〔コラム 机の上の空〕 オバマよ、戦争(人災)をやめて、震災ハイチの救援・復興に全力を挙げよ
アフガン戦争をエスカレートさせたオバマが、ハイチに米軍の救援部隊を送り込んだ。
2005年、イラク戦争の最中、ハリケーン・カトリーナがニューオルリーンズを襲った時の、ブッシュ政権の「不動」の姿勢は“見事な”ものだったが、それに比べて、オバマの動きは格段に速かった。
が、しかし……。
かつてハイチでの米軍の活動を現地で取材したことのある、英紙インディペンデントのジャナーリスト、パトリック・コバーン氏が、同紙に書いていた。
「アメリカはハイチをダメにしようとしている――もう一度(The US is failing Haiti – again)」と。⇒ http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/patrick-cockburn-the-us-is-failing-haiti-ndash-again-1869539.html
なぜ、「もう一度」なのか?
それは過去に、すでに一度、この国をダメにしているからだ。
ブッシュ政権が、元神父のアリスティドを国外に追放、現政権を据えたのは、2004年。その時、この国の泥棒特権層のために街頭で暴れ回ったのは、地元のギャングどもだった――と、コバーン氏は指摘する。
腐敗した、無能な政権。国内統治をおろそかにしたツケが、今回の大地震で噴き出した。
あの、カトリーナのブッシュ政権のように、救援・復旧に「不動」の姿勢を貫いた(いまなお貫いている)、プレヴァル政権。
オバマはハイチの復興に全力を挙げると見栄を切っているが、本気でハイチを再生させるなら、まともな、正統な政権を――国民のためのまともな、正統な政権を打ち立てなければならない、とコバーン氏は指摘する。
それができなければ、イラク、アフガンの二の舞を演じることになるだけだと。
ハイチとニューオルリーズの悲劇は、たしかに天災によるものだが、人災的な要素も強い。
イラク戦争とアフガン戦争という、最悪の人災が続く中での惨憺たる事態、という点でも両者は共通している。
戦争に反対する人々の思いと、被災者に救いの手を伸ばそうとする人の思いは同じだ。
オバマよ、戦争をしているときではない。被災者を救う時だ。
アフガンで戦争を止め、戦災者を救い、ハイチを復興する時だ。
戦争(人災)を止め、地震(天災)被害と闘う時だ。天災との闘いを通じて、アメリカのアイデンティティーを回復せよ!
それが、君がなさねばらない、あのオスロで授与された、ノーベル平和賞にふさわしい行為である。
Posted by 大沼安史 at 10:01 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink

















