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2009-11-09

〔コラム 机の上の空〕 怒りを込めて、Happy Birthday! アフガンで友軍に「誤射」されて死んだ、兄、パット・ティルマンへ 弟のケヴィン氏が戦争告発の文

 11月6日は、アフガンで友軍による「誤射」で死んだ、アメリカン・フットボールのスター選手、パット・ティルマン氏の誕生日である。

 パット・ティルマン氏が、不可解な状況の中で殺されたのは、2004年4月22日のこと。
 生きていれば、ことし、33回目の誕生日を迎えたはずのティルマン氏!

 「9・11」に衝撃を受け、スター選手の地位を投げ捨てて、米軍に加わった人だ。
 戦地で仲間にコーヒーをふるまい、作戦の合い間に読書にふけるような人だった。
 休暇で一時帰国し、シアトルから、反戦運動のリーダー、ノーム・チョムスキーに電話を入れたあと、アフガンの戦地に戻って殺された。

 そのパット・ティルマン氏の実弟、ケヴィンが、2006年の兄の誕生日に書いた文章を、ネット誌の「トゥルースディグ」が、誕生日に合わせ、再掲した。

 ケヴィン氏は兄と一緒に米軍に加わって、ともにイラク・アフガンと転戦、2005年に除隊した人。実弟であり、戦友である。

 ケヴィン氏の文章を、読んで圧倒された。その、「ハッピー・バースデー、パット・ティルマン」は、「トゥルースディグ」の編集者が言うように、まさに「必読」の文章と言うべき、胸に迫るものだった。。
 ⇒ http://www.truthdig.com/report/print/20091106_happy_birthday_pat_tillman/

 「なぜか(どういうわけか Somehow)」で始まる、告発の「声」の連打!

 Somehow the more soldiers that die, the more legitimate the illegal invasion becomes.
 なぜか兵士が死ねば死ぬほど、非合法の侵略が正統なものになってゆく。

 Somehow American leadership, whose only credit is lying to its people and illegally invading a nation, has been allowed to steal the courage, virtue and honor of its soldiers on the ground. 
 なぜかアメリカの指導部は、人々に嘘をつき、不法に侵略している、それだけが取り得なのに、戦場の兵士たちの勇気、美徳、名誉を盗むことを許されて来た。

 Somehow profiting from tragedy and horror is tolerated.
 なぜか悲劇と恐怖から利益を得ることが容認されている。

 Somehow American leadership managed to create a more dangerous world.
 なぜかアメリカの指導部はより危険な世界づくりをやりとげてしまった。

 Somehow a narrative is more important than reality.
 なぜか宣伝が現実よりも重要になっている。

 Somehow nobody is accountable for this.
 なぜか、このことに誰も責任を取らない。

 まるで、ケヴィン氏がお兄さんのパットを、アメリカという国のフィールドに呼び返し、不法にこの国を「侵略」する、「アメリカの指導部=権力者」に対して、繰り返し、ディフェンスのタックルをさせているような、痛烈な、それでいて哀切極まる、一度読んだら忘れられない、戦争告発の文章である。

 ケヴィン氏は、こう書いて、文を締め括る。

 Luckily this country is still a democracy.  People still have a voice.  People still can take action.  It can start after Pat’s birthday. 
 幸い、この国はまだデモクラシーの国だ。民衆はなお「声」を持っている。民衆はなお行動を起すことができる。パットの「誕生日」を終えたら、始めることができる。

 2009年のパット・ティルマン氏、33回目の誕生日までに明かになったこと――それは、不法な戦争を続ける、アメリカ指導部というものの、嘘であり、無責任であり、戦場の兵士たちの「勇気・美徳・名誉」の簒奪である。

 そうしたアメリカ指導部の、アメリカ民衆に対する「攻撃」に対して、ディフェンスからのアタックを呼びかける、弟、ケヴィン氏の「Happy Birthday, Pat!」

 パット・ティルマン氏は大学、プロ生活を通じ、ディフェンスの要、ラインバッカーとして活躍した選手だった。 

 ★ パット・ティルマン氏の「謀殺」疑惑については ⇒ http://onuma.cocolog-nifty.com/blog1/2006/03/post_f330.html  
  

Posted by 大沼安史 at 07:39 午後 3.コラム机の上の空 |

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