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2010-12-17

〔いんさいど世界〕 エルズバーグ博士の「暴露」

 ホワイトハウスの周辺は白一色だった。雪が降り積もった16日、ホワイトハウスの鉄柵に自らを鎖で縛り付ける、「平和のための復員兵」主催の抗議行動が行われた。
 ユーチューブ ⇒   ⇒ http://www.youtube.com/watch?v=aUtFF9R6808&feature=player_embedded#!

 その中に、「ペンタゴン文書」を暴露した、ダニエル・エルズバーグ博士がいた。

 79歳。

 お元気そうで、すこしほっとした。

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 「Peace Now(今すぐ平和を!)」――自ら鎖に繋がれ、「人間の鎖」となって結束した参加者たちは、この単純な、当たり前の言葉を繰り返し叫んだ。

 エルズバーグ博士の左隣にいた女性が、歌い出した。未来は、必ず、そうなる、あの We Shall Overcome 。

 参加者たちは3週間前に、オバマに会見を求める手紙を出していた。拒否されていた。

 抗議の意思をこめて、「今すぐ平和を!」の要求を書いたハガキをホワイトハウスの庭に投げ込んだ。

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 参加者たちは逮捕された。一人ずつ、連行された。

 エルズバーグ博士が連行される模様を、平和運動サイト「コモン・ドリームズ」のアシスタントがカメラに収めた。

 ⇒ http://www.commondreams.org/further/2010/12/16-1

 前から、後ろから。

 微笑さえ浮かべながら、連行されるエルズバーグ博士。

 そこに、ホワイトハウス前の寒さに震え上がらない、温かな、確信のようなものを見るのは、私(大沼)だけではないだろう。

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 「人間の鎖」プロテストに先立ち、近くの公園で開かれた集会で、エルズバーグ博士は、こう語った。⇒ 
 http://www.commondreams.org/headline/2010/12/16-2

 「私はブラドレー・マニングは、この国の英雄だと思う。そして、ジュリアン・アサンジは、間違いなくオーストラリアの英雄だ。彼らをテロリスト呼ばわりすることは誤りであるばかりか、不条理そのものであり、彼らの名誉を毀損するものだ。2人とも、私以上に、テロリストではない。そして私は、テロリストではない」

 博士はとくにブラドレー・マニングさんについて、自分の行為と共通性があると指摘し、連邦議会の一部の議員たちが叫んでいるように、もしマニングさんが国家に対する裏切りで処刑されなければならないというなら、アメリカが英国の植民地だった以来、同じアメリカの同胞に情報を伝えたことで処刑される最初のケースになる、と厳しく批判した。

 今回の「国務省機密電」の暴露についてエルズバーグ博士は、「ゴシップ」に目を奪われ、ウィキリークスが「開示」した、ほんとうに重要な問題を見落としてはならないと強調。

 たとえば、米軍がペンタゴンの「否定」にもかかわらず、パキスタンで地上戦に従事している事実が「開示」されたことは、これ以上、危険極まりない――ほかにこれ以上、重要な問題はないくらい大変なことで、これによってパキスタンの不安定化が一気に進み、「イスラムの核」がアルカイダの手に落ちないとも限らない――と警告した。

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 なるほど、そうなのだ。

 ウィキリークスではさまざまことが暴露されているが、最大の問題は何と言っても「戦争」なのだ。今すぐ、「アメリカの戦争」を終えることなのだ。
 
 エルズバーグ博士の「ペンタゴン文書」が、ベトナム戦争の終結へ向けて貢献したように、今回のウィキリークスを通じた暴露でもって、「アフガン・パキスタン戦争」は終結に導かれなければならない……。

 だから、ホワイトハウスの前で、参加者は叫んだのだ。
 「今すぐ平和を!」と。

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 ウィキリークスによる、ネットを通じた暴露の連鎖と伝播は、エルズバーグ博士の時代にはなかったことだ。

 アメリカの軍事権力は、グローバルな規模で広がる怒りと批判によって、実はいよいよ、追い詰められている。

 そのことを承知していて、こんども「戦争をやめさせることができる」と見通しているから、そのこともあって、たぶんエルズバーグ博士は、連行されながら微笑んだのだ。 

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 エルズバーグ博士は、雪のホワイトハウスの前で、自らを鎖に繋ぎ、逮捕されたことで、あの「ベトナム戦争」の過ちと悲劇を「アフ・パク戦争」の「現在」に繋ぎ、その愚かしさを「暴露」して見せた。

 このエルズバーグ博士の「暴露」もまた、ウィキリークスの暴露に、負けずとも劣らないものである。
 
 まるで悪魔祓いの舞台のような、白一色のホワイトハウスの前で、「オバマの戦争」は、エルズバーグ博士の「歴史の開示」によって、「ベトナム戦争の悪夢」に呪われたものになった。

Posted by 大沼安史 at 08:05 午後 1.いんさいど世界 |

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