〔いんさいど世界〕 熊さんとロジャース博士の友情物語
今日はアメリカに棲む、ノースアメリカ・ブッラクベアという熊さん――黒熊さんですね――と、70歳になる、おじいさん熊博士、リン・ロジャースさんの友情物語を。
最近、イギリスのBBCで、そのドキュメンタリーが放映され、その「トンデモ(よい意味で!)交流ぶり」が話題になり、ニュースにもなって世界を駆けめぐっています。
で、舞台はアメリカの、中北部、カナダ国境に近い、ミネソタ州北東のノースウッド……つまり、「北の森」。森と湖の、豊かな自然に恵まれたところです。
ロジャース博士は、そこに住み込みで、熊研究を続けている人なんですね。黒熊を研究する白髪のおじいさんです。
ミネソタのノースウッドに来てから、もう22年になるんだそうです。ミネソタに来る前は、ミシガン州で20年間、熊研究してたといいますから、42年もの研究歴。
熊はもちろん猛獣ですから、かんたんには近づけません。で、麻酔銃で撃って、電波発信器をとりつけて、生態調査をしていた。
これってふつうの研究法のようなんですが、ロジャースさんは、それで満足できなかった。
どうしたか? 仲良くなったんですね。
仲良くなるといっても、こっちから近づいて行って、いきなりベアハッグ、なんてしてしまったら、一巻の終わり。
熊さんの大好きな木の実をプレゼントして、ブラック・ベアと信頼関係を築いて行ったんだそうです。
信頼関係を深めた相手は、現在8歳になる、熊のジューンさん(3児の母です)。
で、どのくらい親密かというと、たとえばジューンさん、博士の髭面を、舐めまわしてくれるですね。キスしてる、つもりなんでしょうが、すごいですね。
あと、森の中の木陰で、二人並んで座って、景色を眺めたり。
その信頼関係たるや絶大なもので、ロージャースが連れて来る人たちも仲間だと思って、絶対に襲わない。
で、ロジャース博士は「熊の学校」を開いて、野生熊と触れ合う現地学習を続けているそうです。一度、参加してみたいですね。
ロジャース博士には、もう一頭、ジューンの妹かお姉さんのジュリエットという交流相手がいるのですが、こちらは現在、信頼関係構築中。
攻撃のするふりをしたり、カメラに左フックを見舞わせたり、まだ「威嚇」行動をしているそうですが、ロジャース博士に言わせれば、「凶暴」なんじゃなく、怖がっているだけなんですね。
博士によれば、地球で最も危険な動物は人間。熊は100万頭に1頭しか、人間を殺さないけど、人間は18000人に1人、殺人を犯しているそうです。
うーん、人間が一番、危険……「アフガン」や「イラク」のことを考えると、なんか、納得しちゃいますよね。
最後にもうひとつ。ロジャース博士の研究で、おもしろいことが分かったので、ご紹介しましょう。
それは、あの「熊のプーさん」から生まれた、神話、と言うか伝説に関することですが、熊さんってハチミツ大好きってイメージ、僕ら、持ってますよね。
でも、実際はハチミツ、好きじゃないんだそうです。
蜂の巣に近づいたら、刺されちゃいますからね。
ロジャース博士の研究所では――「ワイルド・リサーチ・研究所」というのですが、インターネットでも画像などを公開しています。
動物好きのみなさん、必見のサイトですね。
一度、ごらんになってください。
中学校の先生たちが――英語や生物の先生たちが、このロジャースさんのサイトを「教材」に「総合学習」の授業をしたら、きっと大人気になるはず。(文科省のみなさんも、学習指導要領違反だなんてケチなこと言わないで、一度、のぞいてくださいね)
見るだけでも楽しい。とくにジューンの小熊たち、かわいいですよ~!!
博士の研究所 ⇒ http://www.bearstudy.org/website/
http://www.guardian.co.uk/environment/2009/oct/27/bearwalker-of-the-northwoods