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2009-10-24

〔コラム 机の上の空〕 アフガンを、平和な、緑の大地に!   オバマよ、「火星人」を止めよ!

 アフガニスタンで昨年11月、「タリバン」に拘束され、ことし7月、脱出に成功して帰還した、ニューヨーク・タイムズ紙、デイビッド・ローズ記者の体験記の連載が終わった。
 ⇒ デイビッド・ローズ 「タリバン捕囚記」 http://www.nytimes.com/2009/10/18/world/asia/18hostage.html
 
 「7ヵ月と10日間」に及ぶ、捕囚生活の記録は、「タリバン」なるものの実態を、内側から伝える、貴重なレポートとなった。

 米軍のミサイル攻撃を至近距離で体験もした。

 アメリカと戦う「タリバン」の「内側」に、拉致されたことで入り込み、彼らの現実に触れ、アメリカから「攻撃される側」にも立たされたローズ記者。

 すでに本ブログで紹介済みのことなので、重複はなるべく避けるが、ローズ記者はその「捕囚記」の中で、私たちの参考になりそうな、大事なことをいくつか書いているので、ここであらためて取り上げ、その意味を考えてみることにしよう。

 僕の印象に残るのは、ことし3月25日、監禁場所の近くで、米軍の無人攻撃機がミサイルを撃ち込んだことを振り返り、ローズ記者が書いた一言。

 ローズ記者はそれを、「空の中の点」――からの攻撃と表現をしていた。「空の中の点」、いつの間にか、遠くの空に「点」が現れ、そこから、ミサイルが飛んで来る……。

 その標的となったのは、2台の車。アラブ人やタリバンの戦士が乗っていた。「命中」!

 米軍(NATO軍)は今、地上戦での劣勢を、こうした「空から攻撃」で巻き返そうとしている。
 アメリカのジャーナリスト、トム・エンゲルハート氏の表現をかりれば、米軍は地上で「タリバン」たちの奇襲ゲリラ攻撃に悩まされながら、その一方で、ハイテクの限りを尽くした、「アフガン、2009年 宇宙戦争」を仕掛けているのだ。

 ここで言う『宇宙戦争』とは、1898年、英国のH・G・ウェルズが書いた、火星人がイギリスを襲う、あの空想小説のことである。

 悲しいほどに、適切なアナロジー。
 アフガンの、あるいは隣接したパキスタンの地上に生きる人々にとって、「空の中の点」から攻撃して来るアメリカ人は、19世紀末のロンドン市民にとっての「火星人」に等しき存在であろう。

 エンゲルハート氏によれば、米軍は「プレデター(肉食動物)」という無人攻撃機に加え、さらに性能を向上した新型機を投入しているそうだ。その新型機の名前が、なんと「リーパー(Reaper)」。「大鎌をふるう死神」のことである。

 そして、「プレデター」も「リーパー」も、米本土、アリゾナやネバダの米軍基地からの遠隔操縦だ。“パイロット”は画面のモニターを見ながら、ミサイルの発射ボタンを押している。

 まるで、竹槍をもった地上の人間に原爆を落とすに等しき所業。そう、「空の中の点」……ヒロシマもナガサキもそうだった。許してはならない。

 ローズ記者は、この無人攻撃機による攻撃の故に、タリバンは(そして、アフガンのふつうの人々も)、ブッシュ以上にオバマを憎んでいる、と書いていたが、現地の地上の実感として、当然である。

 オバマは……そう、戦乱で荒廃した、実りなきアフガンの大地で大鎌を振るう、死神の火星人である。むろん冗談ではない。

 もうひとつ、ローズ記者の「捕囚記」で印象付けられた――というか、教えられたのは、タリバンの「戦士」たちもまた、「教育を受けた」アフガン人であるという事実である。

 つまり彼らは、しっかり教え込まれた(学んだ)連中であるのだ。回し読みする1冊の本で。DVDプレーヤーで見る、自爆テロ実行者の最後の日々を記録したビデオで。
 「殉教するんだ。天国で、甘いジュースも、乙女たちも待っている」
 「死の教育」――まるで、あの「神の国=日本」。

 しかし、僕はここに、「逆転」の可能性を見る。「敵の侵略」「空の中の点」さえなくなれば――つまり、平和が到来すれば、「死の教育」の基盤も消える。もはや、「殉教」も(散華)もクソもないのだから……。

 ローズ記者は、自爆テロを決行するタリバンの男を、ほかの仲間が、気味悪がっていた、というような意味のことを書いていたが、それは“ふつう”のタリバンたちの、本音ではないか?
 とするなら、そこに希望を見ることもできるはずである。戦争が終われば(アメリカが攻撃を止めれば)、平和な日々が戻るなら、タリバンの心にも「正気」が、「平常心」が戻るはず……だと。

 ローズ記者は見張りのタリバンたちと一緒に、ビートルズの She Loves You ……、そう、あの Yeah, yeah, yeah!のあの歌を歌って盛り上がったことを書いているが、「敵性歌」を「敵性語(英語)」で歌えるタリバンなのだ、相互理解、できないはずがない。
 (戦時中、英語の歌を禁止された、われわれ日本人を見よ! 戦後、占領軍が来たとたん、笑顔でブギブギしたではないか!)

 最後にひとつ、これは「捕囚記」の概要ブログでは紹介しなかったことだが、「タリバン」のアジトを脱出、パキスタン軍の基地に逃げ込んだ時、ローズ記者が「見た」あるものに触れておきたい。
 ローズ記者は「それ」を見て、よほど印象に残ったのだろう。だから、一見、何でもないようなことを、敢えて書いていたのだ。

 彼が見たもの――それは、基地の奥の司令部前の芝生の緑だった。「緑の草(グリーン・グラス)」だった。久しぶりに見る「緑」だった!

 僕はこのくだりを読んで、感動した。そして、あの中村哲医師ら、日本のボランティア、「ペシャワールの会」による、アフガンでの井戸掘りの意味を、ようやく理解できたような気がした。

 そう、そうなのだ。
 あの岩山だらけのようなアフガンも、かつては緑豊かな大地だったはず。
 しかしそのアフガンにも、「水」が流れれば「緑」が甦り、「平和な人々の暮らし」も甦る……。

 そう、その通り。
 H・G・ウェルズの『宇宙戦争』は、結局は「火星人」の敗北で幕を閉じるが、この筋書きはアフガンにもあてはまる。いくら「空の中の点」で攻撃しても、地上の憎悪と戦意は高まるばかりで、いずれ、ベトナムの「三の舞」を強いられることは確実だ。

 ならば、オバマよ、君が「ノーベル平和賞」の受賞の前になすべきはひとつ――それはアフガンからの撤退をまず宣言することではないか。地球人の一人として、君は「火星人」をやめ、アフガンに平和をもらたすべきではないのか。

 戦争が終われば、国際社会も、アフガン復興に手を差し伸べることができる。
 井戸を掘り、水を汲み出し、砂漠の大地を、緑の大地に代えることができる。

 オバマよ、君は新聞をちゃんと読む、数少ない米国大統領だそうじゃないか。
 だったら、ローズ記者の「タリバン捕囚記」の、「緑の草」の、あのくだりも読んだはずだね。

 ならば、米兵を戻せ。アフガンをアフガン人に返せ。

 ♪ It's good touch green, green grass of home!

  帰還する米兵だけの歌じゃないぞ。アフガン人も歌う歌だ。

 そう、その通り。
 オバマよ、「ノーベル平和賞」を汚すな! 
 アフガン撤退!

 そうだ、そうなのだ。
 僕らに、We Love You! と歌わさせてくれ!

 ⇒ トム・エンゲルハート http://www.tomdispatch.com/post/175124/are_we_the_martians_of_the_twenty_first_century_

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Posted by 大沼安史 at 10:22 午前 3.コラム机の上の空 |

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受信: 2009/10/24 23:59:31