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2010-09-11

〔コラム 机の上の空〕 「9・11」を超えて アメリカ・アフガン 女性の連帯

 きょう、9月11日、米国東部、マサチューセッツの天気予報は、Sunny & Nice 。初秋の風を切るサイクリングには、絶好の日和である。

 マサチューセッツ中部、ニーダム(Needham)で、きょう9月11日、周遊チャリティー・サイクリングが行われる。主催は、地元ニーダムの市民団体、「11日を超えて(Beyond the 11th)」。

 アフガンの未亡人女性たちのための資金援助を呼びかけるバイク・ライドである。

 そう、きょう「9・11」の、この日に。
 「9・11」を超える希望を、いまひとつ切り拓くために。

 ☆ ☆ ☆ 

 「11日を超えて」は、ニーダムに住む、スーザン・レティクさん(42歳、ユダヤ系アメリカ人女性)を中心に、2003年に結成された。

 スーザンさんは「9・11」未亡人。アメリカン航空11便に搭乗していた夫を「同時多発テロ」で失った時、おなかに中に3人目の、7ヵ月の赤ちゃんがいた。

 悲嘆と絶望の日々。

 友人に、見知らぬ人々に励まされる中で、スーザンさんは、アフガンにも同じような「戦争未亡人」がたくさんいることに気付く。

 それが転機になった。悲嘆が共感に、絶望が希望に変わる転機はそのとき生まれた。

 2003年に、近くに住む同じ「9・11」未亡人のパティーさんと知り合い「9月11日を超えて行く」運動を始めた。

 ☆ ☆ ☆ 

 現在、およそ200万人に上るといわれる、アフガンの「戦争未亡人」たちが置かれる状況は深刻だ。

 子どもは平均、4人以上。みな、貧困と絶望にさいなまれている。 

 そうしたアフガンの未亡人女性を、どうやって助けるか?

 収入を得、家族を支えながら自立できる道の確保を援助する……それがいちばん。

 ニワトリのひなを育て卵を売る。
 カーペットを織って売る。
 サッカーのボールを縫って売る。

 「11日を超えて」は現在、1000人以上のアフガン人女性の「就業」を支援しているそうだ。

 ☆ ☆ ☆ 

 支援を開始して3年後の2006年、スーザンさんはアフガンに初めて足を運んだ。
 そして、現地の女性と初めて、面と向かって、話し合い、励まし合った。

 その模様を記録したドキュメンタリー映画、「信仰を超えて」の紹介トレーラーを「11日を超えて」のサイトで観て、「11日を超える」意味を教えられた気がした。

 戦争に引き裂かれた、貧困と絶望のアフガンの大地でも、女性たちは命を育みながら生きていた!

 その真実との直面は、スーザンさんの(そしてアメリカ人たちの……あるいは私たちの……)心のどこかにまだ残っていたかもしれない、見当違いの憎しみを消去し去るに十分なものだった。

 「戦争」で夫をなくしたアフガン人女性と、「テロ」で夫を亡くしたアメリカ人女性と、そこにどんな違いがあろう。

 ☆ ☆ ☆

 きょう「9月11日」のチャリティー・サイクリングは、ニューヨークの「グラウンド・ゼロ」からニーダムへ、3日がかりで自転車をこぎ続けたチャリティー・ライドの、仕上げのイベントだそうだ。

 「11日を超えて」は今、バーミアンに「竜の谷・婦人センター」を建設する計画を進めており、そのための資金集めが、きょうのニーダム周遊サイクリングの目的。

 スーザンさんと一緒に、長男のベン君(12歳)もサイクリングに参加するが、ベン君はベン君なりに、新しいプロジェクトを考えている。

 それは、アフガンの女性たちが縫い上げたサッカーボールを震災被害を受けたハイチの子どもたちに贈るプロジェクト!
 (アフガンの未亡人たちが縫ったサッカーボールのブランド名は、「ドスティ」。現地の言葉で「友だち」の意味だそうだ)

 ○ ○ ○

 スーザンさんたちの、「竜の谷・婦人センター」に続く、次なる目標は、アフガン未亡人のためのマイクロ・ファイナンス(小口融資)事業と、助産婦さんの養成事業の立ち上げだ。

 大地を踏みしめ、前へ向かって、着実な歩みを続ける、「11日」を超える運動!

 ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ニコラス・クリストフさんが、「11日を超えて」運動について、こんなふうに書いていた。

 それは「最も思いがけなく、最も人々を励ます」ものだと。

 ほんとうにその通りだと思う。

 スーザンさんはクリストフ記者に、「私たちだけでアフガンを変えれるなんて思わないけど、でも、どこからか、変えることを始めなきゃ」と語っていたが、それも、ほんとうにその通りだ思う。

 「11日を超える」運動は、女性の連帯の中で、何事かを何処からか始める――テロをもとから断つ、命と平和の運動である。

〔参考〕

http://www.nytimes.com/2010/09/09/opinion/09kristof.html?src=me&ref=general

http://www.beyondthe11th.org/

http://www.boston.com/news/local/massachusetts/articles/2010/08/04/two_911_widows_raise_funds_to_help_bereaved_afghan_women/
  http://www.boston.com/yourtown/news/needham/2010/08/needham_woman_to_receive_presi.html
  http://www.boston.com/lifestyle/family/articles/2010/08/21/911_widow_susan_retik_shares_a_bond_with_afghan_women/

http://www.bpeace.org/

http://www.dostisoccer.com/

Posted by 大沼安史 at 08:33 午前 3.コラム机の上の空 |

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