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2010-11-16

〔いんさいど世界〕 使い捨て兵士

 「兵士」は「使い捨て」か?
 アメリカの復員兵の間から、こんな疑問が――というより、告発が提起されている。

 負傷し、使い物にならなくなった兵士は、余計な(医療費の)金食い虫――戦闘による後遺症を、「持病」にしてしまえば、米政府として補償する必要はない……余計な金を使わずに済む――

 こんなあさましい事態が、いま現実の問題として、アメリカで進行している。

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 ことし9月15日、連邦議会下院の復員兵委員会で、チャック・ルーサー軍曹が証言を行った。⇒ http://www.youtube.com/watch?v=kZd322Wyix8&feature=player_embedded

 2007年、イラクでのこと。砲撃を浴びて重傷を負い、視聴覚にダメージを受けた。
 
 ルーサー軍曹は12年の軍歴の持ち主で、戦功により22回、表彰された根っからの軍人だ。

 負傷して基地に戻ると、軍医が、目が見えなくなったのは、「個人的な不全(personal disorder つまり持病)」によるものだとして、診断に同意する確認の署名をするようルーサー軍曹に求めた。

 持病なんだから、軍に治療費を持つ責任はない、との勝手な「診断」。

 ルーサー軍曹が署名を拒否すると――クローゼットに1ヵ月も放り込まれ、眠ることさえもできない状況に追い込まれた。

 そして、やむなく「同意」の署名をすることになる……。

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 このルーサー軍曹の、悪夢のような体験が、「ネーション」誌で取り上げられると(⇒  http://www.thenation.com/article/disposable-soldiers )、連邦議会としても放置しておくわけにも行かず、リーサー軍曹の証人喚問が行われた。

 ルーサー軍曹によれば、同じような事例は、2001年以降、2560人に達し、戦傷を持病化することによって、軍当局は1420億ドルもの治療費負担を浮かすことができたという。

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 ひどい話ではある。

 使い捨てされる兵士たち……。

 ルーサー軍曹は、ネットで「DISPOSABLE WARRIORS (使い捨て兵士)」というサイト(⇒  http://disposablewarriors.com/
 )を立ち上げたが、これほど痛烈な軍上層部批判=体制批判はない。

 しかし、これはなにも米軍に限ったことではない。「使い捨て」は――捨て石は、旧日本軍でも、フツーにあったことだ。

 しかし、ネットで、その実態を告発したのは、ルーサー軍曹らが初めて。

 日本の自衛隊員も(そして家族の方々も)、この事実を――この真実から目を逸らさず真正面から直視すべきである。

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 戦後65年も経っているのに、日本兵の遺骨収集も進んでいないのは、一銭五厘の兵士の、鴻毛よりも軽い、命の証左であるだろう。

 戦争とは何か?

 それは「行かない人がさせたがる」ものだ。

 行かない人がさせたがる、華々しき兵器の消耗戦=消費戦以外のなにものでもない。

 「9条」の存在理由は、このことだけで足る。

Posted by 大沼安史 at 07:11 午後 1.いんさいど世界 |

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