〔いんさいど世界〕 飼い主の「発作」を察知し、「警告」を発するワンちゃん!
11月11日(わんわんわんわんの「犬の日」)――過ぎてしまいましたが、先週に続き、ワンちゃんの話題を。
まずは、ニューヨーク・タイムズ(電子版)で、「最も読まれたランク」のトップに立った「大ニュース」から。
「介助犬」――ご存知ですよね。「盲導犬」はもちろん、その代表選手。
最近はその「介助」の幅がうんと広がり、「冷蔵庫」からものを取って来てくれたり、飼い主の「手足」になってくれるワンちゃんもデビューし、日本でも活躍し始めています。
でも、ニューヨーク・タイムズの記事に出ていた、「ジェット」というワンちゃんには驚きましたね。
「ジェット」って、アメリカのニュージャージーで、女性の飼い主の「介助」をしているラブラドルなんですが、その「介助」が凄い。
飼い主の方、癲癇(てんかん)の発作が起きる方なんだそうですが、この「ジェット君(オスです)」、その発作を事前察知できるんだそうです。
飼い主本人が、全然、気づかないうちに。
察知したら、どうするか?
飼い主の目を、一生懸命、見るんだそうです。
そう、「視線」でシグナルを送るんですね。
「そろそろ発作ですよ。ベッドに横になってください」って訴えるですね。
飼い主がそれでも気づかなかったら、どうするか?
ここが「ジェット君」の、ほんと、偉いところですが、飼い主が倒れたとき、頭を強打しないよう、後ろに回って、自分がクッションになって受け止めるんだそうです。偉いなあ~!
それから、意識不明になった飼い主を様子を見て、そろそろ起きてはいかがですか?――って、飼い主の手の平にオモチャをポトンと落としたりもする。
ネっ、凄いでしょ!
ニューヨーク・タイムズによれば、同じような犬は、ハンガリーにもいるそうです。
そのワンちゃんに対する、研究結果が昨年、発表されたそうですが、盲人で癲癇のご主人が発作を起しそうになると、吠えたり、顔を舐めたりする。
それも、10秒前とか、20秒前といった秒読み状態ではなく、なんと「3分から5分前に」察知して警告を発することができる。
どうして事前察知できるのか、謎なんだそうですが、とにかくワンちゃんには、こんな凄い、超能力があるのですね。
でも、これだけじゃないんです。これも同じ、タイムズの記事に出ていたことですが(人間の悪性腫瘍、血糖値の低下の感知なんかも、ワンちゃん超能力のレパートリーに含まれるそうですが)、ヒーリング能力――癒しのパワーに期待して、「精神療法犬」……それも、戦場帰りのトラウマを抱えた兵士のために育成しよう、なんて研究も始まっているそうです。
米軍です。陸軍。ことしの9月、30万ドルの予算をつけて研究が始まったんだそうです。
イラク・アフガン帰りの米兵たちは、ほんと、心に致命傷を抱えて帰還した人たちなんですね。銃の乱射事件、自殺……もう、こうなると、ワンちゃんたちの「超能力カウンセリング」に期待するしかないのかも……。
そうそう、そういえば、オーストラリア軍の爆薬検知犬の「サビ」ちゃん(メス)って黒ラブラドルが、アフガニスタンで戦闘中に行方不明になっていたのですが、それがなんと1年2ヵ月ぶりで、生存が確認された(米軍によって保護された)そうです!
アフガンの戦場で、14ヵ月も、どうやって生き延びたのか知りませんが、「明るさ」というか、「人なつっこさ」を――犬の人間性(?)を失っていなかったそうです。
犬って、ほんと、凄い!
ところで、もう一度、ニューヨーク・タイムズの記事に戻ると、犬の中で最もアタマのいいのは……カナダ・バンクーバーのブリティッシュ・コロンビア大学の犬博士、スタンレー・コーレン先生によれば、ボーダー・コリーなんだそうですよ。
これは5年前、ドイツで明かになったことですが、「リコ」というボーダー・コリーは、モノの名前を1発で200も覚え、しかも記憶が1年間、持続するんだそうです。
それから、プードルとかラブ、シェパードなんかもアタマがよくて、人間のサイン・音声(コトバ)を、250くらいまで覚えることができるそうなんです。
最近、アルツ気味の僕としては、なんか、うらやましいなあ~。
そのうち、「リコ」ちゃんみたいな「物忘れしないワンちゃん」が、僕んちに、「ボケ介助犬」で来てくれたりして……。
ニューヨーク・タイムズの記事 ⇒ http://www.nytimes.com/2009/11/01/weekinreview/01kershaw.html?_r=2&em
アフガンの「サビ」ちゃん
http://www.guardian.co.uk/world/2009/nov/12/bomb-dog-safi-found-afghanistan