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2010-04-25

〔いんさいど世界〕 アメリカ復員兵の謝罪と自死

  アメリカ軍の復員兵たちがイラクの人々に「謝罪」している。戦争の罪をわびる「公開状」に、次々と署名している。

 先に本ブログ( ⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2010/04/post-6c09.html )で紹介した、米軍ヘリ掃射虐殺事件。
 バグダッド郊外の現場に事件直後、駆けつけ、生き残った幼い兄と妹を救い出した米軍地上部隊の兵士ら2人がネットで掲げた「公開状」に、同じ思いを共有する復員兵たちが、次々に「サイン」しているのだ。
 ⇒ http://org2.democracyinaction.org/o/5966/p/dia/action/public/index?action_KEY=2724&start=25

 すでに3000人を突破している。それだけの復員兵が、すでに自分たちの「罪」を認め、イラクの人たちに誤っている。

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 先のブログの繰り返しになるが、復員兵2人は、「謝罪文」にこう書いたのだ。

 「ビデオで写し出された行為は、この戦争の日常茶飯事です。これが米国主導の、この地域で行われているものの本質です」
 「私たちは、あなた方の愛する人を殺傷した責任を認め、アメリカ人に対しては『神と祖国』の名において訓練され、遂行されているものとは何なのかを訴えているのです」

 アメリカの権力に代わって、「責任」を引き受け、謝罪するアメリカの兵士たち。

 公開状に名を連ねた人の中には、現役の兵士もきっといるはずだ……。

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 アメリカ軍の復員兵たちが次々に「自殺」している。せっかく生還しながら、「アメリカ」で生きることを、あきらめている。

 最近、ショッキングな記事が、それも米陸軍向けの新聞、アーミー・タイムズに載った。

 米復員省の調査結果を報じた記事( ⇒ http://www.armytimes.com/news/2010/04/military_veterans_suicide_042210w/ )を読んで、驚いた。

 2009年会計年度(昨年9月末まで)に、イラク・アフガンの復員兵1868人(男性1621人、女性247人が自殺を企て、98人(男94人、女4人)が死亡しているのだそうだ。

 (数字が錯綜してよくわからないことろもあるが)、記事によれば、復員兵(ただし、米復員省のケアを受けていたものに限る。これにはイラク。アフガン以外の戦争経験者も含まれるものとみられる)の自殺の企ては、月平均、実に950件。そのうち、7%が成功し、失敗した人の11%が9ヵ月以内に再び自殺を企ているという。

 記事はさらに、1日平均、なんと「18人!」(うち 5人は復員省のケアを受けていた人だ)もの復員兵が自殺している、と報じている。

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 アメリカ復員兵の謝罪と自死――アメリカの復員兵(兵士)たちは、そこまで苦しんでいるのだ。

 「戦争」という名の殺戮と破壊、すなわち、人が人を殺すということは、そうそうかんたんに出来ることではない。直接手を下さない戦争の指導者であれば、かんたんに「攻撃せよ(殺せ)」と命じることはできるが、現場の兵士たちはよほど自分を殺してかからないと、人を殺せるものではないのだ。

 アメリカの軍事学者、デーヴ・グロスマン氏によれば、人を躊躇せず殺せる兵士は、たったの2%に過ぎない。訓練を受けても、そうなのだ。

 「限界」(もちろん、それが、あるとしてのことだが)を超えてしまったアメリカの軍事権力による「テロとの戦い」!

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 2007年7月、友軍ヘリが機関砲を掃射した虐殺現場に駆けつけた兵士がそこに見たものは――あるいはイラクで日々、見続けたものは、イラクの民衆の生活の場を戦場と化し、そこで「人間性を超えた」行為を――「戦闘」の名の下に続ける自分たちの姿であり、その自分たちの「戦闘」によって悲惨の極に突き落とされたイラク民衆の嘆きであったはずだ。

 イラク民衆の日常生活を「地獄」と化した自分たち!――アメリカの復員兵たちの「謝罪」は、そうした自覚に根ざすものだからこそ、深く、痛切である。

 復員兵たちの「自殺」の続発も、少なくともその動機の一部に、イラクやアフガンの地でなした行為に対する罪の償いを含むものではないか? 

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 2009会計年度に連邦予算の分析によると、歳出(支出)の26.5%が軍事費(直接的)に投下されている。突出した比率である(たとえば教育には、たったの2%)。⇒ http://www.nationalpriorities.org/taxday2010

 これを裁量可能な支出ベースで見ると、恩給費などを含む軍事関連費は55.3%と、半分を超えているのだ。 ⇒ http://www.commondreams.org/view/2010/01/26-2

 恐るべきことだ。

 アメリカは、「殺戮と破壊」を最大の公共事業とする、歪んだ「戦争国家」になり果てている。

 アメリカの軍事権力=「戦争の家」は、アメリカ人兵士の心を苦しめ、アメリカ社会をさいなんでいる。

 謝罪も、自己破壊も、「戦争の家」がなすべきことだ。

Posted by 大沼安史 at 12:44 午後 1.いんさいど世界 |

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