〔コラム 机の上の空〕 「平和の母」の Mythocracy 批判
愛息のケイシーさんをイラク戦争でなくした米国の反戦運動家、「平和の母」こと、シンディー・シーハンさんが、最近、『Mith America(神話のアメリカ)』という本を電子出版した。
その「新刊」をめぐる彼女のエッセイ、「現代のプロパガンダが狙うもの:Mythocracy(神話政治)」が、ネット・ジャーナリスムのサイトで紹介されていたので、読んでみた。大事なことに気づかされ、励まされる、シンプルなエッセイだった。
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神話(ミス)と統治(クラシー)の合成語、「ミトクラシー」。
捏造された事実をプロパガンダで神話化することによって「真実」とみせかけ、民衆を統治するデマゴギー政治を指す。
アメリカの一般大衆は、「ミトクラシー」によって、どこまでデマゴギーを注入されているか?
その現実の一端を彼女は、行きつけのスポーツクラブで、「スーパー・ボウル」(アメフト優勝決定戦)の日に見たという。
試合開始の時間になり、ガラガラになったプールで泳いだりしたあと、ホットバスに浸かり、居合わせたビルという名の初老男性と、こんな話を交わしたそうだ。
ビル あなたのやっていることは、戦死した息子さんの名を汚すことだよ。
彼女 そうかしら? 息子は非合法で非道徳的な戦争で殺されたの。息子の名を汚したのは、この国よ。
ビル でも、やつらが「9・11」で、わしらを攻撃して来たんだ。
彼女 えっ、「9・11」で、誰が攻撃して来たの?
ビル イラクとサダム・フセインだよ。
…………
2人の会話はさらに続くが、これで十分だろう。
彼女より年上の、ビルという男性に対する、アメリカ右翼権力による、ミトクラシーの勝利!
「私の‘スポーツクラブ仲間’のビルは、(この国の)右翼に完全にプロパガンダされてしまっていた……」
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こうした「ミトクラシー」に負けないため――いや、それに対して、民衆の「革命」で応えるために、彼女は新著を出したのだそうだ。
そう、「革命(レヴォルーション)」を起こそうと、彼女は言い切っている!
どんなふうに「革命」を起こすのか?
彼女の呼びかけは、実に素朴で単純だ。たった4つのことを呼びかけているだけ。
「まず、われわれはミトクラシーの現実を生きている事実を、しっかりつかむ」
「次に、その神話をどんどん暴き立ててゆく」
「そして団結して、(支配階級である)ドロボー階級(Robber Class)に抵抗する」
「最後に、(トップ・ヘビーになった、このミトクラシー)帝国が近い将来、ひっくり返ることを見通す」
体制の神話を破り、民衆が連帯して抵抗すれば、それで「革命」は成る、というわけだが、彼女はさらにダメ押しで、「これは、わたしたちが勝つに決まった革命だ」と言い切る。
理由は、ふたつ。
① ドロボー階級(1%の超少数派)は、われわれ一般大衆に寄りかからざるを得ない。
② われわれの方が人数が圧倒的に多い。
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彼女はエッセイの冒頭に、フランスの思想家、ジャック・エリュールの、こんな言葉を掲げていた。
「現代におけるプロパガンダの目標は、最早、世論を変えることではない。そうではなく、活発な、神話的な信念を湧き起こすことだ」
こうした「現代におけるプロパガンダ」は、もちろん、私たちの日本においても、教育、メディアを通じ、今もって――いや、ますます強力に、盛んに行われていること。
その「幻想」をどう切り裂き、その正体をどう暴いてゆくか?
「ミトクラシー」を脱神話化する――最低でも、神話化づくりに加担しない。
現代におけるジャーナリズムの死活的な使命は、ここにある。
⇒ http://cindysheehanssoapbox.blogspot.com/2010/01/order-info-for-myth-america-ii.html
http://dprogram.net/2010/02/15/the-goal-of-modern-propaganda-mythocracy-cindy-sheehan/
Posted by 大沼安史 at 11:00 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink

















