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2010-08-26

〔いんさいど世界〕 イラク戦争 民営化で永久化へ 「米軍撤退」メディア・サーカス 「戦闘」部隊を「支援」部隊に衣替え 米占領軍 在日米軍並みに イラクの社会基盤崩壊 石油汚職の「悪の華」全開 

 イラクに展開していた米軍「戦闘部隊」が今月(8月)末のタイムリミットを前に、「撤退」を進めている。

 まるで、7年半に及ぶ「イラク戦争」と「イラク占領」に一区切り、ついたかのような、メディアの騒ぎぶりだが、現実はまるで違う。

 看板の塗り替え、傭兵の配備……「戦闘部隊」の「撤退」が完了する月末以降も、在日米軍並みの5万人の正規米軍と対テロ活動の特殊部隊4500人が駐留を継続。さらに7万5000人もの「傭兵」がイラク全土に展開する状況が続く。

 なんのことはない。米正規軍を縮小した穴を、「戦争の民営化」で塞ぐだけのことだ。

 ブッシュが始めた戦争で、「石油」の確保には成功したが、イラク社会は崩壊したまま。汚職の悪の華だけが咲き誇っている。

 海兵隊員「そよ風」伍長
 2003年4月、バクダッドの中心部にある、ファルドゥス広場へ、先陣気を切って到達したのは、米海兵隊第4連隊第3旅団の戦闘部隊だった。

 現場を取材していた、英紙インディペンデントのロバート・フィクス記者は、海兵隊員に衛星電話を貸してやった。

 海兵隊員はさっそく、ミシガンの母親に電話した。「ハーイ、ママ、愛しているよ。元気でいるから大丈夫。戦争は2、3日で終わるから、すぐに会える」

 戦争は数日では終わらず、戦闘状態は7年4ヵ月後のいまなお続いている。

 その海兵隊員(伍長)の名は、デイビッド・ブリーズ(David Breeze)。
 ブリーズ……そう、「そよ風」さん!

 (「そよ風」伍長が、フィスク記者の衛星電話を借りた時点ですでに、日本の神風攻撃にヒントを得た、車を使った「自爆」テロが2件、起きていたそうだ。1件は警察官のよる、もう1件はなんと女性2人による……。そよ風どころではない。怒りの爆風が、もうこの時点で起きていた!)

 フィクス記者は、今月20日付けの「米軍、イラクにグッドバイ」の記事を、こんなふうに結んでいた。

 「彼ら(アメリカの当局者)は、ストーリーの書き換えに忙しい……(しかし)彼らは(イラクに)来て、(イラクを)見て、(イラクで)負けたのだ。そして今、勝った、と言っている……」

 イラク戦争はアメリカにとって、決して「そよ風」のような、やさしく、軽いものではなかった。
 ⇒ http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-us-troops-say-goodbye-to-iraq-2057387.html

 「顧問支援旅団」に変身
 アメリカのメディアは、クウェートに撤退する海兵隊の戦闘旅団の兵士に同行取材し、「米軍、イラク撤退」の「メディア・サーカス」を繰り広げたが、同じ「戦闘旅団」の一部が、「顧問支援旅団」に名称を変更、イラクに残留したことを報じたのは、米国の軍事紙、「アーミー・タイムズ」くらいなものだった。

 同紙によれば、5万人の残留米軍正規軍部隊は、7個の「顧問支援旅団」で編成される。⇒ http://votersforpeace.us/press/index.php?itemid=4638

 ということは、つまり、「看板(名称)」の塗り替えによる、変身トリック。姑息な目くらましである。

 イラク戦争・占領の「作戦名」も、一緒に変わった。
 これまでの「イラクの自由」作戦は、「新しい夜明け」作戦に変わった。

 組織的な殺人・破壊行為である「戦争」が、「自由」から「夜明け」に変わった。⇒ http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=20757

 ところで、この残留正規米軍の「5万人」は、くしくも在日米軍と同じ規模。
 
 そういえば、日本「占領軍」も「進駐軍」に変わり、いまでは「在日米軍」――である……。

 米国防総省に代わり、来年10月以降、国務省が所管することになる、「傭兵」7万5000人にしても、中にはフィリピン、ネパール人の「使い走り」もいるが、たとえば無人偵察機を操縦できるような、高度な軍事技術を持った者が含まれている。

 「イラク」は「戦争の民営化」が現実のものになった、最初の「戦場」である……!!

 摂氏55度・汚職……そして被爆
 イラクの女性団体「女性の自由」の代表、ヤナール・ムハメドさんが、「デモクラシーNOW(DN)」のインタビューにこたえ、バグダッドの市民生活の惨状を語っていた。

 「摂氏55度。部屋に座ってもいられない。電気は1日に3時間、来るだけ。集金人が来て150ドルから250ドルも取って行く。ここには政府というものがない」
 「いろんなデモクラシーのストーリーを聞かされるが、私たちイラク人はそれを感じることもできない」
 「世界最悪の汚職の国に成り下がった」

  英紙インディペンデントのフィスク記者の同僚、パトリック・コバーン記者もDNのインタビューで、悪の華のような、汚職のすさまじさを語っていた。

 米国防総省の監査で、イラク復興資金がなんと90億ドル(87億ドル)も使途不明になっているというのだ。
 イラク政府に支出された12億ドルの兵器調達費など、まるごと「蒸発」してしまったという。
 (このイラクの新支配者による汚職の横行については、パトリック・コバーン著、拙訳、『イラク占領―戦争と抵抗』(緑風出版)を参照)

 (復興資金の「蒸発」問題は、「50億ドル」もの復興支援を行った、日本にとっても重大な問題である。日本のマスコミの記者諸君には、徹底追及してもらいたいところだ。それだけ国民の税金が使われたのだから……)

 インタビューでコバーン記者は、米海兵隊の猛攻撃で廃墟と化したファルージャで、イラク住民の間で、ヒロシマよりもひどい放射線による、白血病などの被爆被害が出ていることにも触れていた。
 (この点については、本ブログの以下の記事を参照。 ⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2010/07/post-12f8.html )

 復員兵の怒り
 イラク戦争に狩り出された米軍兵士たちでつくる「イラク戦争に反対する復員兵士の会(IVAW)」(会員数1700人)は、今回の「部分撤退」に合わせ、そのサイトに、「イラクの大失敗 7年戦争が残したもの」という声明を掲げた。⇒ http://www.ivaw.net/node/6111

 それによると、2009年の1年間だけで、245人もの復員兵が自殺を企てているそうだ。

 イラク戦争はイラクを破壊したばかりか、米兵の心も破壊しているのだ。

 「声明」はだから、イラク即時全面撤退、イラク復興への全面的な取り組みを求めている。

 IVAWはまた、ブッシュ政権を戦争犯罪者として告発もしている。

 そのブッシュに命じられ、「テロとの戦い」を支援した日本にも、応分の責任はある。

 小泉政権のイラク政策(対米支援策)も徹底して検証されねばならない。

〈参考〉
 ニューヨーク・タイムズ ⇒ http://www.nytimes.com/2010/08/19/world/middleeast/19withdrawal.html?_r=3
 

 星条旗紙 ⇒ http://www.stripes.com/news/middle-east/iraq/state-dept-planning-to-field-a-small-army-in-iraq-1.111839

 AP ⇒ http://news.yahoo.com/s/ap/20100728/ap_on_bi_ge/ml_iraq_contractors

 毎日新聞 ⇒ http://mainichi.jp/select/world/news/20100826ddm007030134000c.html

Posted by 大沼安史 at 12:30 午後 1.いんさいど世界 |

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