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2010-02-14

〔いんさいど世界〕 My Way カラオケ殺人事件

  そろそろ――といってもまだ早すぎですが、職場で人事異動が行われる時季。二次会のカラオケが盛り上がる季節です。

 皆さんの「持ち歌」(18番)は何でしょう? 僕の場合はアン・ルイスさんの「グッバイマイラブ」(ポイ捨てされるタイプなものですから……)ですが、ひょっとして「マイ・ウエー」だなんて人、いませんか?

 今朝は、その、My Way の話題を。
 ニューヨーク・タイムズ(電子版)の、「最も歌われた……あ、いや、読まれた記事」の「第一位」の座を、たしか3日間にわたって守り続けた記事です。

 書いたのは、ノリミツ・オオニシ記者。同紙が誇る、日系カナダ人の、エース記者です。フィリピン発、2月7日付、「死の和音を奏でるシナトラ・ソング」という見出しのついた記事。

 シナトラとはもちろん、「マイ・ウエー」のフランク・シナトラさんのことです。

 なるほど、トップを張った記事だってことが、読んでみてよくわかりました。
 なにしろフィリピンでは、なぜか、「マイ・ウエー・カラオケ殺人事件」(現地では、マイウエー・キリングって言ってるんだそうです)が、過去10年間に6件も起きているというんですから。

 それでフィリピンでは、「マイ・ウエー」を曲目から外してしまうカラオケ店が相次いでいるそうなんですね。

 しかし、それにしても、「マイ・ウエー」が、マイ・人生のジ・エンドに、どこでどうつながるのか?

 ノリミツ・オオニシ記者によると、その因果関係に定説はまだないそうですが、有力な説がないわけではない。

 どうも、この歌の歌詞に殺意が生まれる秘密があるようなんですね。

 フランク・シナトラさんが歌っているこの歌の歌詞は、ポール・アンカさんがシナトラに捧げたものなんですが、大御所を持ち上げるというか、歌の帝王にふさわしい歌詞を考えたというか、どうもゴーマンに聞こえるところがあるんですね。

 なにしろ、I did it, my way. オレ、やり切ったぜ、オレ流で。なんか、もんくアッカ?! っていうわけですから。

 あのシナトラ流に、朗々と、しかも自信たっぷり、「オレ、やったぜ」と歌われたら、う~ん、そんな気持ちにもなるかもしれないなあ~???!!!

 そういえば、
 I faced it all and I stood tall;
 And did it my way.

 オレは立ち向ったぜ、雄雄しく
 そしてオレは、オレ流でやりとおしたのさ

 ―― なんて詞もありますから。
 フィリピンも貧富の差が激しく、最後まで苦しい人生を送らざるを得ない人が多いわけでもあるし……???

 しかし、歌い手の立場で言えば、その人にはその人の人生しかないわけですから、「オレ流」でやって来た、と歌うしか、ないのですね。
 誰しも、マイ・ウェーしか、ないのですから……。

 だから、そこに―― ♪ I did it, my way. と声はりあげ、歌い上げたその時――僕はここが決定的瞬間だと思うのですが――「下手くそ」とか「ば~か」なんて野次や笑いが飛んだら、憎しみの炎、メラメラ瞬間湯沸し機状態になってしまいますよね。

 フィリピンってところはカラオケが盛んなところで、朝から路上カラオケしてる風景もよくみられるそうですが、中にはホステスさんがいるカラオケ店もある。そこで「マイ・ウエー」を歌って、好きな彼女の面前で恥をかかせられたら……ってこともあるようです。もちろん、オオニシ記者がレポートで言ってることですが……

 しかし、カラオケってもともと、歌を通じて連帯の輪を広げ、絆をたしかめるもの。カラオケがカンオケに直結するようなことは、あってはならないことですね。

 そんな願いをこめて、オオニシ記者は、記事を、カラオケ店で出会った、2人のフィリピン人男性へのインタビューで結んでいます。

 2人は生活が厳しいから、憂さ晴らしにカラオケで歌っているのだそうです。
 年下の42歳の男性が「悩むんじゃない、悩みに悩ませておけ!」ってフィリピンのことわざをオオニシ記者に紹介し、2人して大笑いしてみせたそうです。

 そして最後に、年上の62歳の男性がこう言った。「マイ・ウエー殺人」が起きるのは、「誤解や妬みがあるからだ。あってはいけないことだね」と。

 「誤解や妬み」のない歌声の輪よ、カラオケから生まれよ!

 でも、誤解や妬みは人事異動にはつきもの。カラオケで歌うなら、ケセラセラとか、ラブソングが無難なのかも知れないなあ~!?
 
 
⇒  http://www.nytimes.com/2010/02/07/world/asia/07karaoke.html?em

Posted by 大沼安史 at 12:11 午後 1.いんさいど世界 |

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