頭文字のMだ……大沼)というものの真実を、白日の下に暴き出すものであることを、ウィキリークスの諸君、私は君たちに、是非とも知ってもらいたい。

 「Chiasso」のキーワードで、手持ちの国務省文書のデータを検索したまえ!

 ミラノ領事館、ローマ大使館、東京大使館発の機密電報で、きっと出て来るはずだ。
 
 本ブログで以前、書いたことがあるので、詳しいことは省くが、「M資金」とは、戦時中、日本軍が中国で略奪した財宝=金銀その他貴金属(タングステンを含む)を原資とし、アメリカが米国債に換え、戦後日本政治の操作資金としていたものだ。

 敗戦直後、日本海軍は、横須賀に備蓄していた財宝を、旧オランダの病院船に積み込み、再起を期して舞鶴沖に沈めた。

 それを日本側の何者かが占領米軍に通報、米側が潜水艦を使って沈船から回収、「M資金」としたのである。

 これは英経済紙(FT)のジリアン・テット東京支局長(当時)が明らかにしたことだが、「M資金」の残金は米国債のかたちで、1960年代に日本に返還されていた。

 それがなぜ、キアッソを通じ、スイスに運び込まれようとしたのか?

 これは私(大沼)の推理だが、米側はこの「M資金(の残金)」を、ウォールストリート救済資金に充てようと日本側に「返還」を要求(これには、そう言うだけの根拠がある)、これに反発した当時の自民党の安倍政権(中川昭一氏も含む)が、民主党への政権交代を視野に入れながら、スイスの秘密口座で資金の保全を図ったのがまたも何者かの通報によって米側に察知され、キアッソで「拿捕」された――これが真相ではないか、と思われるのだ。

 事件が発覚当時、イタリア当局が押収した米国債はニセモノとのキャンペーンがなされたが、ニセモノなら有価証券偽造・同行使の罪で、日本人2人組は訴追されなければならないが、ウヤムヤにされ、慌しく幕が引かれた。

 日本の主流マスコミはなぜか、見ザル・言わザル・聞かザルを決め込んでいる。

 だから、私としては、君たち、ウィキリークスに期待をかけるのだ。

 キアッソの巨額米国債押収事件を、ぜひとも暴いてほしい。

 (この問題については、本ブログの ⇒  http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2009/08/post-e3d8.html を参照)

 なぜ私が突如、こんなことを言い出したかというと、それは、君たちウィキリークスが暴露した国務省文書で、2007年、アメリカの財宝ハンターがポルトガル沖で、スペインの沈船(19世紀の初め、大英帝国海軍が撃沈)から5億ドル相当の金銀を引き揚げ、その帰属をめぐってスペイン政府と争っていることが明らかになったからだ。

 米政府が自国の財宝ハンターの肩を持つどころか、スペイン政府側に立ち、その見返りに、ナチスがかつて没収したカミーユ・ピサロの絵画を、現在、所蔵するマドリッド美術館から、カリフォルニア在住の元所有者へ返還する話を進めていることが、君たちウィキリークス諸君の暴露と、ニューヨーク・タイムズの追跡取材で明らかになったからだ。
 ⇒ http://www.nytimes.com/2011/01/07/us/07treasure.html?_r=1&partner=rss&emc=rss

http://www.oceantreasures.org/blog.html?tag=treasure%20hunting

http://www.independent.co.uk/news/world/politics/why-is-there-a-storm-brewing-over-the-right-to-plunder-shipwrecks-1700207.html

 してみればなおさら、舞鶴港沖に沈められた「M資金」をめぐるミステリーも、国務省機密電の底に眠っているのでは……これが私の確信のような直感であり、否定しがたき思いである。

 日本の戦後の過去と現在を解く鍵は、キアッソにあり!

 そしてその「キアッソ」をめぐる真実は、ウィキリークスの手にある「国務省文書」の中に眠っている……。

 もう一度、ウィキリークスの諸君にお願いする。

 「捕鯨」はいったん棚上げして「Chiasso」を追いかけてくれ!

 そこに「M資金」の謎が――日本の戦後史の真相が眠っているのだから!

 (「M資金」=「マイヅル資金」についてお知りになりたい人は、拙著、『NONOと頑爺のレモン革命』(本の森・刊)をお読みになっていただきたい。⇒ http://homepage2.nifty.com/forest-g/book/4196.html )

 

Posted by 大沼安史 at 07:40 午後 |

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