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2010-08-12

〔いんさいど世界〕 気象予報士たちのプロテスト 真夏の夜の……夢

 真夏の夜に、小話をひとつ。

 ―― その日の深夜、午後11時台の民放のTVニュース。

 巫女(みこ)のように清楚な、白いブラウス姿の気象予報士が画面に現れ、予言者にように、いつもの歯切れのよい口調で、こんな「天気予報」を、さも確信ありげに告げた。

 「明日もまた猛暑日。最高気温は37度に達することでしょう」

 そのあと、このニュース番組の看板娘といわれる、この巫女のような予報士は、意を決したように、さりげなく、こう付け加えた。「予報原稿」にはない、「アドリブ」のコメントだった。

 「地球温暖化は地球暑熱化の様相を深めて来ました。異常事態です……今夜も寝苦しい夜になりそうです……おやすみなさい」

 …………

 翌日の同じテレビ・ニュース。
 画面に登場したのは、「本日から担当することになりました」新人の気象予報士だった。

 急遽、交代したのだ。

 新人の予報士は、快活な口調でコブシを突き上げ、かわいらしい二の腕をのぞかせながら、こう全国の視聴者に向かって叫んだ。

 「明日も猛暑日。でも、日本は元気、日本晴れ、日本全国、チョー頑張るぞお~っ!」  

 巫女のような予報士は、「地球温暖化のタブー」にふれたことで、番組から降ろされていた……。

 * * *

 こんな小話が浮かんだのも、他ではない。

 「デモクラシーNOW」の女性キャスター、エイミー・グッドマンさんがコラムで、これと同じ問題提起をしていたからだ。
   ⇒ http://www.truthdig.com/report/item/news_at_11_how_climate_change_affects_you_20100810/

 天気予報のキャッチに「気象の極端化」を言うのなら、もっと率直に、「地球温暖化」を言うべきではないのか? 

 そうすれば視聴者は、明日は「薄着で」と思うだけでなく、この酷暑の連続、「気象変動」と、どこかでつながっている、と思い始めるに違いないのに……と。

 * * *

 アメリカの「午後11時」の「天気予報」も、「地球温暖化」にはさわらないらしい。

 なぜか? 

 エイミー・グッドマンさんは、ネットの気象サイト、「ウエザー・アンダーグラウンド」(日本語サイト ⇒ http://nihongo.wunderground.com/ )の創始者の一人、ジェフ・マスターズ博士の、こんな指摘を紹介する。

 「われわれは、資金の潤沢な敵と闘い続けているのだ。科学が示す真実を捻じ曲げ、情報として供給している敵と」

 「資金の潤沢な敵」とは誰のことか?

 言うまでもなかろう。

 テレビ局を動かし、政府や議会さえもロビー活動で操っているものどものことだ。

 * * *

 コラムの中で、エイミーさんが、昨年暮れの、「コペンハーゲン環境サミット」の後の、こんなエピソードを紹介していた。

 南米のボリビアは、サミットで、先進国などの二酸化炭素のさらなる削減を明記せよと迫り、受けれられなかったことから、「コペンハーゲン合意」なる文書への署名を拒んだ国のひとつだが、米政府はその報復に、ボリビアに対する数百万ドルの援助の約束を反故にしたそうだ。

 その時、ボリビアは米国に対して、何と言ったか?

 こう言ったそうだ。
 「その金、どうぞ、お戻し下さい。私たちは、何枚かのコイン(硬貨)のために戦っているのではありません。私たちは生きるために戦っているのです」

 金のためではなく命のために……。
 ボリビアのアンデス氷河もまた、地球温暖化で縮小の一途を辿っている……。

 ボリビアなどの提案に無視を決め込んだのは、米国のオバマだけではない。わが日本政府もそうだったことは、忘れてはならないことだ。

 * * *

 寝苦しい夜に、もうひとつ、「真夏の悪夢」を。

 いや、これは正確には、「悪夢」ではなく、科学者たちによる現実的な警告である。

 グリーンランドの氷床(アイスシート)が今後10年以内に、溶解の「ティッピング・ポイント(tipping point )」に到達しかねない、と警告を発したのだ。
  ⇒ http://www.guardian.co.uk/environment/2010/aug/10/greenland-ice-sheet-tipping-point 

 「ティッピング・ポイント」とは何かというと、そこに行き着いてしまったら、何をしようと――どうにも止まらない臨界点を指す。

 破局点、暴走ポイント……どう訳そうが、暑熱地獄の一丁目一番地に変わりない。

 * * *

 午後11時台、巫女さんのような人気気象予報士に代わって登板した新人予報士が、世界で最も権威ある環境ジャーナリズム、上記、英紙ガーディアンの電子版で、グリーンランドの氷床が断末魔にあえでいることを知り、天気予報の最後に、こんなコメントをアドリブで付け加えた。

 「グリーンランドの氷床も、このまま行くと、あと、よくて10年の命。みささん、地球温暖化対策、待ったなしです」

 翌日、その「本日最後のニュース」に登場した気象予報士は、またも「新人」だった。

 番組の後、政府の広報CMが流れた。

 「我が国は景気回復と地球温暖化防止に、今後とも鋭意取り組んでまいります」 

Posted by 大沼安史 at 10:16 午後 1.いんさいど世界 |

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