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2010-09-30

〔いんさいど世界〕 日本の政治家の言葉 アメリカのコメディアンの言葉

 「あかんなほんとに政権」が最近、異常なほど「敬語」を連発し出した。

  これはどうしたわけか?

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 〔サンプル その1〕 「中国はお変わりになっていなかった」(仙谷官房長官)
 サンケイによれば、仙谷官房長官は29日の記者会見で、尖閣列島周辺海域での中国漁船による「体当たり攻撃」事件にふれ、中国は……近代化され、随分変わってきていると認識していたが、あまりお変わりになっていなかった」と述べたそうだ。

 同長官は28日の会見でも、東シナ海・ガス田付近を航行中の中国の海洋調査船について「周辺にいらっしゃることは確認している」とお述べになっていたそうだ。
 ⇒ http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100929/plc1009291808012-n1.htm

 〔サンプル その2〕 「報告を仙谷官房長官からいただいている」(菅直人首相)
  時事通信によると、30日の衆院予算委で、菅首相は、海上保安庁が撮影した衝突時のビデオ映像について「見ていない。報告を必要に応じて仙谷官房長官からいただいている」と答弁した。
 ⇒ http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&rel=j7&k=2010093000156

 部下の官房長官から報告をいただいている内閣総理大臣、菅直人クン!

 大事な「事件」なのに(もう半月にもなるのに)、「ビデオを見ていない」だと……!

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 ついでに宮崎県の東国原知事の、29日の「再出馬せず」表明の際の発言も、ここで確認しておく。

 「出馬をさせていただかない」――

 共同通信は「独特の言い回し」と報じていたが、いくら「元コメディアン」でも、ずいぶんとひねくれた言い方ではある。
 ⇒ http://www.47news.jp/news/2010/09/post_20100930093152.html

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 でも、この連中、どうしてこんなに「敬語もどき」を連発するのだろう?

 僕の耳には、ずいぶんと日・中・宮崎=国・県民を「舐めた」物言いだな、としか聞こえないのだけれど……。

 (そういえば、サルコジ政権の閣僚として一時、司法大臣をつとめたフランスのラチダ・ダティって保守の女性政治家〔バービーちゃんてあだ名の持ち主だそう!!!〕も、とんだ失言をしていたっけ。 ⇒ http://www.lexpress.fr/actualite/politique/rachida-dati-parle-un-peu-trop-vite-et-dit-fellation-au-lieu-d-inflation_922568.html 

 「早口で言ったから、つい舌が滑った」とか。どちらも語源的には根を同じくするらしいので、取り違えても、仕方ない面もあるが……。

 ジャック・デリダによれば、cap(岬)は、キャピタリズム〔カプ・カピタリスム ともに男性名詞〕と語源的に通底するそうだ……。産業化・近代化の岬=ヨーロッパ半島! そこに生れた資本主義が、岬を超え、大洋を越えて、全世界に広がり、今、グローバルな規模で猛威を振るっている。最後の猛威!……)

  この男バービーどもめが!…………
 
 それに、「逃げ」もあるような気がする。政治家として真正面から取り組む姿勢がみられない。責任を取ろうとしない。

 「政治」は(――そして「コメディー」もまた)、コトバが命のはず。国会も県議会も、真剣なコトバが語られる場所であるはず。なのに、このザマ。

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 さて、ところ変わって、ワシントン――。アメリカの連邦議会・下院。

 その下院の聴聞会に、人気コメディアンのステファン・コルバート氏が出席し、メキシコからの季節農業労働者を支援する証言を行った。

 24日のこと。その証言をネットのビデオで視聴して、そのコトバの力に――圧倒された。⇒ http://www.indecisionforever.com/2010/09/24/stephen-colbert-testifies-before-congress/ 

 ⇒ http://news.yahoo.com/s/ap/20100924/ap_on_en_tv/us_congress_colbert

 コルバート氏は、UFW(農業労働者連合)の呼びかけにこたえ、ニューヨーク州内の農場でまる一日、メキシコからの季節労働者に交じって、豆やコーンの収穫作業に従事したことがある。

 その体験を踏まえ、議員らに向かって、氏は真正面からこう要求した。「腰を曲げ、かがみこんでの重労働。ほんとに辛かった。土が地面にあるなんて思いもしなかった。この国は人間を月の送り込んだ国だ。地面をせめて腰の高さに引き上げることくらいできるだろう。予算をつけなさい」と。

 「アメリカの農場は、人手不足でどんどん閉鎖に追い込まれてる。メキシコからの季節労働者はアメリカ人のしたがらない労働をしてくれている。政府はもっとビザを発給し、季節労務者の人たちの労働条件を改善すべきだ。待遇をよくすれば、アメリカ人だった農地で働くようにようになる……」

 「私は自由市場論者だが、市場の見えない手のおかげで、アメリカの農業はメキシコに出ていっている。市場の見えない手は、豆を摘み取りたくないらしい……」

 「(遺伝子操作でGM農産物を開発している)科学者たちには、自分で収穫する植物をつくってもらいたい。GMの研究者には、(農作業の手間を省くため)人間と食物のアイノコをつくってもらいたい。その方が簡単だから……」

 「アメリカの農場は人手不足にあえいでいるが、11月からは(中間選挙で破れ、失職した)民主党員がたくさん、働き出すはずだ……」

 風刺の効いた、痛烈な批判パンチの雨あられ!

 締めくくりの文句がすごかった。「私は、私の証言を受け、あなた方議員のみなさんが、与野党一緒になって、アメリカ人の最善の利益のために働いてくれるものと信じている。みなさんがこれまで、常にそうだったように(会場にわきあがる大爆笑!)」

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 この下院聴聞会と日本の衆議院の予算委員会の、あまりにも明らかな違いは、何より「言葉」の差にあるような気がする。

 聴聞会で発言したコルバート氏はたしかに超一流のコメディアンだが、アメリカの政治家だって(総じて)まだ、日本の政治家ほど言葉の力を失っていない(もちろん、あくまで相対的な話だが……。これはオバマと菅直人を比べれば、すぐにわかることだ。ミゾユウで、ウズ中な連中は、比較にもならない)。

 仮に「米中」の艦船が東シナ海で「衝突」する事件が起きた時、アメリカの大統領が、「現場のビデオは(半月経ったいまなお)見ていません。(大統領首席補佐官から)報告をいただいている」と言い、その首席補佐官が「中国はお変わりになっていなかった」と、わけの分からない無責任な言い方をしたら、その政権はその時点でもう終わりである。補佐官は即刻「クビ」だし、大統領の「再選」もない。

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 サンケイ新聞によれば、菅首相は30日の衆院予算委で、こう語った。

 「今回の事案について、国民の皆さんにいろいろと心配をかけ、ご意見をいただいたことに対し、おわびを申し上げたい」
 ⇒ http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100930/plc1009300920007-n1.htm

 「国民の皆さんに……心配をかけ、ご意見をいただいたことに対し、おわびを申し上げたい」????

 また、だ。これまで常にそうだったように。

 あかんなあ~、ほんとに!
 

Posted by 大沼安史 at 05:33 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2010-09-28

〔ジャック天野の目が点・正論〕 中国政府は立派だなあ~! 日本政府も見習ってほしいなあ~! 北方領土海域 出漁漁民

 神出鬼没をもって鳴る、畏友・ジャック天野氏から、こんどは北海道の【根室発】の、見出しのような「スクープ電」が飛び込んで来た。

 僕(大沼)も、かつて北海道の地元紙の根室支局に勤務し、北方領土海域に出漁する漁船員の苦闘――悲劇をを知る一人。

 ジャック天野の主張に同感である。

 それにしても、日本政府に圧力をかけ、トロール漁船の中国人船長を釈放させた中国政府って、偉いなあ~!! 

 【北海道根室発28日ジャック天野記者】 中国政府が米国を使って日本のあかん(阿寒?)――いや、あ菅――あ、いや菅直人政権に圧力をかけ、「領海を侵犯」した中国人トロール漁船の船長を釈放させた問題で、北方領土海域を漁場とし、戦後一貫して、ソ連・ロシア側監視船の「拿捕」のターゲットにされ続けて来た、ここ根室・羅臼地方の漁民の間から、「中国政府は立派だ。それに比べて、日本政府はひどい。日本の漁民を助けてくれない」との、怨念のこもった批判の声が湧き上がっている。

 たとえば、ことし1月30日、産経新聞が伝えた、「漁船2隻に銃撃痕20カ所 国後沖の照明弾発射」事件。
 ⇒ http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100130/crm1001301901016-n1.htm

 羅臼の漁船2隻が、ロシアのヘリの「攻撃」を受け、計20ヵ所の「銃弾を受けたような痕跡が見つかった」。

 北方領土はわが国固有の領土。こうしたロシア側の不法行為に、日本政府は、「修理代の請求」さえもしていない。

 周知のように北方領土海域で旧ソ連・ロシア側に拿捕された北方漁民は数知れない。

 ハバロフスクで刑に服した人も多いが、それに対して日本政府は、口では「帰れ、父祖の地、北方領土」などといいながら、対ソ連・ロシア強硬措置を取ったことは、ただの一度もないのだ。

 こんな日本政府と比べれば、中国政府の姿勢の、なんともすがすがしいことよ。
 その断固たる姿勢は、評価さるべきことであって、批判さるべきことではない。

 悔しかったら、日本漁船が拿捕されるたび、ロシアに対して、船長・乗組員の即時釈放を求め、断固たる態度をとってみたらいい。

 数年前、イラクで拘束された日本人グループに対し、日本政府が「自己責任」を言い、帰国の費用(飛行機代)を請求して、世界中のもの笑いのタネのなったことがある。

 イラクは「戦闘地域」でない、と言っていながら、そこに入り込んで人質になった日本人に対して、時の政府は「自己責任」と言い放ったのだ!

 今回、中国政府がリッパなのは、船長を「自己責任」といって突っぱねず、チャーター機を出して迎え入れたことだ。

 日本政府は中国政府を見習い、ロシア側に拿捕された日本人漁民の釈放に全力を挙げ、チャーター機で迎え入れるべきである。

Posted by 大沼安史 at 08:42 午後 | | トラックバック (0)

〔ジャック天野の目が点・正論〕 米海兵隊は辺野古にではなく、「尖閣列島」に移転・駐留し、「抑止力」を発揮せよ!

 畏友・ジャック天野氏より、またも記事掲載の依頼が来た。
 「拒否」したら、たいへんなことになる。
 ここに、マンマ「再掲」する。(原文のまま)

   * * * * ⇒ ・ △ ・

 【沖縄・辺野古発ジャック天野記者】 日本の固有領土・尖閣列島に対し、中国が「東方領土」だとして領有権を主張、中国トロール漁船が「領海」内に「突入」した問題で、沖縄県議会は28日、日中両政府に対する「尖閣諸島海域での中国漁船領海侵犯事件に関する抗議決議」を全会一致で可決した。
 ⇒ http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-168086-storytopic-227.html 

 沖縄県議会が中国政府だけでなく日本政府(菅直人政権)に対しても抗議を行った真意は、米海兵隊の辺野古移転の理由として、菅政権が「米海兵隊の抑止力」を挙げていたため。

 今回の中国トロール漁船の領海侵犯事件で、海兵隊の「抑止力」がまったく効いていないことが明らかになったことから、沖縄の民衆から批判の大合唱が上がっている。
 (本土マスコミは伝えていないが……)

 海兵隊だけでなく、米空軍、陸軍、海軍――総じて全「在日米軍」――とりわけ尖閣列島に最も近い沖縄の米軍が「抑止力」としてまったく機能していないことが明るみ出たことから、沖縄の民衆は、今後、米軍基地の沖縄からの全面撤収を求めて行く方針。

 ただ、米海兵隊に対しては、その存在理由を確証するラストチャンスとして、辺野古移転ではなく、尖閣諸島への移転を認めることにしている。

 米海兵隊は日米安保条約にもとづき、辺野古にではなく尖閣諸島に駐留し、その「抑止力」を十二分に発揮することが期待されている。

Posted by 大沼安史 at 07:04 午後 | | トラックバック (0)

2010-09-27

〔いんさいど世界〕 クリークの14人

 14人のアメリカ人が体を寄せ合い、座り込みを続けた。遠隔操縦の人殺しは止めてほしいと訴え、座り込みを続けた。

 警察官がごぼう抜きで逮捕した。
 
 昨年、2009年4月9日、米ネバダ州のクリーク空軍基地。
 
 アフガンでの無人機(ドローン)による攻撃を遠隔操縦で続ける同基地に対し、14人の平和運動家が立ち入り、座り込みで抗議した。
 ⇒  http://www.youtube.com/watch?v=oXpxVCQUQEA

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 その裁判の公判が今月9月14日、ラスベガスの裁判所で開かれた。

 取材した地元の新聞は、こう書いた。「14人の反戦活動家たちは今日、ここラスベガスの裁判所で、歴史をつくったかも知れない……」 ⇒ http://blogs.lasvegascitylife.com/cityblog/2010/09/14/vegas-drone-trial-makes-history/

 歴史をつくったかも……そう、14人の被告たちはこの日、まさに歴史をつくった(かも知れない)のだ。まだ、「……かも」としか言えないのは、歴史的な結論(判決)が、来年1月まで持ち越されたからだ。

 基地に入り込み、座り込んだだけの(?)単なる(?)「不法侵入事件」は、ふつうなら即決で有罪判決が言い渡されるのが普通だが、そうはならなかったのである。

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 「クリークの14人」と呼ばれる被告=活動家の一人、核の生産地基地、ニューメキシコ州在住のカトリック・イエズス会のジョン・ディア神父が、公判の模様を詳しく報告していた。⇒ http://www.commondreams.org/view/2010/09/18-0

 「クリークの14人」のために、証人としてラムゼイ・クラーク元司法長官、アン・ライト元陸軍大佐、ビル・キグレイ・憲法権利センター法律ディクレターの3人が出廷した。

 キグレイ氏らは、火事の現場を通りかかった者は「立ち入り禁止」の掲示を無視して、中にいる者を助け出さなければならない、という、ごく単純な道理を軸に弁論を展開。「より大きな善のためには、不法侵入は許される」として、基地内立ち入りのプロテストの正当性を擁護した。

 それぞれ自らを弁護し、互いに弁護し合った14人の被告は3人の証人から、以下のような大事なポイントを引き出し、法廷に提示した。

 ・ (ドローンを使った)意図的な殺人は、憲法に定められた戦争犯罪である。
 ・ 民衆には戦争犯罪を止めさせる権利、いや義務さえある。
 ・ ニュルンベルク裁判で示されたように、ヒューマニティーに対する犯罪を引き起こす命令には従ってはならないよう求められている。

 3人の証言後、14人の被告を代表して、ブライアン・テレル氏が締めくくりの陳述を行った。「これほど心揺さぶられたことは、かつてなかった」(ディア神父)ほど感動的なスピーチだった。

 テレル氏は、あのマーチン・ルーサー・キング師の、有名なバーミガム刑務所からの手紙を引用、社会の覚醒のレベルを上げるには――社会のために「創造的な緊張」をつくりだすには、非暴力的な直接行動に訴えるしかない、とのキング師の言葉を伝えたあと、「アメリカという家は火事で燃えているのだ。窓から煙が噴き出し、子どもたちの泣き声が聞こえる。そんな時、不法侵入を禁ずるサインが、私たちを阻むようなことは決してあってはらない」と語り、言い終えると、その場で泣き崩れたそうだ。

 法廷のあちこちかたすすり泣きの声が聞こえたそうだ。

 そして最後に……判事のジャンセン氏が、驚くべき宣言を行った。

 「3ヵ月間、私に考え抜く時間を与えてほしい。実は昨日、私は裁判官になって25年の記念日を迎えた人間だが、これは私の最初に不法侵入を裁くケースである。ベストの結論を下したいので、判決は(3ヵ月先送りして)来年1月27日とする」――

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 アメリカはイラク・アフガン戦争と狂ったように燃えているが、この日の、ラスベガスの法廷での出来事が証言しているように、正気と勇気でもって猛火に立ち向かおうとする人もまた、アメリカには数多く存在しているのだ。

 つい先日、発刊されたばかりの、ワシントン・ポスト、ボブ・ウッドワード記者の『オバマの戦争』によれば、ほかならぬアメリカの無人機の攻撃で、数人のアメリカ人が殺される事件も起きているそうだ。⇒ http://www.democracynow.org/2010/9/24/headlines#1

 恐らくは、クリーク空軍基地からの遠隔操縦による誤まった攻撃で……。

 来年1月末のジャンセン判事の判決が注目される。
  

Posted by 大沼安史 at 08:03 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 サッカー(ホームレス)ワールドカップ ブラジルが優勝

 ブラジルのリオで開かれていたサッカー(ホームレス)W杯の決勝戦は26日に行われ、男子はブラジルがチリを6-0で破って優勝した。

 女子もブラジルがメキシコを7-3で圧倒、ブラジルは男女そろって栄冠を手にした。

⇒ http://www.homelessworldcup.org/news/rio-2010-homeless-world-cup-champions-brazil

Posted by 大沼安史 at 04:36 午後 | | トラックバック (1)

2010-09-26

〔いんさいど世界〕 「領土」キャンペーンに振り回されてはならない 中国の若手作家、ハン・ハン氏の「醒めた目」に学ぶ 

 サンケイ新聞の「主張―中国人船長釈放 どこまで国を貶(おとし)めるのか」(  ⇒ http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100925/plc1009250301005-n1.htm )を読んで、「戦時中」にタイム・スリップしたような違和感を感じた。

 「日本が中国の圧力に屈した。千載に禍根を残す致命的な誤りを犯したと言わざるを得ない」

 「……釈放したことは事実上、刑事訴追の断念を意味する。国際社会も日本が中国の圧力に屈したと判断する。これほどのあしき前例はなく、その影響は計り知れない」

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 「日本が中国の圧力に屈した……」――ほんとうにそうだろうか?

 そんな疑問が湧いたのはほかでもない。24日ニューヨーク発のAFP電を読んだせいだ。 ⇒ http://ca.news.yahoo.com/s/afp/100924/usa/china_japan_diplomacy_dispute_un_us_5

 米政府が、日本の中国人船長の釈放決定を「支持」したというニュース。

 その「支持表明」の言い回しが気になって、疑問につながったのだ。

 米国務省のスポークスマンのフィリップ・クロウイー氏が記者会見で、こう言った。

 "We think this is the right decision。"

 「正しき決断だと、われわれは考えている」

 同じAFPの北京電は、よりポイントを衝いた書き方をしていた。
 ⇒ http://news.yahoo.com/s/afp/20100924/wl_asia_afp/japanchinadiplomacydispute

 Reaction in Washington was more positive, with State Department spokesman Philip Crowley welcoming the move as "the right decision".
 
 「ワシントンの反応はより肯定的なものだった。国務省スポークスマンは(釈放を)『正しい決断』と言って歓迎した」

 「正しき決断」をした、と米政府から歓迎された日本!

 ならば日本は結局(正しき決断をせよと迫る)米国の圧力に屈した、ということではないのか?

 例によって、千載に禍根を残さない?、致命的な誤りを犯したとは言えない?、いつものポチぶりを発揮しただけのことではないのか?

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 AFP北京電には、「釈放決定」を、"It was an extremely foolish decision.(非常に愚かな決定)" とする、タカ派の安倍晋三元首相のコメントも紹介されていた。
 (この安倍発言、日本の新聞には出ていただろうか?!……

 これと米国務省スポークスマンのコメントを対比させることで、「三角関係」がひとつ、際立つ。

 日本のタカ派が中国の圧力に屈した「愚かな決定」だとする「釈放」を、タカ派が「従属」するアメリカは「正しい決断」と褒めそやしているのだ。

 安倍氏もサンケイの「主張」子も、「領土問題は内政問題である。日本の内政に干渉するな」と、米側に抗議すべきだと思うが、いかがなものか。

 アメリカに対しても、対中国に負けない、圧力に屈しない態度をとってもらいたいものだが、いかがなものか。

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 さて、「圧力に屈してはならない」だとか――「愚かな決定だった」とか、なんとも勇ましい、大言壮語にあふれ返った昨今の日本のマスコミの論調だが、フランスのルモンド紙のブログで、中国のある若い作家の発言を読んで、久しぶりに清涼な読後感にひたることができた。(⇒ http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2010/09/22/crise-sino-japonaise-le-blogueur-han-han-raille-le-nationalisme-de-facade-de-pekin_1414438_3216.html#ens_id=1412262 )

 ルモンドの「日中危機:ブロガー、ハン・ハン、ペキンのナショナリズムの鎧を嗤う」で紹介されたハン・ハン(韓寒)氏(28歳)は、人気作家でありレーサーでもある、中国新世代の旗手だ。

 上海での中学生の頃、作家デビューを果たした人で、そのブログへのアクセス数は4億5千万件にも達している。Wiki ⇒http://en.wikipedia.org/wiki/Han_Han

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 ハン・ハン氏の発言(英訳されたものや、発禁となった中国語ブログがネットに転載され出回っている)を読んで感心したのは、国家権力のキャンペーンに踊らされない、その確かな「醒めた目」である。

 ハン・ハン氏は、中国の権力者専用の迎賓館、北京の「釣魚台」で半日でも過ごそうものなら、人は誰でも(釣魚島=日本名・尖閣諸島は中国領だというキャンペーンを奉じる)別人となって出て来るものだ――などと皮肉をきかせながら、領土問題は国家権力の問題であり、われわれ個人の問題とは関係のない問題だ(なにしろ中国では土地はすべて国家有だから)と指摘し、国家権力による操つられた「集団舞踊」を批判。

 返す刀で、「私たちは遠く離れた領土ではなく、私たち自信の問題を考えるべきである。釣魚島問題でデモに参加せよ。というなら、よろしい、参加しようではないか。しかし、そのとき一緒に、家の強制撤去に抗議して焼身自殺した女性や、当局を批判して拘束された作家のために私がデモするのでなければ意味はない(以上、意訳)」とさえ言い放っているのだ。

 国家権力と対峙する、この断固たる姿勢は凄い。

 ここには「国家権力」を超えた「個」がある!
 国が貶められたと言って騒ぎまくる、どこかの国には(それほど)
いない、毅然たる「人」がいる。

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 ハン・ハン氏は13日のブログで、日本は中国人船長を「10日」拘束し、「9日」間にわたる中国側の抗議のあと釈放されるだろう、などと、覚めた目で見通しを書いていたが、それに違わない展開の末、事件は一応の決着を見た。

 国家権力による動員、キャンペーン、世論操作から超然としてある、ハン・ハン氏に示されたような、個人としての冷静な批判的態度。

 これこそ、私たち日本人が今回の尖閣列島事件から学ばなければならない、最も大事なポイントかも知れない。

 ハン・ハン氏のいうように、「領土」問題は国家権力の問題であって、私たちが今、生きる場の問題ではない。

 日本には日本の――学校や職場のいじめ地獄、貧富の拡大、弱者の切り捨てといった深刻な問題が、目の前に山積しているのだ。

 その現実の問題から目を逸らすナショナリステッィクな「領土」キャンペーンに対し、私たちもまた、ハン・ハン氏のような「醒めた目」で対抗する必要があるだろう。 

Posted by 大沼安史 at 03:35 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2010-09-25

〔ジャック天野の目が点・お笑い・日本外務省〕 中国の「不当な」要求を「一蹴」ばかりしてないで、「中国漁船体当たりビデオ」を公開すれば、それ一発で「ケリ」つくじゃん!

     ◎△◎ ………… ⇒   ・ △ ・

 中国漁船と日本の巡視船の「衝突」事件で、中国側が謝罪と賠償を求めていることに対し、日本の外務省は「何ら根拠がなく全く受け入れられない」とする「外務報道官談話」を発表した。
  ⇒ http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100925/plc1009251729021-n1.htm

 サイケイ新聞の電子版サイトは、この「ニュース」を「外務省、中国の謝罪要求を一蹴」(新着)などと、いかにも凄いことのように持ち上げているが、何が「一蹴」なものか。

 ほんとに「蹴り」を入れるつもりなら、ゴールポストの枠を狙って、しっかり、ちゃんと蹴り込んでもらいたい。

 中国漁船が日本の巡視船に「体当たり攻撃」を繰り返し(と日本側が主張している。証拠のビデオもあるそうだ!!??)、日本の巡視船に「被害」が出ているのだから、中国に対し、むしろ、こっちが「謝罪と賠償」を要求するが筋ではないか!

 あのシーシェパード船との「衝突」事件は、日本側の監視船が突っ込んで行くありさまが、相手側にビデオ撮影されていて、ちょっとカッコがつかなかったけど、こんどは違う(よね)。

 日本の海上保安庁は、中国漁船が「体当たり」を食らわせてくるシーンを撮影した(はず、だよね……)証拠ビデオを、ただちに公開すべきだろう。

 中国側の謝罪・賠償要求がいかに不当なものか、一目瞭然になるからだ。

 な、なに、実は東京からの指示で、巡視船の側が体当たりを食らわした??

 う、うそだ、そ、そんなはずがない!

 日本の国民はサイケイ新聞の読者でなくとも、正義はこちらにあると信じている(信じたい)のだ。

 外務省よ、報道官などというケチな下級官僚を矢面に立たせてばかりいないで(&「一蹴」ばかりさせていないで)、前原大臣自ら堂々と前面に立ち、中国側を徹底批判した上で、その証拠となる「中国漁船、狂気の体当たり攻撃ビデオ」を、全世界に向かって直ちに公開せよ! 

Posted by 大沼安史 at 07:07 午後 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 サッカーW杯 2010リオ大会 激闘続く!

 南米ブラジルのリオデジャネイロで、世界のサッカーファン注目の激闘が続いている。

 W杯(ワールド・カップ)2010年リオ大会!

 全世界から64チームが参加、国旗を背負い、国のプライドを胸に、熱戦を繰り広げている。
 ⇒ http://www.homelessworldcup.org/

 ◎●○◎

 サッカーワールドカップ……2010年リオのピッチに立ち、「日の丸」を背負って攻防を繰り広げる、われらが「日本代表」の活躍や、いかに?……

 ……と思ったら、日本チームは出ていない。戦っていない、プレーしていない。ピッチに立ってさえいない――。

 サッカーワールドカップ2010年RIO大会に、日本チームは出場していないのだ!

 う~ん、残念! でも、どうして?

 ◎●○◎

 ま、それはともかく、リオ大会の熱戦の模様をお伝えしよう。

 その前に、注釈をひとつ。

 このサッカーワールドカップRIO大会って、あのFIFAの向こうを張って開催されている、ホームレスのプレーヤーのよる世界大会のこと。

 失業・貧困で苦しむ全世界の家なき人々が、路上サッカーで連帯し、新しい世界づくりへキックオフする、希望の祭典のことだ。

 それにしても、「貧困」にかけては日本も負けてはいないのだから(相対的貧困率では世界先進国最悪クラスなんだから)、代表チームが出てて、よさそうなものなのに、ね!

 ◎●○◎

 リオ大会の会場は、コカコバーナのビーチ。ここにブラジル政府のサポートで専用の特設フィールド(22メートル×16メートル、2面)がつくられ、熱戦が続いている。

 7分ハーフ、ピッチに立つ選手はキーパーを含め4人(選手登録は8人まで)というルール。

 19日の開幕し、決勝戦は26日にある。

 ◎●○◎

 で、このRIO大会の話題だけど、この大会にはなんと、あの大地震で壊滅したハイチのチームも初参加しているんだ。

 ハイチの人たちって偉いよね。

 あれだけ大変な目に遭い、今だって、まだまだ大変なのに、「ハイチのスポーツマン(アセレテーク・ド・ハイチ)」って支援組織が、ハイチ代表をリオに送り出したそうなんだ。

 ハイチにも正式なサッカーのスタジアムがあるそうだけど、震災でホームレスになった人たちのキャンプになったそうだよ。
 ⇒ http://www.homelessworldcup.org/groups/haiti

 ◎●○◎

 それから、今回のリオ大会で、パレスチナも、初のナショナルチームを組織して送り込んだんだ。

 レバノンのパレスチナ難民キャンプの路上プレーヤーの中から選抜したチーム。

 中東の歴史の中で「ホームレス」になった人たちの代表がリオで世界デビューを果たした!
 ⇒ http://www.homelessworldcup.org/news/photo-story-team-palestine
 http://www.homelessworldcup.org/groups/palestine

 (パレスチナの試合結果は、強豪アルゼンチンを13対4で撃破するなど健闘したものの、F組3位に止まった)

 ◎●○◎

 韓国チームも初出場している。

 「ビッグイッシュー韓国」が組織したチーム。

 「ビッグイッシュー」って、僕の住む仙台でも街頭で売っているホームレス支援マガジンのことだね。

 (僕も街に出たら、必ず買ってるんだ。雑誌として、おもしろいこともあるしね。この前なんか、販売をしていた人から、これもなんかの縁だと言って、五円玉のお守りをもらったよ!)

 「ビッグ・イッシュー」って、韓国版もあるんだね。
 ⇒ http://www.homelessworldcup.org/groups/SouthKorea

 (韓国チームの試合結果だけど、ドイツに12対4で負けるなどD組6チーム中5位に終わった。残念!)

 ◎●○◎

 イングランド・プレミアリーグの「マンチャスター・ユナイテド」って強豪クラブチーム、あるよね。

 そこのルイス・ガーヴェイさんってコーチがリオ入りし、サッカースクールを開催したってニュースも流れてた。

 サッカーの監督になりたいリオの若者たちに、監督術を教えたそうなんだ。

 イングランドはサッカーの本家本元。
 お高くとまっていないのが、いいなあ。
 ⇒ http://www.homelessworldcup.org/news/manchester-united-soccer-school-at-the-homeless

 ◎●○◎

 ところで、日本チーム、どうして出場できなかったんだろう?
 去年のミラノ大会には出場してるのにね。

 きっと支援態勢が整わなかったんだろうけど、「最小不幸社会」を言うなら、政府がサポートしたってバチはあらたないはずなのに……。

 同じ地震の国のハイチがチームを派遣したのだから、日本の例えば車の都、アイチ県だって、トヨタがスポンサーになってあげるなど、「H(エッチじゃなくてアッシュだよ)抜き」でハイチ並み応援、したってよかったじゃない?(これダジャレすぎるかも……!!!)

 僕が日航の社長なら、社員カンパを募り、ビジネスクラスでリオに送り込んであげたんだけどね! 

 来年の2011大会はパリ。

 その次の2012は、仙台で! 

Posted by 大沼安史 at 11:42 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔ジャック天野の目が点・NEWS解説〕 中国漁船の船長釈放 命令に従い、ようやく捕まえた……のに、「国体護持」のため、さっさと現場を見捨てた、菅直人政権の「大本営・ご都合主義」

        ◎△◎ ⇒ ◎▲◎ ⇒ ×▲× ⇒ ・ △ ・

 中国漁船の船長を釈放――菅直人政権が那覇地検にゲタを預けて、そ知らぬ顔を決め込み、外交責任を放棄した。

 尖閣の海で戦わせ、船長逮捕を命令し、一時(いっとき)は、政府として「尖閣諸島問題」に真正面から「決着」をつけるような「断固たる素振り」をしていた菅直人政権。

 なのに、政局向け「尖閣カード」を使って「小沢つぶし」に成功したとたん、中国側の抗議に早々と、いとも軽々かんたんに、しらっとを取り払い、全面「白」旗を掲げ、平気な顔で現場を見捨てハシゴ外しをしてみせた菅直人政権。

 東シナ海の「海戦」は、相も変らぬ「大本営・ご都合主義」の下、歴史のくずかごに捨て去られた。

 現場の人間の苦闘などどうでもいい、「国体護持」だけが大事な、この「日本」という日のの国よ!

 毎日新聞によれば、「検察主導で公務執行妨害で立件した」(海上保安庁幹部)のに、海保庁は釈放決定の過程から外され、「決定」はあとで伝えられただけだった。

 「庁内では、職員が異例の決定を流すテレビを見て憤り、『圧力に屈した』『公務員、辞めたくなった』との声も出た」
   ⇒ http://mainichi.jp/select/world/news/20100925ddm041040110000c.html

 考えてみれば、東シナ海は、「大本営」を中心とした霞ヶ関の受験秀才・エリート軍・官僚の、自惚れた弩アホどもが、中国侵略⇒太平洋戦争という「自虐・自己破壊エスカレート路線」を国民に強いたおかげで、何万人、何十万人もが、海のもくずとなった海域ではないか!

 それに米中はもともと「連合国」の同志、日本に「ポツダム宣言」を突きつけた盟友である。

 今回の「釈放」決定にも、きっと米国(および中国)の圧力があったはずだ。
 (アメリカはあのブッシュ政権でさえ、戦後の「ポツダム枠組」の一線を越え、「慰安婦問題は客観的事実ではありません」と言い切った安倍晋三をワシントンで冷遇し、記者会見で「この男」呼ばわりした国である。オバマ政権が今回の菅直人政権の「ポツダム枠組」を越えた「ポチの勇み足」に対し、不快感を持ったとしても不思議なことではない)

 もはや、誰の目にも明らかである、日本の権力者にとって、大事なのは国民ではなく、いまなお自分たちの権力、すなわち「国体護持」だけであると!

 残念ながら日本は今もって、「ポチダモ(ん)宣言」を受諾した「国体護持の国」である! 

Posted by 大沼安史 at 10:05 午前 | | トラックバック (0)

2010-09-23

〔重要 NEWS〕 尖閣列島中国漁船事件 中国政府 希土類 対日輸出を全面停止

 ニューヨーク・タイムズ(電子版)は23日、中国政府が日本に対し、希土類の鉱物資源の輸出を全面的に停止した、と報じた。

 希土類はハイブリット車や風力発電のタービン、誘導ミサイルなどハイテク製品の生産に欠かせない希少な資源で、中国はそのうちの数種類について、全世界の埋蔵量の99%を保有している。

 日本はその中国の希土類の主要な輸入国。
 米国は希土類の鉱山を閉山したことから、希土類を使った製品(部品)を日本からの輸入に頼っているという。

 今回の中国政府による対日禁輸措置は、日本国内に止まらず、米国に対しても影響を及ぼすもので、菅直人政権としては、それだけに慎重な対応を迫られよう。

 ニューヨーク・タイムズの取材にたいし、「トヨタ」のスポークスマンは情報がないのでコメントできないとしている。

 日本政府筋も、中国政府から何の連絡もない、と話しているそうだ。

⇒ http://www.nytimes.com/2010/09/23/business/global/23rare.html?_r=1&hp

Posted by 大沼安史 at 03:45 午後 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 エメラルドの海 波高し 

 菅直人が小沢一郎に勝利し、政権を獲得する政局の中で発生した、「尖閣諸島付近海域〝日中衝突〟事件」が、両国間の歴史の悲劇の記憶を呼び覚ますように、激しいうねりとなって渦巻いている。

 日本の海上保安庁の「巡視船」と、中国の「漁船」が尖閣諸島最南端、久場島沖で〝衝突〟したのは、民主党党首選(9月14日)のちょうど一週間前の同月7日のことだ。

 衝撃波は、政治的なツナミとなって、日本を襲った。第一の波は、「中国寄り」の小沢一郎に打撃を与え、第二の波は、「沖縄」の米海兵隊・辺野古移設問題から、本土の「国民」の目を逸らした。

  ####

 中国の「漁船」と〝衝突した〟日本の海上保安庁の「巡視船」とは、もちろん普通の船ではない――貨物船でもなければ、釣り船でもない。

 「ジューン海軍年鑑」に掲載された、れっきとした「軍艦」である。実弾を発射する砲を装備している武装艦である。

 米国で言えば沿岸警備隊の艦艇。沿岸警備隊は海兵隊などとともに「米軍」の一部だが、日本の沿岸警備隊である海上保安庁は国土交通省の所管である。

 つまり、世界的な基準では「軍艦」である「巡視船」が、中国の漁船に〝衝突〟した!

 当時の状況はどうあれ、この点はまずもって確認しておかなければならない重要なポイントである。

 ####

 次に問題なのは(検証されるべきは)、国土交通省(海上保安庁)は、現場の「巡視船」に対し、どんな指示を出していたか、という点である(遠くから監視するだけであれば、「衝突」はありえない)。

 国土交通省(海上保安庁)が巡視船に対し、体当たり行動をとるよう指示していたとは思われないが、接近して威嚇するよう命令していたなら、問題である。
 そういう事実は無いなら無いで、はっきりしておく必要がある。

 ####

 そして、もうひとつ――。事件発生当時の国土交通大臣は、今回、岡田氏の後をついで外務大臣になった前原誠司氏である。

 日本の「巡視船」による、中国漁船との〝衝突〟事件は、前原(国土交通)大臣の下で起きたことであることも、確認しておかねばならないことだ。

 その前原氏が今、こんどは外務大臣として、この問題に対処している…………。

 ####

 そんな前原氏を、仏紙ルモンドが、「中国との危機を仕切る、日本の〝トニー・ブレア〟」と紹介していた。
  ⇒ http://www.lemonde.fr/asie-pacifique/article/2010/09/21/seiji-maehara-un-ministre-au-c-ur-de-la-tempete_1413908_3216.html

 トニー・ブレアとはいうまでもなく、英国の元首相。

 前原氏に「日本のトニー・ブレア」というあだ名がついたのは、その政治家としての、とんとん拍子の出世(昇進)ぶりと、カメラの前に出ることを厭わない姿勢によるものだと、やや皮肉交じりに、ルモンド紙は書いている。

 もちろん、ここでいう「トニー・ブレア」とは、英国労働党の若き指導者として彗星のごとく現れ、ついには天下をとるに至った、あの目ざましいデビューを飾った当時のブレア氏のことである。

 ####

 ルモンドの記事は、前原氏の生い立ちを含め、その個人的・政治的プロフィルを詳しく紹介してもいる。

 それは多分、この若き(48歳の)日本の民主党の政治家を、菅直人に代わる、日本の次のリーダーと見ているからだろう。

 「憲法9条改正に前向きな」「タカ派の」、ブレアのような輝きを持った前原誠司という政治家が、外務大臣として、どんな手腕を発揮するか、ルモンドは見ているのだ。

 いや、それは(言うまでもなく)ひとりルモンドだけの関心ではない。今や、世界が、マエハラの政治家としての力量に注目していると見ていい。

 首相の座にはついたもののの、ブッシュにたぶらかされ、せっかくの、英国に「第三の道」を根付かせるチャンスを棒に振り、恥辱にまみれて舞台を退かなければならなかったブレアの「二の舞い」を演じるのか――単なる「タカ(faucon フォコン)」として、扇動者としてだけ終わるのか、世界はマエハラを見ているのだ。

 (そしてもちろん、あの不幸な日中間の「歴史」もまた、今回の〝衝突〟の「行方」を見ている…………)

 ####

 尖閣諸島での〝衝突〟に端を発する、日本の国内政局、および日中、日米関係の動きを見ていると、まるで、あの「オズの魔法使い」()のような(さらにそれを操るような)黒幕がどこか(カーテンの向こう)にいて、小沢をつぶし、菅直人でとりあえずつなぎ、最終的に「前原・反中国・親米タカ派政権」を樹立するシナリオを書き、その筋書きを「政治」という舞台の上で着々と進行させているような錯覚にとらわれる。

 そうであってはならない。

 東シナ海はたしかに、美しいエメラルドの海だが、あの「オズの魔法使い」の潜む、きらびやかな権力の都、エメラルド・シティー(ウォールストリートのアレゴリー)のような、欺瞞と操作の海にしてはならない。

 そういう美しく――しかし危険な、エメラルドの魔の海に船出したことを、前原氏は覚悟しなければならないのだ。

 トニー・ブレアのように、権力のセイレン(サイレン)に魅せられ、呼び込まれてはならない。 

 〔注〕 「オズの魔法使い」の政治的な(経済的な)「意味」については、以下を参照。

 ⇒ http://news.bbc.co.uk/2/hi/uk_news/magazine/7933175.stm
 

Posted by 大沼安史 at 10:00 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2010-09-18

〔コラム 机の上の空〕  「最大不幸社会」の「有言実行内閣」

 自分が組閣したルンルン新内閣を「有言実行内閣」だと、菅直人首相自身が言ったと聞いて、唖然とした。

 「有言実行」?――政治家として当たり前のことではないか?

 こんなキャッチにもならないコピーを、ぬけぬけと、とくとくと、恥ずかしげもなく語るコトバの貧しさ。うつろで、やりきれない言語感覚。

 そこからは、「実行」に移すべき「有言」の「言」は聴こえて来ない。

 「何を」がない。救いも希望も、何も聴こえて来ない。

 ♪♪♪♪

 あるとすれば、先の参院選で突如、口走り、大敗を喫した、あの「消費税10%へアップ検討」公約の「言」……くらいか?

 いや、沖縄の辺野古の海を破壊すると宣言した、「日米共同声明」の「有言実行」も、あるな……。

 いずれにせよ、日本・沖縄の民衆にとっては、ありがたくもない「お言葉」ばかりだ。

 それを断固、「有言実行」するというなら、菅首相よ、日本の民衆は次の総選挙で、こちらも断固たるレッドカードを君に突きつけることだろう。

 いや総選挙の前に、民衆はプロテストを始めるかも知れない。

 ♪♪♪♪

 「有言実行内閣」です――としか言えない、この程度の宰相を持つしかない、かわいそうな日本。

 参院選で有権者の声に、生活苦にあえぐ人々の声に、沖縄の人々の悲鳴に耳を塞ぎ、一転、ケロリと、コトバに責任を持つ新内閣だと言ってのける、節操なき宰相しか持てない、かわいそうな日本。

 この国は「最小不幸社会」どころか、「最大不幸社会」に成り果ててしまった……。

 昔、「フォークル」が歌った、あの「悲しくてやりきれない」の歌が、どこからか聴こえてくるようだ。

  ♪ 悲しくて 悲しくて
    とてもやりきれない
    このもえたぎる 苦しさは
    明日も 続くのか

 ♪♪♪♪

 ネオリベ政治・経済路線が「急激な効果」を現し、この国は今、世界最悪レベルの格差社会に陥っている。

 その閉塞した「やりきれない苦しさ」の中で、人々はもがいている。老人も成人も子どもも、みんな苦しんでいる。

 ジニ係数をみればわかる。この国は「最大不幸社会」の国なのだ。

 それを「最小不幸社会」と言いくるめることはできない。

 その、日本の「不幸」を最小化するというなら、まずもって人々の「無言」の訴えに耳を傾けるべきだろう。

 そして「不幸」の在り処をさぐり、政策でもって不幸の根を断ち、「幸福」を少しずつ膨らませてゆく……。

 どん底にあえぐこの国の政治家だからこそ、あくまでも「最大幸福社会」を目指すのが、本来の筋ではないか。 

 ♪♪♪♪

 「有言実行内閣」と聞いて、ああ、この首相は、新内閣は消費税を上げるつもりなのだな、と反射的に思った国民は多かったはずだ。

 3%を5%に引き上げた時でさえ、あれだけ経済を冷やしたのだから、こんど、倍の10%を「有言実行」したら、景気が完全に底抜けするに決まっている…………。

 もっと暮らしを切り詰め、生活を防衛しなければ……。

 そんな不安を増幅させるだけの結果に終わった、今回の「有言実行」内閣宣言!

 何%かは知らないが、国民の不幸せが、またまた膨らんだことだけは確かである。

 ♪♪♪♪

 今日は秋晴れの一日だったが、どれだけの人が幸せな気持ちで空を見上げたことか?

  ♪ 胸にしみる 空のかがやき
    今日も遠くながめ 涙をながす
    悲しくて 悲しくて
    とてもやりきれない
    このやるせない モヤモヤを
    だれかに 告げようか

 
 (きっと何かに絶望して)この国を旅立って行った、加藤和彦氏のこの歌が――名曲すぎるこの歌が、空から聴こえて来る。

   ⇒ http://www.youtube.com/watch?v=cyaC_5kMeXs

★ 追記

 読売新聞のネット報道を見て、またも、のけぞってしまった。
 
 菅直人が記者会見で、小沢一郎を新体制で起用しなかった理由について「小沢氏から『体力的に消耗した。しっかり支えるからポストは勘弁してほしい』と言われた」と説明した。
 ⇒ http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100918-OYT1T00149.htm

 これはトンデモ発言である。

 小沢氏の発言が仮に菅直人の言うとおりであったとしても、これは政治家として(小沢本人が言っていないことだから)絶対に言うべきことではない。

 政治家は体力勝負、健康第一である。
 なのに、「体力的に消耗した……勘弁してくれ」とは……。

 菅直人にとって、小沢一郎は「民主党の同志」ではなかったのか?

 この「もうア菅」の「小沢一郎の健康・体力にクエスチョンマーク」発言は重大である。

 政治家生命の致命傷を暴露するものだから。

 政治生命を奪うに等しい暴露……。

 菅直人としては、こう言って自分の再選を正当化したかったのだろうが、これは一線を超えた、絶対に言ってはならない「越権l発言」である。

 小沢一郎はきっと、この発言で最終的に菅直人を見限ったのではないか?

 菅直人に警告しておく。

 君も知ってるつもりだろうが、「政界」というのは奥が深いのだ。怖いのだ。

 今のところ、対米従属権力が検察に小沢を牽制させ、消費税アップを約束した君に対し支援を惜しまない姿勢を示しているが、サルコジの失脚を見越してドビルパンを復活させたフランスのように、時の権力をいうものは、二枚腰というか、懐が深いのだ。

 日本の権力は――「再選」で舞い上がった君のことを冷静に見ている。

 小沢をここまでコケにした君を、冷静に見ている……。

 ここまで君にコケにされた以上(君に「政治生命」まで奪われた以上)、小沢は必ず反撃に出る!
 

 それが彼らにとって好都合なら、(タイミングを見計らい)、彼らは君を見捨て、ポイ捨てして、小沢支援に回る!

 いいか、菅直人よ、いまからでも遅くはない、小沢一郎にわびを入れることだ。それも、世間のみんなが見ている前でわびを入れることだ。

 検察に圧力をかけ(たとえば検事総長を民間人に入れ替える、といって)小沢を救うのだ。

 そして、対霞ヶ関&対アメリカ・ダブル「従属」路線にオサラバする!
 
 君が生き延びる道はそれしかない……。 

Posted by 大沼安史 at 05:15 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2010-09-17

〔いんさいど世界〕 ティク・ナット・ハン師の言葉

 私が自転車で、仙台の荒浜海岸(深沼)に出かけ、遅い海水浴と日光浴を楽しんだのは、つい2日前、おととい15日のことだ。

 海に入って驚いた。9月半ばなのに、生温い。

 仙台の荒浜は、湾にあるのではなく、太平洋の外海に面した海岸。その名の通り、波の荒い浜なのに。

 打ち寄せる波が生温い。

 ####

 ことしの夏を私は――軟弱な性格のくせに(弱虫なくせに)、変に意地っ張りな私は、一度もクーラーをつけずに過ごした。扇風機も回さず……。

 「地球温暖化」に対する、一匹のエイプ……老・人類の、ゼロに等しき、はかない抵抗である。

 ####

 でも、正直なところ、夏はこたえた。自宅で、根をつめた翻訳の仕事をしていたものだから、それもあってくたびれ果てた。

 クーラーのスイッチを押そうと、(とくに夕方)何度、誘惑にかられたことか……。
 
 ####

 そんな折のことだった。

 環境報道で世界をリードする英紙ガーディアン、8月26日付の電子版に、ベトナム出身の禅僧、ティク・ナット・ハン師(Thich Nhat Hanh 釈一行)に対するインタビュー記事、「気象変動と戦うジャーナリストと組織の役割」――が載っていた。

 そのタイトル(「ジャーナリストの……」)にひかれるまま、私は暑さを忘れ、その記事を読んだのだ。⇒ http://www.guardian.co.uk/sustainability/blog/sustainable-consumption-zen-buddhism-csr

 (私は25年、新聞記者をやった人間だから、61歳になった今でも、自分を「聞屋(ブンヤ)」の端くれだと思っている。だから、こういうタイトルの記事を目にすると、反射的に読んでしまうのだ)

 もちろん、私はティク・ナット・ハン師(短く、「サイ」師とも呼ばれる)に、かねてから関心があり、そのせいもあって、30度を超える猛暑の中、そのインタビュー記事と、関連する同紙の付属記事(⇒ http://www.guardian.co.uk/sustainability/blog/sustainable-consumption-zen-buddhism-csr )を読み通したのである。
 
 ####

 「サイ師」こと、ティク・ナット・ハン(Thich Nhat Hanh 釈一行)は、来月、84歳を迎えられる、臨済宗の禅僧。

 出身地のベトナムで、ベトナム戦争に反対する平和運動に携わり、あのルーサー・キング牧師にも大きな影響を与えたことでも知られる人だ。(カトリックのトーマス・マートンとも親交があった)

 アメリカやドイツに仏教コミュニティーを広げ、フランス・ドルドーニュ地方に開いた「李(すもも)の村」(Le Village des Pruniers プラム・ヴィレッジ)を拠点に、活動を続けている。

 Wiki ⇒   http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%8A%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%BB%E3%83%8F%E3%83%B3

 
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 そんな「サイ師」のインタビューが英紙ガーディアンに載ったのは、師が説教と修養会のため、訪英したからだが、ロンドンでの説教には数千人が、ノッティンガム大学での5日間の修養会には1000人近くが参加したというから驚きである。

 (師の訪英については、英紙インディペンデントも、大きく取り上げている。 ⇒   http://www.independent.co.uk/environment/green-living/zen-and-the-art-of-saving-the-planet-2048029.html )
 
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 サイ師の訪英に対し、なぜこれほど人々の関心が集まったか?

 それは先ほども少し触れたように、サイ師が世界の人々に対し(そして、ジャーナリストに対し)「気候変動」と戦うよう求めているからだ。

 ガーディアンのインタビュー記事は、サイ師の信じるところを、こう書いていた!
 「ジャーナリストは気候変動の問題について書くだけではいけない。自分が目にしたい〈変化〉に、自分がなることが大事なことだ」

 …… it is not enough for journalists just to write about the issue of climate change, but that it is important they become the change they want to see.

 このくだりを読んだ以上、変に意地っ張りな私としては、最早、クーラーをつけるわけに行かなかったわけだ。
 
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 それにしてもサイ師こと、ティク・ナット・ハン師の(ガーディアン紙、ジョ・コンフィーノ記者に対する)言葉は心に染み透る。そのいくつかを、同紙のインタビュー記事から紹介しよう。

 ○ それは(悟り、覚醒)は、「波」が「水」を自分の外側にあるものではないことを知ったときに起きるようなものなのです。
 It is like when the wave knows that water is not outside of her.

 このまま、その通り覚えてしまいたくなる、実にシンプルで、実に深い言葉だが、この前段でサイ師は、こうも指摘している。

 「西洋の精神的な危機こそ、私たちが今直面している多くの苦難の原因です。私たちの神、及び神の国を自分たちの外側に、さらには遠い先に置いてしまう二元論が原因なのです。だから、私たちは神というもののほんとうのあり方を知らない。神は、いま、ここに、私たち一人ひとりの中にいるのです。だから、私たちは、正しき場所へ、私たち自身へ戻らなければなりません……(それは(悟り、覚醒)は、波が水を自分の外側にあるものではないことを知ったときに起きるようなものなのです)」と。

 ○ 神の国を正しき場所に置けば、ここで、いま幸せに生きることをできることを示すことができます……もし私たちが絶望と怒りを産み出すことを止めれば、「大気」を再び健康なものにすることができるでしょう。

 ○ 地球を救う問題のもうひとつの側面を見る必要があります。環境を二酸化炭素の用語で語るだけでなく、私たちが生きている「有毒な大気」としても見る必要があります……私たちは精神的な汚染の問題についてもっと語らなければなりません。

 ○ 私たちは自分たちがコントロールできない(資本主義という)システムをつくってしまいました。それは私たちの上にのしかかり、おかげで私たちはその奴隷と犠牲者になってしまったのです。

 ○ 集団的な覚醒がない限り、破局は来ます……もし、心に平安を抱き、受け容れることができれば、何事かを静かになすことができるでしょう。絶望に囚われていては、そこに希望はないのです。

 ○ もし私たちが集団的な覚醒を生み出すことができれば、地球温暖化問題を解決することができます。私たちはともに、この種の悟りを呼び覚まさなければならないのです。
 
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 地球環境を守る仏教…………サイ師の言葉に(私もまた)ことさら大きな共感を覚えるのは、私が一人の日本人のせいなのか、それとも、クーラーなしの酷暑に耐え切ったせいなのか?――

 欧米では、サイ師こと、ティク・ナット・ハン師が書いた、The World We Have – A Buddhist approach to peace and ecology(私たちの世界――平和とエコロジーへの仏教徒としてのアプローチ)という本が評判を呼んでいる。で、私も早速、注文を出したところだ。
 
 ####

 遂に「熱中症の夏」をやり過ごした、私の机の上の風鈴が、ようやく涼しげに鳴っている。

 間もなく、お彼岸。

 正気を取り戻したような、涼しい初秋の風を窓から通し、私たちもまた、サイ師の静かな言葉にひたることにしよう。

  It is like when the wave knows that water is not outside of her.

そう、たしかにその通り。水の分子である私もまた、集団的な覚醒――悟りの波の一粒でありたいと願う…………。
 
 ####

 最後に、師の英語の詩をひとつ。

 Earth Touching Poem  (抜粋)

Here is the foot of a tree.
Here is an empty, quiet place.
Here is a small sitting cushion.
Here is the cool green of the grass.
My child, why don’t you sit down?

Sit upright.
Sit with solidity.
Sit in peace.
Don’t let your thoughts lift you up into the air.
Sit so that you can really touch the Earth
and be one with her.
You may like to smile, my child.
Earth will transmit to you her solidity,
her peace, and her joy.
With your mindful breathing,
and your peaceful smile,
you sustain the mudra of Earth Touching.

Your diligent awareness of your breathing
will keep you in touch with the Earth.
Walk as if you were kissing the Earth with your feet,
as if you were massaging the Earth.
The marks left by your feet
will be like the emperor’s seal
calling the Now to come back to the Here;
so that life will be present,
so that the blood will bring the colour of love to your face,
so that the wonders of life will be manifested,
and all afflictions will be transformed into
peace and joy.

 Thich Nhat Hanh

 from ‘Call me by my True Names’

 Read more:  ⇒ http://www.mindfulnessretreats.org.uk/blog/2010/08/earth-touching-poem-extract/#ixzz0z78p8ybz

〔参考〕

⇒ http://www.meditationfrance.com/enseigne/hanh.htm
          http://www.mindfulnessretreats.org.uk/index.php

    http://www.plumvillage.org/

Posted by 大沼安史 at 10:05 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2010-09-16

〔NEWS〕 世銀 昨年 「石炭」関連に史上空前の投資

 環境報道で世界をリードする英紙ガーディアンは15日、米国主導の世界ネオリベ権力の支配装置である世界銀行が、昨年(2009年)、火力発電など「石炭」に対し、史上空前の34億ドルも投資した、と報じた。⇒ http://www.guardian.co.uk/environment/2010/sep/15/world-bank-coal

 世銀の投資とは、そのコントロールを狙ったもの。
 投資先には、南アの巨大・石炭火発、メデュピ発電所の建設費融資も含まれている。

 世界が地球温暖化に総力を挙げて取り組まなくてはならない時に、世銀のこの大盤振る舞い。

 ガーディアンの電子版の記事についてた、ポーランドのベウハトゥフにある、欧州最大の石炭火発の煙突から、澄み渡った大空に向かって煙が噴き出して写真は、ショッキングだった。

 化石燃料からの離脱、代替エネルギーの確保に全力を挙げねばならないのに、このありさま。

 でも、これは他国の問題ではない。日本にあてはまることだ。
 日本の政府(環境省)は、何やっているんだ!

⇒ http://www.guardian.co.uk/environment/2010/sep/15/world-bank-coal

Posted by 大沼安史 at 06:15 午後 | | トラックバック (0)

2010-09-15

〔ジャック天野の目が点・スクープ〕 首班指名選挙で「小沢首相」誕生へ 

 畏友・ジャック天野より、またもトンデモ・スクープ・メールが届いた。掲載しないとドヤされるので、ここに再掲する。

 ####

【永田町15日発ジャック天野記者】 民主党党首選での「菅直人」の圧勝を受け、国会での首班指名の行方が注目されているが、菅直人の独善ぶりに反発する民主党内の小沢グループと、渡辺喜美氏の「みんなの党」が連携し、自民党その他を巻き込んでかたちで、「小沢一郎首相」を「指名」する公算が高まっている。

 不倫のシーツを顔に貼り付けたような菅直人を日本の首相にしてはならない、との声が永田町に急速に広まったのは、あの田中康夫氏による「暴露」記事が衝撃波として広がったため。

 菅直人は今回の民主党党首選でも「市川房枝の愛弟子」を「売り」に、いかにも市民運動家として自らをアピールしていたが、田中康夫氏の「検証」の結果、市川房枝女史自身が、菅直人の勝手なやり口に対し、不審を募らせていた事実が明らかになった。⇒ http://gendai.net/articles/view/syakai/126331

 市川房枝は、「……配慮し、(菅直人に)『自力で闘いなさい』といった。ところが選挙が始まると、私の名をいたる所で使い、私の選挙の際カンパをしてくれた人たちの名簿を持っていたらしく、その人達にカンパや選挙運動への協力を要請強要したらしく、私が主張し、実践してきた理想選挙と大分異っていた」と書いており、菅直人のいかがわしさが、あらためて確証されたかたちだ。

 この田中康夫氏の指摘で、民主党党首選で「菅直人」に投票した若手議員の間でも動揺が起きており、首班指名選挙では「菅直人」の代わりに「小沢一郎」と書くとする民主党議員が増えている。

 こうした状況の中で渡辺喜美氏率いる「みんな党」は、首班指名選挙で「小沢一郎」に投票することを、秘密裏に党議決定。自民党その他も、この動きに同調しており、「小沢新首相」誕生の可能性は強まる一方だ。

Posted by 大沼安史 at 06:37 午後 | | トラックバック (0)

2010-09-14

〔重要 NEWS〕 仏紙ルモンドがサルコジ・ネオリベ政権と全面対決 「報道の自由」を賭けて告発 サルコジの情報機関を使った「ディープスロート」狩りの違法性を追及 フランス版「ウォーターゲート」事件の様相

 フランスのジャーナリズムの良心ともいうべきルモンド紙が、サルコジ・ネオリベ政権と全面対決し、徹底的に戦いぬく不退転の姿勢を示した。

 サルコジに対する違法献金疑惑問題をめぐる同紙報道の情報源を、サルコジ政権が政府の情報機関を使って不法に「摘発」したことに対し、出版の自由を定めた法律に違反するとして告訴したのだ。⇒ http://www.lemonde.fr/politique/article/2010/09/13/affaire-woerth-le-monde-va-deposer-une-plainte-contre-x-pour-violation-du-secret-des-sources_1410327_823448.html

 ルモンド側は、サルコジ政権の違法な活動を裏付ける証拠を握っている(といわれ)、その告発は、フランス版ウォーターゲート事件ともいうべき――おそらくは「サルコジ辞任」に行き着くであろう、たいへんな破壊力を秘めたものになっている。

 サルコジ政権は本ブログで既報(⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2008/09/post-4b28.html ) 
の通り、米英ネオリベ権力によって据えられたものだが、「年金改悪」に加え、ロマ族(ジプシー)に対する国外退去問題など、ナチス並みの凶暴な姿勢をとっている。今回のルモンド紙の反撃は、こうしたサルコジ的なネオリベ路線の一掃を目指したもの。これ以上、黙っていられないとして、レジスタンス的な徹底抗戦構えを明らかにしたもので、その断固たる姿勢と、今度の戦いの行方に全世界の注目が集まっている。

 ルモンドによると、サルコジがDCRI(国内中央情報局)を使って、「情報源」のあぶりだしをしたのは、同紙が7月18、19日付で報じた「リリアン・ベタンクール(サルコジに対して違法献金を行った疑いが持たれている、フランスの女性大富豪)側近が(献金を仲介したとされる)ブルト労(雇用)相を窮地に追い込む」と報じたのがきっかけ。

 ブルト労相は、元々、サルコジの選対マネージャーだった男だが、「ロレアル化粧品」の大株主で、フランス一の大富豪であるリリアン・ベタンクールの側近に対して、自分の妻の雇用を働きかけた疑いが持たれ、警察の事情聴取を受けた。

 その聴取の内容がルモンド紙に全面的にすっぱ抜かれたことから、サルコジはDCRIに命じて、漏洩元を追及、司法大臣のある側近を犯人と決めつけ、懲罰左遷人事を行った。

 ルモンド紙の今回の告訴は、こうしたサルコジ政権の違法性を真正面から取り上げ、全面対決する姿勢を明らかにしたもの。

 フランスには「1881年」に制定された「出版の自由」を守る法律があり、それを昨年1月に強化したのは、ほかならぬサルコジ政権だった。

 改正された法律は、「ジャーナリストの情報源の秘密は、その公共的な情報提供の使命において保護される」と規定しており、ルモンドはこれを根拠に、サルコジと徹底対決する方針。

 ルモンドのエリク・フォットリャノ編集局長は、テレビ「チャンネル1」に対し、「われわれは証拠を知っているし、持っている」と明言、サルコジの不法行為の立証に対する「確信」を明らかにした。

 ルモンドはまた、今回のサルコジ政権告発にあたって社説、「ルモンド・エリゼー(大統領府)・情報の自由」なる社説を掲げ、自らの姿勢をアピールしてもいる。
 ⇒ http://www.lemonde.fr/idees/article/2010/09/13/le-monde-l-elysee-et-la-liberte-d-informer_1410326_3232.html#ens_id=1373579

 この中でルモンドは、「デモクラシーの良識は、ここ(この問題)で、再び原則の問題となった」と指摘、今回のサルコジ告発が、(フランスの)デモクラシーを守る原則的な戦いであると言明した。

 ルモンドよ、「政治家のラカイユ(クズ)」、サルコジをニクソンのように追い詰め、放逐せよ!

 日本のマスコミよ、すこしはルモンドのような意地を持て!

 北海道新聞の幹部諸君よ、警察庁キャリアのワルどもの「特別背任ですよ」などという脅しにビビらず、、「道警裏金(幹部吸い上げ)問題」をもう一度、徹底的に洗い直し、徹底的に戦いなさい!

Posted by 大沼安史 at 07:16 午後 | | トラックバック (0)

2010-09-12

〔いんさいど世界〕 9・11 WTCミステリー 7+6

 もう25年も前のことだが、デトロイトの郊外にある、フリースクールを訪ねたことがある。
 アプランド・ヒル・ファーム校。

 そこで、日本人としてうれしいことを教えてもらった。

 デトロイトを拠点に活躍する、世界的な建築家、ミノル・ヤマサキのお嬢さんのケイティさんも、このアプランド・ヒル・ファーム校の熱烈な後援者のあることを知らされたのだ。

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 世界的な建築家、ミノル・ヤマサキさん(⇒ http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%BB%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%82%B5%E3%82%AD )の世に名高い代表作は、言わずと知れた、ニューヨークの「世界貿易センター(WTC)」である。

 「9・11」で「ハイジャック機」に突入されたWTCの南北の両タワー、及びそれを取り囲む、高層ビル群の設計者は、ミノル・ヤマサキ氏だった。

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 「9・11」9周年――。

 南北両タワーの「崩壊」について「爆破」説が出ていることは、すでによく知られたことだ。航空機のジェット燃料による火災では、鉄骨構造のビルの場合、あのような「フリーフォール」の自壊は起きないこともまた、よく知られたことだ。(どこかの国のアネハ骨抜きマンションとは違う……!)

 もうひとつ、よく知られた疑惑は、航空機に突っ込まれてもいない「WTC7」ビルが、なぜ「自壊」しなければならなかったか、ということである。

 「WTC7」は、CIAのビルだということは間もなく報じられたことだが、どうしてそのビルまで「爆破」しなければならなかったか、今なお、謎として残っている。

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 しかし、「WTC」をめぐるミステリーはそればかりではない。
 「南北両タワー」と「7」の間にある、「WTC6」についても、不可解な謎があるのだ。

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 現在、アルゼンチンのブエノスアイレスに住む(亡命を余儀なくされている)、カート・ゾネンフェルド氏は、FEMA(米国連邦緊急事態管理庁)のビデオ撮影者だった人だ。

 FEMAはなぜか、2001年9月11日の前日、ニューヨークに「前線基地」を移動していたそうだが、同時多発テロ当日、最初の1機がWTCに突っ込んだ時点で、早くもゾネンフェルド氏に出動命令が下り、氏はオフリミットの現場での撮影に、その後、1ヵ月にわたって従事したという。

 現場でゾネンフェルド氏は何を見、何を撮影したか? ⇒ http://world911truth.org/911-fema-videographer-at-ground-zero-goes-public/

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 まず、「ハイジャック機」が突っ込んだ(とされる)WTCの南北両タワーで言えば、「ブラックボックス」は高熱で「蒸発」したとの公式説明と裏腹に、現場には航空機の車輪のゴムまで残っており、「ブラックボックス」が蒸発したなど、ありえない、とゾネンフェルド氏は証言している。

 それはともかくして、いま問題にすべきは「WTC6」である。南北タワーと「WTC7」との間にある高層ビル、WTC6。

 このビルは米政府の税関当局が使用していたビルだが、ゾネンフェルド氏が現場に到着した時、地下倉庫はもぬけの空状態だったそうだ。

 そう、なぜか税関当局の職員は、総員避難して――資料の移設を終えて――無事だったという……。

 これは米政府(中枢)が「9・11」を事前に察知していた、証拠のひとつになる事実ではないか?

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 疑惑を抱いたゾネンフェルド氏は、撮影したビデオ(29巻)を密かに隠匿、2003年、ブエノスアイレスに移り、2009年、スペイン語で回顧録を出版、問題を全世界に提起した。

 氏は専門家にビデオテープを分析してもらい、疑惑の立証に努めているが、米国は今もって、アルゼンチン政府に対し、同氏を強制追放をするよう圧力をかけている。

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 ゾネンフェルド氏はブエノスアイレスで現地の女性と再婚、2人の子ども〈双子)をもうけており、問題のビデオを家族を守るためのの「保険」として、今のところ、内容を「公開」せずにいるが、映像の記録(証拠)はともかく、氏の発言から考えただけでも、それがどれだけ重大な問題提起を含むものなのか、分かるような気がする。

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 疑惑渦巻くWTC――。

 ミノル・ヤマサキ氏は、1986年に鬼籍に入った方だから、幸か不幸か「9・11」を目の当たりにすることはなかったが、2001年のその日、かりに存命でありせば、どんな発言をされたことだろう?

 きっと、WTCは航空燃料で倒壊するような、やわなビルじゃありません、何者かによる爆破のせいではありませんか?――と、問題を提起したはず…………。

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 「9・11」で犠牲になった日本人は24人。
 日本政府にも当然、米政府に真相究明を求める権利と責任がある。

 米国では建築家たちが「WTCは爆破された」として「再審」を求めるアピールを発しているが、日本の建築界にも、日系2世の建築家、ミノル・ヤマサキの名誉を守る、プロとしての責任があるのではないか。

 WTC南北両タワー、さらにはWTC7+6!

 「9・11」は9年後の今、闇の深さを、一段と際立たせている。

 「9・11」はいまいちど、徹底して再調査されねばならない。

 ⇒ http://www.voltairenet.org/article166910.html

  

Posted by 大沼安史 at 07:39 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔写真 NEWS〕 アフガン 「死の谷」のプラトーン(小隊) 米兵たちの寝顔

 英紙インディペンデント(電子版)に、米兵の「寝顔」ばかり写した8枚組みの「写真集」が掲載された。
⇒ http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/art/features/combat-fatigue-tim-hetheringtons-intimate-portraits-of-us-soldiers-at-rest-reveal-the-other-side-of-afghanistan-2073877.html?action=Popup&ino=1

 アフガン東北部の最激戦地、米兵が「死の谷」と名付けたコレンガル峡谷に投入された米陸軍の小隊の寝顔・寝姿だ。

 米誌「ヴァニティー・フェアー」のカメラマン、ティム・ヘザリントン氏が2007年から2008年にかけて、現地で撮影したものだ。同行取材した同誌の記者、セバスチャン・ユンガー氏が記事を書き、「レストレポ」とのタイトルで、来月、出版される。
⇒ http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/art/features/combat-fatigue-tim-hetheringtons-intimate-portraits-of-us-soldiers-at-rest-reveal-the-other-side-of-afghanistan-2073877.html

 「レストレポ」とは、小隊の前線基地の名。峡谷に展開する主力部隊から敵の目を逸らすために、設けられた最前線の駐屯地名。
 戦死した小隊の衛生兵、ホアンさんの姓(レストレポ)。

 子どものような、あどけなくもない、寝顔の兵士たちは、死んだ仲間のためにすすり泣き、アフガンの村人に、どうして子どもたちを巻き添えにしかねないか、説明しようとする、寝顔のように、純なところもある、人間だった……。

 兵士よ、眠れ! つかの間の眠りを!
 アフガンの「死の谷」で眠りに就かなければならない君たちに、「戦争責任」はない。

Posted by 大沼安史 at 07:03 午前 | | トラックバック (0)

2010-09-11

〔いんさいど 日本〕 学校・教師・アウシュヴィッツ

 「この裁判で学校が変わってほしい!」――自死した新任の女教師の遺族が、そう訴える裁判が静岡で続いている。

 死んだ娘の死を無駄にしてほしくはない。「学校」のあり方を真正面から考える契機にしてほしい。

 そんな裁判が静岡で続いている。

⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog2/2010/09/post-6479.html#more

Posted by 大沼安史 at 07:14 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔コラム 机の上の空〕 「9・11」を超えて アメリカ・アフガン 女性の連帯

 きょう、9月11日、米国東部、マサチューセッツの天気予報は、Sunny & Nice 。初秋の風を切るサイクリングには、絶好の日和である。

 マサチューセッツ中部、ニーダム(Needham)で、きょう9月11日、周遊チャリティー・サイクリングが行われる。主催は、地元ニーダムの市民団体、「11日を超えて(Beyond the 11th)」。

 アフガンの未亡人女性たちのための資金援助を呼びかけるバイク・ライドである。

 そう、きょう「9・11」の、この日に。
 「9・11」を超える希望を、いまひとつ切り拓くために。

 ☆ ☆ ☆ 

 「11日を超えて」は、ニーダムに住む、スーザン・レティクさん(42歳、ユダヤ系アメリカ人女性)を中心に、2003年に結成された。

 スーザンさんは「9・11」未亡人。アメリカン航空11便に搭乗していた夫を「同時多発テロ」で失った時、おなかに中に3人目の、7ヵ月の赤ちゃんがいた。

 悲嘆と絶望の日々。

 友人に、見知らぬ人々に励まされる中で、スーザンさんは、アフガンにも同じような「戦争未亡人」がたくさんいることに気付く。

 それが転機になった。悲嘆が共感に、絶望が希望に変わる転機はそのとき生まれた。

 2003年に、近くに住む同じ「9・11」未亡人のパティーさんと知り合い「9月11日を超えて行く」運動を始めた。

 ☆ ☆ ☆ 

 現在、およそ200万人に上るといわれる、アフガンの「戦争未亡人」たちが置かれる状況は深刻だ。

 子どもは平均、4人以上。みな、貧困と絶望にさいなまれている。 

 そうしたアフガンの未亡人女性を、どうやって助けるか?

 収入を得、家族を支えながら自立できる道の確保を援助する……それがいちばん。

 ニワトリのひなを育て卵を売る。
 カーペットを織って売る。
 サッカーのボールを縫って売る。

 「11日を超えて」は現在、1000人以上のアフガン人女性の「就業」を支援しているそうだ。

 ☆ ☆ ☆ 

 支援を開始して3年後の2006年、スーザンさんはアフガンに初めて足を運んだ。
 そして、現地の女性と初めて、面と向かって、話し合い、励まし合った。

 その模様を記録したドキュメンタリー映画、「信仰を超えて」の紹介トレーラーを「11日を超えて」のサイトで観て、「11日を超える」意味を教えられた気がした。

 戦争に引き裂かれた、貧困と絶望のアフガンの大地でも、女性たちは命を育みながら生きていた!

 その真実との直面は、スーザンさんの(そしてアメリカ人たちの……あるいは私たちの……)心のどこかにまだ残っていたかもしれない、見当違いの憎しみを消去し去るに十分なものだった。

 「戦争」で夫をなくしたアフガン人女性と、「テロ」で夫を亡くしたアメリカ人女性と、そこにどんな違いがあろう。

 ☆ ☆ ☆

 きょう「9月11日」のチャリティー・サイクリングは、ニューヨークの「グラウンド・ゼロ」からニーダムへ、3日がかりで自転車をこぎ続けたチャリティー・ライドの、仕上げのイベントだそうだ。

 「11日を超えて」は今、バーミアンに「竜の谷・婦人センター」を建設する計画を進めており、そのための資金集めが、きょうのニーダム周遊サイクリングの目的。

 スーザンさんと一緒に、長男のベン君(12歳)もサイクリングに参加するが、ベン君はベン君なりに、新しいプロジェクトを考えている。

 それは、アフガンの女性たちが縫い上げたサッカーボールを震災被害を受けたハイチの子どもたちに贈るプロジェクト!
 (アフガンの未亡人たちが縫ったサッカーボールのブランド名は、「ドスティ」。現地の言葉で「友だち」の意味だそうだ)

 ○ ○ ○

 スーザンさんたちの、「竜の谷・婦人センター」に続く、次なる目標は、アフガン未亡人のためのマイクロ・ファイナンス(小口融資)事業と、助産婦さんの養成事業の立ち上げだ。

 大地を踏みしめ、前へ向かって、着実な歩みを続ける、「11日」を超える運動!

 ニューヨーク・タイムズ紙のコラムニスト、ニコラス・クリストフさんが、「11日を超えて」運動について、こんなふうに書いていた。

 それは「最も思いがけなく、最も人々を励ます」ものだと。

 ほんとうにその通りだと思う。

 スーザンさんはクリストフ記者に、「私たちだけでアフガンを変えれるなんて思わないけど、でも、どこからか、変えることを始めなきゃ」と語っていたが、それも、ほんとうにその通りだ思う。

 「11日を超える」運動は、女性の連帯の中で、何事かを何処からか始める――テロをもとから断つ、命と平和の運動である。

〔参考〕

http://www.nytimes.com/2010/09/09/opinion/09kristof.html?src=me&ref=general

http://www.beyondthe11th.org/

http://www.boston.com/news/local/massachusetts/articles/2010/08/04/two_911_widows_raise_funds_to_help_bereaved_afghan_women/
  http://www.boston.com/yourtown/news/needham/2010/08/needham_woman_to_receive_presi.html
  http://www.boston.com/lifestyle/family/articles/2010/08/21/911_widow_susan_retik_shares_a_bond_with_afghan_women/

http://www.bpeace.org/

http://www.dostisoccer.com/

Posted by 大沼安史 at 08:33 午前 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2010-09-10

〔いんさいど世界〕 「9・11」を「世界平和の日」に

 9年目の「9・11」が来る。

 「同時多発テロ」後、しばらく経って、一度、WTC(世界貿易センター)の現場を訪ねたことがある。
 花束の置かれた周辺のフェンスは、犠牲者の写真が連なり、臨時の祭壇と化していた。

 昔、一度だけ中に入ったことがあるWTCの巨大な直方体は消え、空間だけが残っていた。

 徹底した破壊――。

 現場を離れ、気になって、近くの「ストラトフォード古書店」に回ってみた。無傷で残っていた。
 頼るべきものが、そこにあった……すこしだけ、救われた気がした。

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 「9・11」を計画した「テロリスト」たちは、それにしても「物知り」な連中だ(った)。

 アメリカの「内部」に精通していた者どもだ(った)。

 最早、「ソ連」の脅威は消えていたのに、その日、「9・11」に、米軍が総力を挙げて「北の森」作戦を実施し、アラスカ空域に航空戦力を集中させ、米本土は「もぬけの殻」状態になることを知っていたのだ。レーダーに映る不審な「影」があっても、訓練用のものだから気にしなくていい……そういう指示が出ていることを知っていたのだ。

 そして、何よりも、「9・11」という日付!

 少なくともアメリカの民衆は、この「9・11」という日付を、自分たちの――アメリカの日常生活を脅かす「犯罪」として想起することになる……「テロリスト」たちは、そんなこともまでも、ちゃんと心得ていたのである。

 「911」――アメリカの「110番」、警察への緊急呼び出しナンバー。

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 フロリダのキリスト教原理主義者たちによる「コーラン焚書」騒ぎの中で迎える、ことし2010年の「9・11」。

 「グローバル・リサーチ研究所」を主宰するチョスドフスキー・オタワ大学教授は、この9年の経過の中で、「テロに対する戦争」が「イスラム世界に対する新たな十字軍戦争」に変質したことを指摘しているが、たしかにその通りである。⇒ http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=20818

 イラク・アフガン・パキスタン……そしてイラン。

 「9・11」を計画した「テロリスト」たちは、こうなることを(あるいは、こうすることを)予期していたのだ。

 「イスラムの石油」をめぐる「宗教戦争」に発展する(させる)ことを、ちゃんと予期していたのだ。

 「新しき真珠湾」の「予言」を的中させた彼らは今、なんと「イラン戦争」の開戦をも「予言」しているのである。ネオコンは死なない。まだ、生きているのだ。 

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 平和とデモクラシーのための放送局、「デモクラシーNOW」のキャスター、エイミー・グッドマンさんが、ネット誌、truthdig に「9月11日を戦(いくさ)のない日に」というコラムを書いていた。⇒ http://www.truthdig.com/report/item/sept_11_a_day_without_war_20100907/

 「デモクラシーNOW」のスタジオは2001年当時、WTCからそれほど離れていないチャイナタウンの元消防署内にあった。

 「9・11」後、現場近くのフェンスは、行方不明者の写真と連絡先の電話番号のカードで、またたくまに埋まった。

 それを見てエイミーさんは、なぜかアルゼンチンの「マヨ広場の母親たち」のことを思わず想起したそうだ。

 アルゼンチンの軍政の弾圧で「消えた」息子たちを返せと、ブエノスアイレスで、プラカードを掲げ、訴え続けた、勇敢な母親たちを思い出したのだそうだ。

 なぜか?

 それは、アメリカの現代史のなせる業である。アメリカの権力の罪深さを、「9・11」の日付は、あらわにするのだ。

 エイミーさんは指摘する。

 1973年9月11日――アメリカのCIAに支援された軍事クーデターで、民主的に選ばれたばかりのチリのアジェンデ大統領が殺された日。

 1988年9月11日――やがて米国に支援されたクーデターで国外追放となるアリステッド神父の、ハイチ・ポルトープランスの教会を右派民兵が襲い、少なくとも13人を射殺、77人を負傷させた日。

 1990年9月11日――グアテマラの民主化運動家のミルナ・マック氏が、米国に支援された軍事政権に殺された日。

 では、2001年9月11日は? その日は、アメリカの罪深さの何をあらわにするものなのか?
 
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 アメリカの先住民族(モホーク族)の活動家、スプリッティング・ザ・スカイさん(58歳)は、「同時多発テロ」をブッシュ政権による陰謀だと断じ、ブッシュ大統領を戦争犯罪人として告発している人である。 ⇒ http://en.wikipedia.org/wiki/Splitting_the_Sky

 僕はこの、まさに「空を引き裂く」稲妻のような、激しい弁舌と、それでいて心がとてもあったかな、人間味のある活動家に関心があって、この人が書いた百科辞典よりも分厚い「自伝」を少しずつ読み進めているのだが、先日、この人があの「アッティカ刑務所」の「反乱」に参加した人だと(読んで)知って驚いた。

 アッツティカ刑務所の反乱 ⇒
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%83%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%AB%E5%88%91%E5%8B%99%E6%89%80%E6%9A%B4%E5%8B%95

 アメリカの先住民族に対する抑圧の実態、「反乱」の真相、ニューヨーク州権力のでっち上げ工作などを知って驚いたのだ。

 このアッティカの反乱もまた、1971年の9・11。正確に言えば、9月9日から13日までに起きたことだった(エイミーさんは、コラムでこのことにも触れている) 
 
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 アメリカでは――いや、全世界ではいま、「9-11 真実」運動が広がっていて、あの事件の徹底的な疑惑解明を求める声が高まっている。

 あの「9・11」こそ、すべての悪の始まりだからだ。

 ことしも、同運動がニューヨークで、WTC跡から軍事級の爆薬を発見した科学者らが集まり、真相究明のシンポジウムを開くなど、地道な取り組みが続いている。

(同運動のサイト、911 Truth.org が、この記事を書いている時点で、なぜか接続不能になっている!その後、復旧 ⇒ http://www.911truth.org/index.php )

 来年、2011年は10周年。

 再来年は9・11の11周年。

 あの悲劇を想起する記念日がこれからも繰り返される。
 
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 心配性の僕は、だから不安なのだ。

 「9・11」の再調査を求める声が強まれば強まるだけ、あの「テロリスト」たちがまた何を企むか心配なのだ。

 来年の「10周年」には疑惑を吹っ飛ばすため、何かまた、とんでもない「スペクタル」が起きるのではないか、と心配なのだ。

 イランの「核」施設に対し、米軍が攻撃すれば、「9・11」疑惑など一発で消し去ることができる…………

 9月11日を戦のない日に!――デモクラシーNOWのエイミー・グッドマンさんの訴えに、だから僕も賛成である。

 「9・11」が「世界平和の日」になる日が来ることを祈る。
  

Posted by 大沼安史 at 08:32 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2010-09-09

〔NEWS〕 アフガン人3人を「うさばらし殺人」 「指」を記念品に 「キル・チーム」の米兵5人 「戦争犯罪」明るみに

 アフガニスタンに駐留する米陸軍の兵士5人が、気晴らしに「殺しのチーム(キル・チーム)」をつくり、アフガン民間人、少なくとも3人を手榴弾などで殺害、遺体から指を切除して「戦利品」としていたことが発覚した。
 英紙ガーディアンが報じた。 ⇒ http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/09/us-soldiers-afghan-civilians-fingers

 5人は米陸軍ストライカー歩兵旅団に所属、南部カンダハル州のラムロッド前進基地に駐屯していた下級兵士たち。

 イラクでの戦闘体験のある25歳の伍長が基地に着任、「民間人殺し」の楽しさを吹聴したことで、影響を受けた若い兵士たちが「キル・チーム」をつくり、今年になって、パトロール中に手榴弾と銃撃で、少なくともアフガン人男性3人を殺害した。

 記念に遺体の指を持ち帰ったり、遺体のそばで記念撮影したりしていたという。

 軍の裁判で有罪が決まれば、死刑もしくは終身刑となる。5人は容疑を否定しているという。

 今年5月、基地内で兵士がハッシッシを吸引していることが明るみに出、軍の内部捜査で、今回の戦争犯罪が明るみに出た。

 若い兵士たちの、この「スポーツとしての殺人」…………日々、緊張を強いられる中、その恐怖をマッチョ的に――「殺しのゲーム」で紛らわせていた、そんな気がしてならない。

 そんな米兵の憂さ晴らしで殺されなければならないアフガン人も哀れでならないが、「鬼畜化」した若い米兵らも哀れ。

 そんなアフガン戦争を――ブッシュ、オバマ政権に命じられるまま、「支援」し続ける日本の私たちも、哀れである。

Posted by 大沼安史 at 06:56 午後 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 イラン当局 「姦通罪」の女性に対する石打ち死刑の執行を停止

 仏紙リベラシオン(電子版)は、イラン当局が、姦通罪でサキネ・モハマディ・アシュティアニ(Sakineh Mohammadi-Ashtiani)女囚に宣告していた石打ちによる死刑の執行を停止した、と報じた。
 ⇒ http://www.liberation.fr/monde/01012288969-la-lapidation-de-sakineh-suspendue

 同紙によれば、サキネさん(41歳、2人の息子の母)は2006年に姦通の罪で石打ちによる死刑判決を言い渡された。(彼女の年齢については、43歳説もある)

 サキネさんは姦通の事実を否定。リベラシオンをはじめ、英紙ガーディアンなど欧米のマスコミ、人権団体が彼女の助命運動を続けていた。

 ヴァチカンもアピールする事態に発展していたが、イラン当局が「ラマダン」明けに刑を執行するのではないか、との観測も流れていた。⇒ http://www.afpbb.com/article/disaster-accidents-crime/crime/2753874/6153441

 また、英紙タイムズが、彼女の写真ではない別人の写真を掲載、その後、取り消して謝罪するなど、イラク当局を刺激する「誤報」もあり、懸念が高まっていた。⇒ http://www.guardian.co.uk/world/2010/sep/04/sakineh-mohammadi-ashtiani-lashes-photograph

 この「写真」の漏洩をめぐって、サキネさんは最近、99回の鞭打ちの刑を受けたらしい。

Posted by 大沼安史 at 09:06 午前 | | トラックバック (0)

2010-09-08

〔NEWS〕 怒りのフランス 「年金改悪」に「200万人」――いや、もしかしたら「300万人」が史上空前の抗議デモ ネオリベ・サルコジ政権の「財政再建」に名をかりた国民生活破壊攻撃に反撃!

 日経新聞の電子版によれば、フランスで7日、サルコジ政権の年金改正法案に反対し、「200万人とみられる」大規模デモ行われた。
 ⇒ http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C9381959FE2E5E2E0958DE2E5E2EBE0E2E3E29494E3E2E2E2;at=ALL

 一方、ルモンドは「110万人から300万人」が参加したと伝えている。

 最大で「300万人」……う~ん、史上空前の規模かも?

 フランス各地のデモの写真報道は ⇒ http://www.lemonde.fr/societe/infographie/2010/09/07/la-carte-des-manifestations-en-france_1407653_3224.html#ens_id=1305816

 

Posted by 大沼安史 at 07:34 午前 | | トラックバック (0)

〔NEWS〕 「全国学力テスト」を再開し、「沖縄戦・集団自決・教科書検閲問題」が発覚した、あの安倍晋三政権下の「2007年」……日本の公的教育支出は「世界」最低だった! サイテー! サイアク そう、韓国以下!

⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog2/2010/09/post-31ef.html

Posted by 大沼安史 at 07:11 午前 | | トラックバック (0)

2010-09-07

〔いんさいど世界〕 「いじめ」……「遺書」と「リーフレット」

 ⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog2/2010/09/post-9d0d.html

Posted by 大沼安史 at 08:50 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

〔ジャック天野の目が点 マル秘情報〕 菅をけしかけ小沢政権をつくる……「軽井沢倶楽部」秘密戦略

 自称・「世紀のトクダネ記者」、畏友・ジャック天野より、「チョー・マル秘情報」がもたらされた。 

 例によって眉唾もの、くさいが、このブログに載せないと五月蝿いので、紹介することにする。

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 【軽井沢発6日ジャック天野記者】 菅直人「僅差」勝利へ 小沢「脱党」新政権樹立へ


 日本の政治・経済を実質的に支配する「軽井沢倶楽部」は6日、親睦ゴルフ・コンペのあと、幹事団による秘密会合を開き、今後の政治情勢について協議した。

 冒頭、「軽井沢倶楽部」の事務局を担当する財務省の担当者が基調報告に立ち、「霞ヶ関(官僚)の支持」「ワシントンの支持」を取り付けたものと勘違いした菅直人が、予想通り、しっかりと増長し、来るべき民主党党首選へ向け、イケイケドンドン、「勝ち戦」を展開、小沢を馬鹿呼ばわりして、勝利を手にする自信を深めている、と述べ、「菅直人・浮揚」戦略が順調に推移しているとの見方を(自信たっぷり)示した。

 マスコミ、検察代表からも、「軽井沢倶楽部」の方針に従い、「小沢(モグラ)叩き」を今後とも連係プレーで進めて行くので、結果として菅直人の「僅差勝利」は間違いない――仮にブレた場合でも、「世論」をしっかり再誘導し、菅に僅差で勝たせるので心配ご無用、との力強い決意表明がなされた。

 菅直人を民主党党首選で、「僅差」で勝利させるのは、「軽井沢倶楽部」の基本戦略。

 そうなれば、小沢一郎としては意地でも――全国の同志諸君の手前――民主党を脱党せざるを得ず(「圧倒的な敗北」では、小沢の「ハート」に致命的なダメージを与えてしまう………)、その結果、自民党・みんなの党・国民新党・旧社会党・公明党による「救国連立政権」――つまり、小沢一郎による「新連立政権」が樹立されることになる。

 民主党のスポンサーの鳩山も、小沢とともに「脱党」するので、次の総選挙では、選挙資金に窮した「菅・民主党」の候補が総崩れすることは、火を見るよりも明らか(菅直人の消費税増税「公約」もあるので、菅・民主党の完敗は明らか……)。

 「軽井沢倶楽部」が仕掛けた、「55年翼賛新体制」スタートに向けた「シナリオ」が、(アホな)菅直人の(権力欲に目がくらんだ個人的な)「協力」で、いよいよ具体化へ向け、現実のものになりつつある、との報告がなされ、参加者全員、「わが世の春」の長期安定持続に向け、前祝いの「カン=菅(乾)杯」を行った。
 

Posted by 大沼安史 at 07:34 午後 | | トラックバック (0)

2010-09-05

〔いんさいど世界〕 学校・いじめ・アウシュヴィッツ 

 英紙インディペンデント(電子版)に、同紙の教育記者、ポール・ヴァレリー(Paul Vallely )氏による、アウシュヴィッツ訪問記が掲載されていた。
 英国の教師グループに同行し、アウシュヴィッツとは何なのか、その恐ろしさを、子どもたちにどうしたら伝えることができるか――をともに考えたルポルタージュだった。
 ⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/europe/tough-lessons-how-teachers-are-seeking-answers-at-auschwitz-2067788.html

 more ⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog2/2010/09/post-039c.html#more

Posted by 大沼安史 at 06:01 午後 2.教育改革情報 | | トラックバック (0)

〈お知らせ〉 緑の日の丸 頑爺同盟&頑婆ガールズ 世直し公式サイト 近日OPEN!

  以下の「方向」で、「開設準備」が進んでいます!!

 ⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog4/2010/09/post-693f.html

Posted by 大沼安史 at 07:27 午前 | | トラックバック (0)

2010-09-04

〔NEWS〕 スウェーデン当局 ウィキリークス アサンジ氏に対するレイプ疑惑、蒸し返す

 英紙インディペンデトによると、スウェーデン当局は、ウィキリークスの代表、ジュリアン・アサンジ氏に対する、レイプ疑惑を蒸し返した。

 スウェーデンの政権は中道右派。いったんは取り下げた、レイプ疑惑をもういちど蒸し返すなんて、米国の圧力を跳ね返せないからなんだろうな……。

 アメリカの戦争権力は、それだけ焦っている。追い込まれている。

 だって、イラクであのありさまで、アフガンでも、この体たらく――だもん。

 御用マスコミのおかげで、ナントカ面目を保っているものの、実態は悲惨なもの。

 ただただ、アメリカの軍事(石油)産業を潤おわせているだけ。

 アサンジ氏よ、アメリカがまたつけあがり始めたら、例の「保険暗号化マル秘米軍文書」、一挙、暴露に踏み切ったらいい。分析は二の次でいいじゃないか……。

 何がレイプ!……(それも一週間、一緒に過ごした女性に対し??)。 

 米軍に「レイプ」されているのは、イラクであり、アフガンであり、日本の沖縄である。

 スウェーデン当局よ、捕まるならオバマを捕まえなさい!

⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/europe/rape-investigation-into-wikileaks-chief-reopens-2068162.html

Posted by 大沼安史 at 06:58 午後 | | トラックバック (0)

2010-09-03

〔いんさいど世界〕 「ネズミとゴキブリ、どっちが嫌い?」

 民主党党首選――。小沢氏の「議員会館」めぐりを、一部のマスコミは「ドブ板(選挙運動)」と評した。 

  そんな挨拶回りの小沢氏、と角栄の愛娘、田中真紀子さんとの間で、こんなやりとりがあったそうだ。

 「ネズミとゴキブリ、どっちがお嫌いですか?」(田中真紀子)

 「どっちもあまり気にならないですね」(小沢一郎)

  「気にならない!?政界でそういうのいっぱい見てるから!?」(田中真紀子)

 大笑いする二人!

 ⇒ http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4517534.html

 「意味深」なやりとり――。

 ネズミはドブから家に入り込み、天井で小便を漏らしたり、悪さをする(夏目漱石が、外人を自宅に呼びたがらなかったのは、天井の「染み」のせいだ……)。

 一方、ゴキブリは、人の家に忍び込み、ホイホイで駆除してもなかなかクタバラナイ。

 田中真紀子さんはたぶん、小沢氏に、「菅直人って、ネズミと思う、それともゴキブリ?」と、迫ったのだ。

 それに対する、小沢一郎氏の絶妙な、「どっちもあまり気にならないですね」の、肩透かしというか、おトボケ。

 う~ん、なかなかの役者やのお~!

 でも、せっかくの真紀子さんの突っ込み、答えない手はない。

 小沢氏はきっと、菅直人って男は、どちからというと「ネズミだな」と思っているに違いない…………――これは、僕のカンだ。

 政界にゴキブリはウヨウヨしているが、菅直人は「格上」の「(カン)間者」ネズミ。

 ニコニコ顔で、日米同盟レストランの「鳩料理」に舌鼓を打ち、権力のチーズにかじりついて、わが世の春を謳歌しようという曲者だと――小沢氏は(真紀子さんもまた)見ているのではないか?

 そこで、真紀子さんの突っ込みに、小沢氏が「ネズミの方が嫌い」と仮に答えたとして、二人のやりとりがどうなったか?――「再現VTR?」で見ることにしよう。

 「わたしは、やはり、どちらかというと、ネズミが好きじゃありませんねぇ……」

 「わたしもよ。お酒と同じ……。酒蔵のネズミは退治しなきゃ!」 

 「えっ???」

 「わたしね、越後でしょ、だからなんといっても、お酒の方も、ナショナリスト……そう、瑞穂の国の日本酒党……」

 「わ、わたしは、実は沖縄の泡盛党でも…………」

 「でね、私、あの、カンチューハイってやつ、大嫌いなの。庶民の味方のネズミ小僧でございといって当選したくせに、いまはアメリカと官僚どもの言いなり。ネズミみたいにすばしこく、ニコニコ顔でよだれをたらしながら、鳩のソティーにくらいつき、どっちが日本の総理にふさわしいですか、なんて言ってエヘラエヘラ笑っている……。チュー・サイテー」

 「はあ?……」

 「消費税と沖縄のたった2本で、天下盗れるなんて、言ってしまっていいの――だわよね」

 「な、なんですか、それ?」

 「知らないの? 俵万智ちゃんのサラダ記念日じゃない。教養ないわね」

 (元歌 「嫁さんになれよ」だなんてカンチューハイ二本で言ってしまっていいの)」

 「す、すいません……」

 「いいわよ、気にしないで。で、私も万智ちゃんにならって、あなたを励ます歌を詠んであげるわね」

 「はっ?……」

 「闇将軍と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる」

 (元歌、優等生と呼ばれて長き年月をかっとばしたき一球がくる(『チョコレート革命』)

 「がんばってね。ネズミを叩きのめすよ! あんた、政界のイチローなんだから、きっちり打ち返しなさい!」

 「は、はい……」

Posted by 大沼安史 at 07:54 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 地球を冷やす?ウイスキー 

 仙台もまた、9月になっても「30度プラス」続き。
 でも、日中に浴びる「水シャワー」の水温は8月と比べ、すこし冷たくなって……。

 水源地あたりの山には、遅い秋が忍び寄っているようですね。

 そう、その、奥羽山脈の山懐に抱かれた、緑豊かな「宮城峡」は、ニッカ宮城峡蒸留所のある、日本のウイスキーのふるさと。
 ⇒ http://www.nikka.com/reason/introduction/miyagikyo/

 そこで今朝は、残暑を吹き飛ばす(そして、地球温暖化防止に、ちょっと貢献しそうな)ウイスキーの話題を、冷えたオンザロックで、ちびり、ひと啜り――。

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 ウイスキーといえば、スコッチ。スコッチのスコットランドは、ニッカの創業者である竹鶴政孝氏が学んだところとしても有名です。

 そのスコットランドのエディンバラのナピール大学の研究チームが、最近、地球環境を守る、ウイスキーの活用法を発見、実用化への道を切り拓きました。

 ウイスキーそのものを利用するのではなく(そんな、もったいない!)、蒸留過程で産み出される液体と、ウイスキーを産み出してしまった穀粒の使いカスを原料に、バイオ燃料(生物燃料・植物燃料)を――ブタノールを生産する技術を開発したそうです。

 このウイスキーづくりから産み出されるブタノールって、エタノールっていうバイオ燃料より、30%もハイパワーなそうなんですね。

 EU(欧州連合)では2020年までに、バイオ燃料の比率を10%まで上げる予定。

 これに「ウイスキー」がどれだけ貢献できるかはこれからの課題ですが、原料になる副産物の年間排出量は液体が16億リットル、カスが18万7千トンに達するそう。

 さすが、スコッチ、ウイスキーの本場ですね。
 ⇒  http://www.bbc.co.uk/news/uk-scotland-edinburgh-east-fife-10998281 
    http://www.guardian.co.uk/environment/2010/aug/17/whisky-biobuel-scotland

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 で、なぜ、このウイスキー・バイオ燃料が注目を集めているか、というと、サトウキビといった農作物を原料とするものではないからです。

 つまり、フード(食料)を「油」にしてしまうわけではない。

 その分、食料を減らし、食料危機を招くものではないからです。

 インドのエコロジストで有機農業の実践家でもある、ヴァンダナ・シヴァ女史(博士)によれば、「バイオ燃料」にはさまざまな問題点があるそうですが、たとえ原料が食料にならない植物であっても、栽培のための森林破壊その他で、地球環境破壊に拍車をかける、マイナス面を持っているそうです。

 シヴァ女史が実例としてあげているのが、インドで栽培が進もうとしている、「ジャトロファ」という植物の栽培。
 
 これは元々、中米産で、人間も動物も食べない植物ですが、インドではこれをバイオ燃料とする動きが広がって生態系の破壊につながり、大問題になっているそうです。Soil Not Oil、参照。

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 でも、「ウイスキー・バイオ燃料」はもともと捨てるものだから、そんな心配はない。

 思わず、「乾杯」したくなっちゃいますね。

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 ところで、スコットランドといえば、「ウイスキー」だけではなく「名曲」のふるさとでもありますよね。

 で、僕も、BBCのラジオ・スコットランドの歌番組(インターネット放送)を時々、聞いているんですが、⇒ http://www.bbc.co.uk/programmes/genres/music/jazzandblues/player/episodes

 番組のホストの方(イアン・アンダーソンさん)が、少し前、こんなエピソードを紹介していました。

 作家のヘミングウエーがエディンバラに来て、最高級のスコッチを飲んだ時、こう言ったんだそうです。

 「うまい! 日本のウイスキーに負けない」と。

 はは、愉快、愉快! 

 秋の夜長を、宮城峡産のニッカをちびり、ちびりやりながら、読書でもして楽しもうではありませんか!

 ロックもよし、水割りもよし。

 日中の残暑を忘れ、夜風を通しながら、地球を冷やす(?)ウイスキーを友として……。 

Posted by 大沼安史 at 11:04 午前 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2010-09-02

〔NEWS〕 地球温暖化懐疑論の世界的なリーダーが転向

 英紙ガーディアンは「地球温暖化」に対して疑問を投げかけて来た、温暖化懐疑論の世界的第一人者、スウェーデンのビヨン・ロンブルク氏が態度を全面転換し、「人類が直面すべき挑戦だ」との態度に転向したことを明らかにした。
 ⇒ http://www.guardian.co.uk/environment/2010/aug/30/bjorn-lomborg-climate-change-u-turn

 ロンブルク氏はこれまで、地球温暖化に警告を発する批判的な科学者たちを「ヒトラー」になぞらえていた人物。

 ロングルク氏は近く出版する著書で、「今後、毎年、1000億ドルと投資すれば、今世紀の末までに、問題を解決できる」との見方を示しているという。

 日本の懐疑論者の、たとえば櫻井よしこさんにも、見解をうかがいたいところだ。

Posted by 大沼安史 at 06:53 午後 | | トラックバック (0)

〔いんさいど世界〕 「愚直」と「単細胞」 

 小沢一郎氏と菅直人首相による「共同会見」は、小沢一郎の「淡々とした勝利」のうちに終わった。

 「愚直な小沢」と「単細胞の菅」――。
 違いは、沖縄・普天間基地をめぐるやりとりに明らかだった。

 沖縄タイムスの記事によれば、

  ―― 菅首相は「(5月の)日米合意を踏まえ、同時に沖縄の負担軽減に全力を尽くす」とし、名護市辺野古への移設方針をあらためて示した。小沢氏は「沖縄も米政府も納得できる案は知恵を出せば必ずできる」と主張。具体的な案も考えているとし、県や米政府とあらためて話し合う方針を打ち出した。

 首相が「(小沢氏が)幹事長時代に(日米で)合意されたことに責任を持った態度で臨んでもらいたい」と批判すると、小沢氏が憮然(ぶぜん)と「白紙に戻すとは言っていない。また(幹事長としては)政府の政策決定に全く関与していない」と反論する場面もあった。
 ⇒ http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-09-02_9782/

 沖縄タイムス(社説)によれば、小沢氏はさらに、「今、頭にあることを言うわけにはいかないが、解決策を見つけ出すのは可能だと思っている。沖縄もアメリカ政府も納得できる案を見いだしたい」と語ったそうだ。
 ⇒ http://www.okinawatimes.co.jp/article/2010-09-02_9799/

 # # #

 「勝敗」、自ずから明らかだが、それにしても、なんと愚かな、またも愚か過ぎる、菅直人の「菅チガイ」よ! 

 沖縄の人も、私たち本土の人間も、鳩山前首相が「約束」した、民主党としての「最低でも県外」の「原則」を、新しい民主党の党首になろうとする人間はどう考えるか、今後の問題として聞きたかったのだ。今後の方向を聞きたかったのだ。

 なのに、「こう決まった、もう決まった」と言うしか能のない、この「菅チガイな男」の単細胞ぶりよ!

 共同会見で菅直人は、国民のみなさんに「総理にふさわしいのは誰か」選んでもらいたい、などと言っていたが、参院選で「消費税10%」を「公約」し、国民のみなさまからレッドカードをたたきつけられたのは、いったい誰だったか?

 菅直人よ、君はその程度の男だったのか。
 嗚呼、情けない。

 それに対して、普天間問題の「再協議」を言ってのけた、愚直な小沢一郎の、二(三?)枚腰、土俵際(相撲で言えば)、球際(サッカーで言えば)の強さよ!

 # # #

 しかし、それにしても菅直人はなぜ、こうもカン違いしてばかりいるのか?
 その疑問に答えてくれたのが――いや、答えのヒントを与えてくれたのが、あの驚くべき、英経済紙、フィナンシャル・タイムズ(FT)の「トンデモ社説」だった!
 
 小沢一郎を、The wrong man for Japan(日本にとって間違った男)と言ってのけた、あの、フィナンシャル・タイムズ(FT)の Editorial だった!
 ⇒ http://www.ft.com/cms/s/0/4b70b160-b398-11df-81aa-00144feabdc0.html 

 社説の主張への賛否はともかく、FTのエディトリアルは、私たち日本人に、ある「重要なこと」を思い出させてくれた。

 それは小沢一郎がかつて、アメリカのことを「単細胞」(single-celled organisms)だと言って批判した事実である。

 それを踏まえ、FTの社説子は、小沢一郎のことを、

 ① 日本をアメリカの軍事力に頼らない「普通の国」に、と最初に言い出した男(の一人)――であり、

 ② ワシントンが1990年代に、一時は日本の政治経済の改革リーダーになってくれるものと期待し、その後、期待感をしぼませた男――であり、

 ③ 米軍に対する海上給油活動に反旗を翻した指導者であった男(駐日アメリカ大使が会見のセットさえできなかった男)――であり、

 ④ 中国と友好関係を持った男(一党独裁には反対しているが)
 ――――と指摘して、

 「疑いもなく(単細胞ではなく)多細胞(multi-celled organism)(の男)だ」と、皮肉を効かせたつもりで「批判」しているが、そのどこにカメレオン的な一貫性のなさ(FT社説子は、この点を印象付けたいらしいが……)があるというのだろう?

 その政治家としての軌跡には、米英(アングロサクソン)主導の従属路線、ネオリベ・ネオコン路線の言いなりにならなかった、二枚腰、三枚腰の反発力と、一徹さ、愚直さがあっただけではないか!

 # # #

 そう、小沢一郎には、プラスの意味での「多細胞」性があったのだ。それに比べて、見事なまでの、菅直人の「単細胞ぶり」よ!!

 だから、この男はすぐにブチ切れる「イラ菅」なのだ。

 日本の「単細胞」政治家は、英米の政治権力から「歓迎」され、FT紙あたりで、間違っても「間違った男」と書かれずに済むが、そんな「単細胞」は日本にはいらない。

 お利口な「単細胞」は、「愚直さ」で進化を遂げた「多細胞」に敵わない。 

Posted by 大沼安史 at 12:44 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)