〔いんさいど世界〕 ハワード・ジン氏を悼む最善の道 草の根の運動を組織せよ! ラルフ・ネーダーが呼びかけ 航空機事故でなくなったミネソタ選出の上院議員、ポール・ウエルストーン氏の遺志を継ぐ運動をモデルに
米国の活動家、ラルフ・ネーダー氏が「ハワード・ジンさんを悼む最善の道」と題した追悼文を、進歩派のネット新聞「コモン・ドリームズ」に書いていた。
読み進むうち、「ポール・ウエルストーン(Paul Wellstone )」氏の名前が目に飛び込んで来た。いつかこのブログで書きたい思っていた「ポール・ウエルストーン」氏!
あの、無念の航空機事故でお亡くなりになった、このミネソタ州選出の上院議員の「遺志」が、いまアメリカの草の根に根付いていることを知ってうれしくなった。ネーダー氏は、ウエルストーン議員が遺したものと同じ流れの中で、人を育て、人々を組織する運動をつくり、ハワード・ジンさんの遺志を引き継いでいかねばならない、と書いていたのだ。
ミネソタ州選出の上院議員、ポール・ウエルストーン氏が夫人、長女とともに、謎の航空機事故で亡くなったのは、2002年10月25日のことだ。
ミネソタの名門、カールトン・カレッジの政治学の教授から、「ミネソタ農業・労働者党」の候補として連邦議会上院議員選挙に挑み、見事、当選をしたのは1990年のこと。
ジン氏同様、反戦・平和の進歩主義の立場を貫き、上院議員として湾岸戦争、さらにはイラク戦争に、断固反対した。
僕がこの人に関心を持ったのは、その航空機事故による墜落死に対し、「9・11」問題を追及していた、マイケル・ルパート氏が、その著書、『ルビコンを渡る』で暗殺説を提起していたからだ。
このルパート氏の「暗殺説」には、僕を説得するものがあったが、それはともかく、議員の事故死のあと、息子さんのデイビッドさん、マークさんの2人が「ウエルストーン・アクション」という、草の根活動家を育てるNPOを立ち上げ、活動していることは、ネーダー氏のジン氏追悼文を読むまでは知らなかった。
早速、ミネソタ州セントポールに本拠を置く「ウエルストーン・アクション」のHPにアクセスして見た。
なるほど、ネーダー氏が推奨するだけある組織だった。
活動の中心は「キャンプ・ウエルストーン」。全米各地で開いている、草のの根の活動家を育てる「2泊3日」のワークショップで、2003年以来、1万6000人が受講し、巣立っている。
学生相手の「キャンプ」、労働者のための「キャンプ」も開いているが、先住民族(インディアン)の活動家も育てているのには感心させられた。
僕は昔、ミネソタの先住民族による「サバイバル・スクール」を見学したことがあるが、社会の最底辺に落としこめられたネイティブたちに対しても、「ウエルストーン・アクション」は、連帯の手を差し伸べていた!
この「ウエルストーン・アクション」は、今年の年末の「中間選挙」を重視し、そのための運動の組織化に入っているが、その動きを見ても、アメリカ社会における「下からの変革」の胎動のようなものを感じる。
「ウエルストーン・アクション」はミネソタ発の運動だが、これに呼応する形で、ジン氏の地元、ボストンからも(あるいは、ジン氏がかつて公民権運動にかかわったアトランタからも)、きっと民衆による政治改革のアクションが生まれるに違いない。
ハワード・ジン氏の逝去は残念でならないことだが、ジン氏なきあとに空虚な穴は残らない。湧き上がり、噴き出て、溢れかえる民衆の運動が、きっと大きなうねりとなって広がるはずだ。
昔、べ平連の小田実さん、鶴見俊輔さん、吉川勇一さんらが、ジン氏らと海を超えて連帯したように、ジン氏、そして小田実氏の遺志を継ぐ運動が、日本でも広がってほしいものだ。
60年安保半世紀の今年、日米軍事同盟を超える、日米民衆の連帯よ、再び!!!
◇
ラルフ・ネーダー氏の呼びかけ ⇒ http://www.commondreams.org/view/2010/02/06-0
ポール・ウエルストーン氏のWiki ⇒ http://en.wikipedia.org/wiki/Paul_Wellstone
「ウエルストーン・アクション」⇒ http://www.wellstone.org/about-us
Posted by 大沼安史 at 06:05 午後 1.いんさいど世界 | Permalink
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