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2009-12-12

〔いんさいど世界〕  アフガンのジャンヌ・ダルク  マラライ・ジョヤさん 「花は刈れても、春の訪れは止められない」

 2003年12月、新アフガニスタン憲法を制定するために選出された代議員が集まり、カブールで国民大会議(ロヤ・ジルガ)が開かれた。

 南西部、ファラ州の難民キャンプからやって来た、若い女性代議員が、議場から叫んだ。
 マラライ・ジョヤさん(当時24歳、)が発言を求めたのだ。

 議長が「3分間」、発言を許可した。
 マラライ・ジョヤさんは言った。

 「ここにおられる皆様方の許可と、殺された殉教者たちに対する敬意をもって、私は発言したいと思います。私はこの議場にいる同胞を批判したいと思います。この国の惨状に責任のある犯罪者たちを、この国の惨状に責任のある軍閥たちを、あなた方はどうして、このロヤ・ジルカに出席させているのですか? アフガニスタンは国内、及び国際的な紛争の中心地になっています。彼らは女性を弾圧し、この国をダメにして来ました。裁判にかけられるべきです。アフガンの人々はもしからしたら彼らを許すかも知れない。しかし、歴史は彼らを許さないでしょう」」

 議長が言った。「着席しなさい。座りなさい。彼女は共通の礼儀の一線を超えた。この議会から放する。戻って来てはならない。つまみだせ。彼女はここにはふさわしくない」――

 マラライ・ジョヤさんの、歴史に残る「3分間スピーチ」である。
 ⇒ http://www.youtube.com/watch?v=iLC1KBrwbck

 米国から「支援」され、アフガンを支配する、軍閥・戦争犯罪者によるカブールの政権を告発する発言だった。

 それが、どれだけ勇気のいることだったか?……それはその後、彼女が5回も暗殺されかかったことからも分かる。

 「アフガンで最も勇気のある女性」――マラライ・ジョヤさんは、こう呼ばれている。地下生活を余儀なくされた彼女に刺客が放たれている。「あと何日、生きられるか、分からない毎日」(英紙インディペンデントのインタビュー)を生きて来た。

 そうしてこれまで6年間、アフガン傀儡政権の腐敗、アフガン戦争の停止を訴え続けて来た。

 いま、30歳。彼女を守る「防衛委員会」も組織されている。
 昨年(2008年)には、暗殺されたロシアの女性ジャーナリストを記念する「アンナ・ポリトコフスカヤ賞」を受賞。ことしの秋には、自らの体験を通じてアフガンの再生を訴える自伝、『私は発言する(Raising My Voice)』を出版した。

  自伝の出版プロモートで訪れたニューヨーでは、チャイナタウンにある消防署スタジオで、「デモクラシーNOW」のエイミー・グッドマンさん(キャスター)のインタビューを受けた。
 インタビュー・ビデオ デモクラシーNOW ⇒ http://www.democracynow.org/2009/10/28/a_woman_among_warlords_afghan_democracy

 こんどは(パシュトン語ではなく)「英語」での「発言」だった。(上記ビデオには英文のテキストもついているから、視聴するだけでなく、読むこともできる)

 それによると、彼女の地元のファラ州ではことし5月、150人以上の民間人が戦闘に巻き込まれ死んだそうだ。そのほとんどが婦女子。

 また、アフガン戦争が始まって8年間に、アフガン全土で殺された、罪もない民間人は8000人以上に達するそうだ。これに対して、タリバンの戦死者は200人未満に過ぎない。

 米軍は白リン弾(化学兵器、水をかけても消えない)やクラスター爆弾という非人道兵器も使用しているという。

 米国の傀儡政権は私腹を肥やすことに専念し、軍閥は跋扈、カルザイ大統領の弟は麻薬の密売元締めで巨利を手にするなど、腐敗は極限に達している……。

 このインタビューの時点(10月28日)でオバマは、アフガン増派の検討段階にあったが、マラライ・ジョヤさんは増派を見越して、こう語っていた。

 「(増派される)これら米軍兵士たちは、アメリカ政府の犠牲者です。悪しき理由――つまり戦争のため、兵士たちを送り込んでいるのです。イラク戦争は悪い戦争だけど、アフガン戦争は善い戦争だと、彼らは言っていますが、戦争は戦争です。デモクラシーも、女性の権利も、人権も、戦争によっては実現不可能です」

 You know, that as I said, these troops are the victim of the wrong policy of their government. They send them for a bad cause: for war. They say war of Afghanistan is good war, war of Iraq is bad war, while war is war and impossible to bring democracy, women rights, human rights by war. And unfortunately, Obama’s policy and Obama’s message for my people is quite similar, like his foreign policy like Bush administration. He wants to surge more troops in Afghanistan, which will bring more conflict, more war.

 こうしたマラライ・ジャヤさんの「発言」の前では、オバマ大統領のノーベル平和賞演説の「巧言令色」など、かたなしである。

 米国の世界的な言語学者で、平和運動家のノーム・チョムスキー氏(マサチューセッツ工科大学教授)は、オバマではなく、ジョアさんにノーベル平和賞を、と呼びかけていたが、ほんとうにその通りである。

 オバマはオスロでの演説で、アフガン戦争を「正義の戦争」と言った。マラライ・ジョヤさんは「戦争は戦争だ。デモクラシーを実現しない」と言った。
 どちらの「発言」が、正しき(ジャストな)ものか、すでに明らかであろう。

 オバマよ、ジョヤさんの「正義の発言」を聞いて、考え直せ!
 世界の人々はもしかしたら君に対するノーベル平和賞授賞を認めるかもしれなが、歴史は許さないだろう。

 最後に、アフガンのジャンヌ・ダルクとも言うべき、マラライ・ジョヤさんの、インディペンデント紙のインタビューに対する「発言」の続きを。

 「私は死を恐れていません。不正義を前に沈黙し続けることを恐れているのです……花を切り取ることはできるでしょう。しかし、誰も春の訪れを止めることはできません」……

 You can cut down the flower, but nothing can stop the coming of the spring.
 
    ☆ 

 インディペンデント紙 ⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/malalai-joya-the-woman-who-will-not-be-silenced-1763127.html

 http://www.independent.co.uk/news/world/asia/afghanistans-bravest-woman-brings-her-message-to-uk-1757490.html

 アンナ・ポリトコフスカヤ賞 ⇒ http://www.rawinwar.org/content/view/67/197/

 マラライ・ジョヤ防衛委員会 ⇒ http://www.malalaijoya.com/index1024.htm

 彼女に関するWiki ⇒ http://en.wikipedia.org/wiki/Malalai_Joyahttp://www.malalaijoya.com/index1024.htm

Posted by 大沼安史 at 04:18 午後 1.いんさいど世界 |

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