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2010-12-03

〔いんさいど世界〕 グローバル調査報道の司令塔としての英紙ガーディアン

 今回の英紙ガーディアンによる一連の「ウィキリークス報道」を、同紙電子版で追いかけていて思うことがある。

 それは、同紙が事実上、「調査報道」のグローバルな司令塔を果たしているのではないか、ということだ。

 調査報道を世界的にリードするガーディアン。

 3年前、このブログで、「鳩の王子さま」という記事を書いた。⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2007/07/post_b711.html

 英国とサウジとの兵器取引にからむスキャンダル疑惑を紹介した記事。(サウジの王子が登場する「ヤママ疑惑」と呼ばれるスキャンダル。ヤママとはアラビア語で「鳩」の意味――。当時は日本も、「星の王子さま」再翻訳ブームが沸騰していた)

 そのとき、同紙で「ヤママ疑惑」の調査報道にあったていたデイビッド・リー氏が、今回の「ウィキリークス報道」で、「調査報道局長(investigations executive editor )として指揮をとっていることを知って、うれしく思った。

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 デイビッド・リー氏は、ガーディアンで調査報道にあたりながら、大学で調査報道を教えている人(ロンドンのシティー・カレッジ。アンソニー・サンプソンの名を冠した教授職に就いている)。
 あのアンソニー・サンプソンに負けない、輝かしい調査報道の実績を残して来た人だ。デイビッド・リー氏 Wiki ⇒ http://en.wikipedia.org/wiki/David_Leigh

 そのリー氏に、「デモクラシーNOW」のエイミー・グッドマンさんがインタビューしていた。 ⇒ http://www.democracynow.org/2010/11/30/we_have_not_seen_anything_yet

 エイミーさんの「ツッコミ」に、デイビッド・リー調査報道局長は、慎重に言葉を選びながら、こんな「事実」を明らかにしていた。

 今回の「ウィキリークス機密電」の「現情報」はもちろん「ウィキリークス」から入手したものだが、ガーディアンのリー氏らはそのコピーをニューヨーク・タイムズ紙に渡した、というのだ。
 過去の「イラン・アフガン暴露」でウィキリークスは、ニューヨーク・タイムズにも直接、原情報を提供していたが、今回は、どうやら「ガーディアン」が仕切る形でデータ提供が行われたらしい。

 そうであるなら、それだけ「ウィキリークス」側に、「ガーディアン」の「姿勢」(あるいは保秘の度合)が(より)評価されていたことになる。

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 さて、そんなリー局長によれば、ガーディアンでの「米国務省機密電」の解析は、まさに始まったばかり。
 手付かずの機密の山が、リー局長の手元で、まだ眠っている。

 それはひとつずつ、目を覚まし、世界を揺るがして行く……そんな、「嵐のような今後」を予告するような暴露記事が、またもガーディアンの電子版に出た。

 潘基文事務総長ら国連指導部のメンバーの「DNAを採取せよ、虹彩データを取得せよ」といった国務長官からの命令の背後に、実はCIA(米中央情報局)が潜んでいて、「これこれしかじかの情報を集めろ」とリストを作って指南していた、というからあきれる。⇒ http://www.guardian.co.uk/world/2010/dec/02/wikileaks-cables-cia-united-nations

 国連指導部、他国外交官の「クレジットカード・ナンバー」などの取得命令が国務長官から出されていたことは、ニューヨーク・タイムズの「機密電」解析ですでに明らかになっていることだが(⇒ http://www.nytimes.com/2010/11/29/world/29spy.html?_r=1 )、スパイ組織の元締め、CIAが指南役についていたとは……。

 「国務省の軍事化」(ペンタゴンの出先化)は今に始まったことではないが、「国務省の諜報組織化」(CIAの小間使い化)には、開いた口がふさがらない。

 それにしても、クレジット・カードのナンバーの取得は、それによって銀行口座の残高を突き止め、「買収」工作に使えるから分かるが、DNAはいったい何に利用するのだろう?

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 ガーディアンは今回、「ウィキリークス」の原情報をニューヨーク・タイムズに渡したが、それは「ペンタゴン文書」を暴露したタイムズ紙に対する信頼を崩していない証拠であろう。

 そのガーディアンから、原情報の譲り渡しを受けた日本の報道機関は……残念ながら、ないようだ。

 御用新聞に成り果てているのだから、仕方ないことだが……。

 でも、今からでも遅くはない。

 ガーディアンのように、社内に独立した調査報道局を立ち上げ、リー氏のような信頼できるジャーナリストを起用してロンドンに派遣し、ガーディアン側に日本がらみの情報の提供を求めてはどうか! 

 日本の政府(外務省)と一緒になって、「TOKYO大使館発」はいつ出る、とハラハラどきどき、ビクついているばかりが能であるまい。

Posted by 大沼安史 at 09:34 午前 |

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