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2010-02-24

〔いんさいど世界〕 自爆攻撃を中東で始めた男、ヒズボラ(神の党)イマード・ムグニーヤ、「モサド」の自動車爆弾に死す 2年前の暗殺事件を英作家がレポート そこから浮かび上がる「神の国・日本」につながる悲しい事実!

 ドバイでの「ハマス」軍事指導者暗殺事件で、イスラエルの諜報機関「モサド」の活動に対し、世界の厳しい目が集まっているが、今から2年前、シリアのダマスカスで起きた、同じ親イラン・イスラム過激派組織、「ヒズボラ(神の党)」の軍事部門の指導者、イマード・ムグニーヤ暗殺事件の詳細が、「モサド」研究の権威をして知られる、英国の作家、ゴードン・トーマス氏によって明らかにされた。

 「モサド」の実態を白日の下にさらす、衝撃のレポートである。

 そこで同氏が、23日付の英紙インディペンデント紙に寄稿した記事の要点を、以下に紹介することにしよう。「モサド」という組織の秘密活動を暴露しているだけではなく、私たち日本人の胸を衝く、ある悲しい事実が、同氏によって提示されているからだ。

 まずは、イマード・ムグニーヤの暗殺事件について。

 イマード・ムグニーヤが、シリアの首都ダマスカスのイラン文化センター前の路上で、駐車中の車に仕掛けられた爆弾で暗殺されたのは、2008年2月12日の夜だった。
 同センターではイラン大使が主催する「イラン革命」を記念したレセプションが開かれており、ムグニーヤは車を降りて、センターへと歩き始めところを爆殺された。

 このムグニーヤというレバノン人は、暗殺されるまで、ビン・ラディンに次ぐ、ナンバー2の黒幕テロリストとして国際手配されていた男だった。
 1983年にレバノンで起きた、米海兵隊の宿舎爆破事件(241人を殺害)も、この男の指揮によるものだ。

 イスラエルのネゲブ砂漠にある「モサド」の本部で、ムグニーヤに対する暗殺命令が下されたのは、決行日のわずか9日前、2008年2月3日のことだった。

 前日、ベルリンのエージェントが、ムグニーヤの「顔写真」を入手していた。写真は保秘回線で電送され、本部に届いていた。

 ムグニーヤが最後に姿を現した、1980年の「ヒズボラ」の集会の際の写真と、似てもにつかぬ「顔」がそこにあった。

 ムグニーヤはベルリンのシュプレー川沿いにある、旧「シュタージ(東ドイツ国家秘密警察)」の整形クリニック(「ベルリンの壁」崩壊後も存続)で整形手術を受けていたのだ。

 つりあがった両目、とがったアゴ、いれかえられた歯並び……手術後、クリニックで撮影された写真は、まるで「別人」のものだった。

 3人の実行犯が選ばれた。「モサド」の旅行部門がフランス、スペイン、ドイツの実在の人物の偽造パスポートを用意、エア・チケットの手配を行った。

 3人はそれぞれ「自分」のアイデンティーと、職務質問されたときの「答え」を暗記し、ヨーロッパ経由でダマスカス入りした。

 かねて用意してあった、アジトのガレージで爆弾を製造、レンタカーの座席のヘッドセットに装着した。

 ダマスカスの地理、市街地の模様は、イスラエルの偵察衛星の偵察写真であらかじめ学習していた。ムグニーヤの「新しい顔」の画像は、3人がそれぞれ持ったケータイに収められていた。

 当日午後9時、イラン文化センターに向かって、銀色のミツビシ・パジェロが近づき、停車した。ドアを開けて降りた男がいた。新しい顔を持ったムグニーヤだった。爆弾を仕掛けた駐車中のレンタカーに向かって歩き出した……。

 ――以上が、暗殺事件の一部始終の要約だが、ゴードン・トーマス氏によれば、「モサド」は1980年のヒズボラ集会で撮影されたムグニーヤの写真を徹底解析し、その時点ですでに顔面に整形手術を受けた形跡のあることを確かめ、ベルリンの整形クリニックを突き止めたそうだ。

 また「モサド」は、1980年撮影の写真をもとに、心理学者ら専門家のチームに、「Rida(リダ=遠隔深層分析)」という手法を使い、ムグニーヤの性格、行動パターンを突き止めようともしていたという。

 さて、ここから、私たちの「日本」につながる、胸の痛む事実がひとつ、浮かび上がる。

 トーマス氏によれば、「モサド」が「リダ」を駆使してムグニーヤの心理・行動パターンを突き止めようとしたのは、子どもに毛の生えたような若者まで平然と自爆テロリストにリクルートし、中東全域に送り込んでいる、ムグニーヤの「内面=心理的宇宙」を理解するためだったという。

 ムグニーヤという男こそ実は、中東で「自爆テロ」をスタートさせ、大規模に展開した黒幕だった!

 では、ムグニーヤは「自爆テロ」というアイデアを何処から得たのか?

 トーマス氏の「答え」の部分を、そのまま訳して紹介しよう。

 「このヒズボラのテロリストの黒幕は、ヒズボラの機関紙、アル・サビアとアル・アブドに載った、第二次世界大戦の日本のカミカゼ・パイロットたちの自己犠牲を讃える記事を読んでいた」
 
 The Hizbollah terrorist mastermind had read an account of the Second World War Japanese kamikaze pilots in Hizbollah's own newspapers, Al Sabia and Al Abd, which had praised the pilots for their sacrifices.
 
 Kamikaze は Tsunami 同様、世界語化した日本語で、中東などで自爆テロが行われるたびに報道で使用され、それを目にするたびに切ない思いにとらわれて来たが、それが「偶然の一致」ではなく、日本の「特攻隊」に「ルーツ」を持つものだとは知らなかった!

 私もまた、戦時中、米国の軍艦に向かって飛び立ち、死んでいった特攻隊員の(そして遺族、友人の)胸中を思うと、悲しくてたまらなくなり、同時に、「特攻」を命じた者に対して怒りを禁じえない一人だ。

 当時の軍の中枢は、いったい、どんな心理で、あのような行動をとったのだろうか?

 ゴードン・トーマス氏によれば、「モサド」のムグニーヤに対する「リダ」分析では、「最終結論」は得られなかったという。
 

 ゴードン・トーマス氏の記事 ⇒  http://www.independent.co.uk/news/world/middle-east/mossads-most-wanted-a-deadly-vengeance-1907327.html

  イマード・ムグニーヤ Wiki ⇒  http://en.wikipedia.org/wiki/Imad_Mughniyah 

Posted by 大沼安史 at 07:25 午後 1.いんさいど世界 |

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