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2010-12-11

〔いんさいど世界〕 ハイチで羽ばたく「空飛ぶ電波マネー」

 年が明けると、間もなく、「ハイチ大地震」1周年(1月12日)の記念日。

 「激動の2010年」の幕開けを告げるような、ものすごい地震でした。

 で、この「ハイチ地震」、実は不思議な地震だったそうです。

 震源は「エンリキロ断層帯」という大活断層、というのが、当初の定説だったそうですが、米航空宇宙局(NASA)のその後の調べで、原因は「地表に近い複数の断層の地滑り(slip on multiple faults)」と分かった。
 ⇒ http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2010-337

 ベネズエラのチャヴェズ大統領が、ロシア海軍筋の話として、アメリカの「地震兵器」の誤発射説をぶち上げていましたが、関係あるのでしょうか?

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 いきなり「余談」から入ってしまいました。
 
 早速、本題に――。

 ハイチでは外国のPKO部隊(日本ではありません!)によって持ち込まれたと見られるコレラが蔓延する「二次被害」も起きて、まだまだ大変な状況が続いてますが、歳末助け合いの年の瀬ですから(?)少し心が晴れる――温かくなる――そして、私たちの「希望」にもなる、「いいお話」を紹介したいと思います。

 ハイチで羽ばたく「空飛ぶ電波マネー」のお話です。

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 これ、実は、僕の尊敬する、ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、ニコラス・クリストフ記者が、ハイチまで家族連れで出かけて行って紹介した話。自ら体験してビックリした話です。 ⇒ http://www.nytimes.com/2010/12/05/opinion/05kristof.html?_r=1

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 アメリカの西海岸の都市、ポートランドに拠点を置く、「マーシー・コープス(慈悲団)」という支援団体が、ハイチで進めている、「T-キャッシュ」という震災難民救援プロジェクトがあります。

 現地の「ヴォワラ」というケータイ通信会社と、「ユニ・バンク」という銀行と連携して動かしている支援システム…………これが、実にシンプルで、それでいて、なかなかの優れもの、なんです。かんたん――だけど、すごい!

 「T-キャッシュ」の「T」とは、テレホンの「T」です。「キャッシュ」は「現金」。

 でも「T」のテレホンは電話線のある回線電話ではなく、電波で飛ばすケータイ電話。「キャッシュ」も、現ナマというより、「マネー」の意味。

 そう――被災者のケータイに、電波で義捐金を送金するシステムなんです。
  ⇒ http://www.mercycorps.org/countries/haiti

 ハイチの田舎には銀行の窓口も、現金書留を届けるシステムもありませし、手渡しも、記録をとるなど、手間のかかることですから……。

 ケータイに「送金」する。
 月に1度、一斉に送金する。1人40ドル相当。
 (ハイチの通貨はグールドといいます。100グールド=2。5ドル)
 自分のケータイへの入金を確認したら、早速、ケータイで買い物をする。売買のデータはケータイの電波で送られ、その場で決済が行われる…………。

 〈ニコラス・クリストフさんはハイチのサンマルコという町の、電気のない「ロージー・ブティック」という雑貨屋さんで、ケータイで食料品を「買えた」ときの感動をコラムに書いています〉

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 つまり、ケータイがお財布になっているわけ。ハイチの現地語、クレオール語では「ブゼリエ」――英語では「モーバイル・ウォレット」――代わりに、ケータイが使われているわけです。

 日本でもプリペイドとかなんとか、「ケータイ・お財布」が結構広がっていますが、ハイチの「ブゼリエ」がすごいのは、買い物に使えるだけでなく、「貯蓄や送金」にも使えることなんです。

 彼女、どうやら最近、生活苦で困っているらしい……そうだ! 「ブゼリエ」で送金してやろう!――なんてことが、一発でできちゃう!
 (オレオレ詐欺なんか、要警戒ですが……!)

 秘密の暗証番号で操作しますから、万が一、「ブゼリエ」を盗まれても大丈夫。

 「現金」だと、宵越の金は持たない、とか何とか言って、パッパ、使っちゃいますが、「ブゼリエ」の「残高」としてあると、貯めよう、とか、倹約しようか、ということにもなる。

 そう、その通り。ハイチの人々の生活を守る、正義の味方――ケータイの電波に乗って、ハイチの空を飛び交う「電波マネー」、颯爽と登場!

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 こうなると、銀行の出先がない地域に住むハイチの震災難民の人も「マネー」の恩恵に預かれるわえですが、「マーシー・コープス」では単なる義捐金の支給だけでなく、労働に対する報酬の支払いにも使っているそうです。

 たとえば、道路の復旧工事に携わった人の「ブゼリエ」に給料を払い込んでいる!

 恩恵を受けている被災世帯は、すでに8700世帯に達しているそうです。

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 こうしてハイチの人々の生活の建て直しに――地域経済の復興に、「空飛ぶ電波マネー」の大活躍が始まっているわけですが、考えてみれば、これって、私たちの日本でも、大いに威力を発揮しそうなシステムではないでしょうか?

 たとえば、銀行に口座のない人、なかなか銀行まで行けない人、近くに銀行も郵便局もない人――って、いっぱい、いますよね。

 ケータイがカードにも、決済手段にも、預金口座にも、振込み送金機にもなるなら、こんな便利なことはありません。

 たとえば、ホームレスの方々に、ハイチの「ブゼリエ」の日本版「ブゼリエ・ジャポン」(ハイチはフランス語も公用語のひとつです……)を支給し、生活支援のお金を「電波送金」してあげる、とか、一人暮らしの寝た切りの人に生活保護費を「ブゼリエ・ジャポン」で送金するとか……。

 これって地域の銀行のサービス(業務)としても成り立つような気がするんでが、いかがでしょうか?

 ハイチでPKO活動をする自衛隊のみなさんに「ブゼリエ・ジャポン」を支給すれば、日本から特別ボーナスだって「送金」できる。

 クリストフさんは、コラムの見出しに、ここに「未来」がある――と書いていましたが、ここにはもしかしたら、私たち「日本」の未来の姿がある、のかも知れません。

Posted by 大沼安史 at 10:33 午前 1.いんさいど世界 |

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