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2010-12-18

〔いんさいど世界〕 「ブラボー中隊」に捧ぐ

 米軍の「星条旗」紙(電子版)に、アフガニスタンで自爆テロに遭い、瓦礫に埋まって圧死した6人の米兵の追悼式の記事が出ていた。⇒ http://www.stripes.com/bravo-company-bids-a-tearful-goodbye-to-fallen-friends-1.129117

 あの「ブラボー中隊(Brabo Company)」の兵士だった。

  記事に生き残った兵士が、仲間の死を悲しむ写真が添えられていた。
 もうじき、クリスマスだというのに……。

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 あの「ブラボー中隊」!

 ウィキリークスが暴露した、2007年7月12日、ニューバグダッドでの、米軍ヘリによるイラク住民機関砲掃射ビデオのあの現場に、地上部隊として駆けつけたのが、この「ブラボー中隊」だった。

 3年前、イラクの前線にいた「ブラボー中隊」は、アフガニスタンの前線にいた!
 ⇒  http://onuma.cocolog-ifty.com/blog1/2010/10/post-0722.html

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 今月(12月)12日午前9時少し前、ストロング・ポイント・デワール前線基地――。

 前夜遅く任務に就いていた中隊の半分がまだ寝ているときだった。

 一台のヴァンが基地に向かって来た。90メートルまで近づいたところで、見張りの米兵が気付いた。

 アクセルを踏み込み、突進して来たヴァンは、基地から20数メートルの距離で爆発した。

 基地の建物は爆風で崩壊。

 難を逃れた兵士が必死に瓦礫を掘り起こしたが、この6人だけは救い出せなかった。

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 追悼式は17日にあった。

 「星条旗」紙の記事は、こう書いている。

 「6つのヘルメットと6足のブーツが一列に並んでいた」

 そして、「すすり泣きが漏れた。続いて、つかの間の笑いが……」とも!

 悲しさに耐え切れない誰かが、苦し紛れの冗談でも飛ばしたのだろうか?

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 「ブラボー中隊」は11月半ばにも自爆テロ攻撃を受け、3人の仲間を失っている。

 「星条旗」紙は、米軍の準機関紙的存在だが、これはいかにも「乾いた」記事だ。

 亡くなった兵士の一人は「沈黙のプロ」だった、と書く、「星条旗」紙の従軍記者よ!

 「ブラボー中隊」の兵士たちの神経は、イラク、アフガンの転戦の中で、引き裂かれ、ささくれ立ち、擦り切れ、麻痺してしまっているのではないか?

 そうでなければ、「すすり泣き」のあとに「笑い」が弾けるわけがない……。

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 イーサン・マッコードさんは、2007年7月の米軍ヘリ機関砲掃射現場に「ブラボー中隊」の一員として駆けつけ、蜂の巣になったヴァンから、男の子を救い出した人だ。

 マッコードさんは退役後、「オペレーション・リカバリー(回復のための作戦)」という名の復員兵の団体を立ち上げている。 ⇒ http://www.ivaw.org/operation-recovery

 イラク、アフガンの前線で傷ついた兵士の心を癒し、戦争に反対する、マッコードさんら「オペレーション・リカバリー」の復員兵たち。

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 あのウィキリークスの暴露ビデオが何よりも明確に示したように、機関砲を撃ちまくるヘリの兵士も、無線で命令を発する指揮官も、常軌を逸しているのだ。

 戦死した仲間の追悼式で笑い声を上げる兵士もそうだが、撃ちまくり続ける兵士もまた、癒されなければならない。

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 「星条旗」紙の同じ紙面(電子版)に、同紙オンブズマンの、「苦言」が載っていた。

 国防総省(ペンタゴン)が、同紙の記者に、ウィキリークスの「暴露」した記事がニューヨーク・タイムズなどに出ても、見てはならない、との「禁止令」を出したことに対する「苦言」だった。

 米軍の兵士だけでなく、米軍を取材する準機関紙の記者までも「目隠し」するペンタゴン!

 これまた、正気の沙汰ではない。

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 「ブラボー中隊」!

 ブラボーとはあのブラボー、いいぞ、素晴らしい、のブラボーだ。

 「戦争の家=ペンタゴン」を本丸とする米軍事権力=軍産複合体が叫ぶ「ブラボー」の中に、兵士の心の痛みや苦しみ、悲しみに対する思いはカケラもない。

 兵器の発注と受注、軍事予算、売上の絶えざる拡大――があるだけだ。

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 生き残った現役の「ブラボー中隊」に、君たちの先輩の、マッコードさんの言葉を捧げたい。

 マッコードさんは、「兵士たちにも癒されるという基本的人権がある」と言っているのだ。

 自分たちが癒されるためになすべきはひとつ――それは「戦争」を止めることである。 

 そのために、事実を直視し、真実を発言することである。

Posted by 大沼安史 at 09:38 午後 1.いんさいど世界 |

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