〔ハイチ NOW〕 米軍の展開 その影に「石油」
ハイチの震災に対し、米政府がすばやい反応を示し、米軍を続々と現地に送り込んでいる。
米軍はマイアミに司令部を置く「南方軍」(中南米管轄)の指揮下、空母「カール・ヴィンソン」や上陸用舟艇を派遣、最終的に9000人から1万人を現地に展開させる方針だ。
この米政府の本腰を入れた対応ぶりについて、支持率急降下に悩むオバマ政権による、人気回復をねらった「人道支援」との見方が強かったが、ここに来て、今回の軍事作戦の影に「石油」がちらつき出した。
カナダのグローバル・リサーチ研究所が掲載した論文( ⇒ http://globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=17149 によれば、米国はハイチのおける石油埋蔵を1970年代の初めには確認済みで、中東の油田が枯渇した時に備え、手をつけずにいたそうだ。
(たとえば、1972年の石油専門誌では、ハイチ北部の湾を、スーパータンカーが進入できる規模に開削する計画が報じられている。また、1973年11月、ハイチの米大使館員が米国務省に対して行った報告では、当時のハイチ政府が製油所や石油積み出し施設の建設を提案したことや、米国の石油会社3社が同大使館に接触した事実が明らかにされている、という)
ハイチに石油が埋蔵されていることは、この国が米国のガルフ油田、ベネズエラの油田の中間にある地理的関係からも分かるような気がもするが、この「ハイチに石油」という視点で、ハイチ現代史を眺めると、石油資本の代理人でもあるブッシュ父子がなぜ、この国のクーデター(1991、2004年)に関与したか、その動機がはっきりする。
上記、グローバル・リサーチ研掲載論文には、パパ・ブッシュの時代にすでに、ハイチ北部の港は「プライベート港」化されたことも書かれている。
クーデターでハイチを追われた(貧民区で活動していた元神父の)アイスティード前大統領は亡命先の南アフリカで、ハイチへの帰還を求めているが、アイスティード氏が国民の期待に応え復帰すれば、「石油国有化」に出るのは必至。
それを加味して考えれば、米軍による救援に名をかりた「ハイチ占領」は、現在の傀儡政権を支え、「石油ナショナリズム」の火の手が上がるのを阻止する布石以外の何ものでもなくなる。
すでに米軍の救援活動は、早くもその「正体」――救援よりも軍事優先の姿をあらわにしている。ハイチ唯一の空港、ポルトープランス空港の管制を支配下に置き、「国境なき医師団」やフランス政府の救援機の着陸を拒否するなど、米軍による「ハイチ占領」が進んでいる。
傀儡政権下、国営製粉工場やセメント工場の閉鎖で、小麦、セメントを米国からの輸入に頼らざるを得なくなったハイチ。
そしてこんどは石油までも……?!
人道的側面にだけ目を奪われず、アメリカのハイチ占領の行方を見守らねばならない。
参考 ⇒ http://www.nytimes.com/aponline/2010/01/15/us/politics/AP-US-US-Haiti-Earthquake.html?_r=1
http://globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=17000
⇒ http://www.youtube.com/watch?v=gWpxDX-7y60&feature=related
Posted by 大沼安史 at 11:09 午前 | Permalink