〔いんさいど世界〕 ないない尽くしのアフガン……ウィリアム・ファフ氏、そして、故・藤村信氏のこと
米ネット誌、「トルースディグ」に、パリ在住の米国人ジャーナリスト、ウィリアム・ファフ氏の論説、『計画通りに行かないアメリカの戦争』が載っていた。
言うまでもないことだが、ファフ氏は、今は亡き、あの「パリ通信」の藤村信氏(熊田亨氏)のように、パリを拠点に国際情勢を追い、観察結果を記事に書き続けて来た、ベテラン・ジャーナリストだ。
蓄積があるから、パースペクティブのある記事が書ける。つまりは、信頼できる、大記者。だから、折に触れて目を通す。
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ファフ氏によれば、欧州では、アフガンは米国にとって「新たなベトナム」だという見方が広がっている。アフガン=第2のベトナム戦争。
ま、ここらあたりは常識的な指摘だが、ファフ氏はさらにグイと踏み込み、「ベトナムよりもっとヒドイ(悪い)」と、イッキに核心に迫る。
なぜか?
「ベトナム」には少なくとも、ハッキリした「敵」がいた。「北」には責任ある共産主義者の「政府」があった。
そして、アメリカにはそこで戦う(的外れではあったが)「理論」があった。(空爆、ゲーム理論)
「アフガン」にはそれがない。「空爆」できる「タリバン政府」という実態がない。「タリバン」は確かに敵だが、いつの間にか、消えてしまう敵だ。
だから、アメリカはタリバンを「降伏」に追い込むことはできないのだ。
では、アメリカに、アフガンで戦って勝つための「理論」があるかというと、それもない。
ないない尽くしのアフガン。
それをファフ氏は一言、The “no’s” have it. と言っていた。
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日本には残念ながら、藤村信氏亡き後、このレベルの、このクラスの大記者は(ほとんど)いない。
ああ、ホントニ残念なことだなぁ~。
で、仕方なく、藤村信さんが元気でいらしたら、きっと、こんな「題」の「カブール通信」を書いたはずだ(と勝手に思う)。
私は一度だけだが藤村信さんの謦咳にふれたことがあるので(この強引な論?法!!)、どんな「題」のレポートを書くか、それだけは分かるのだ。
そう、きっと、こういうタイトルに決まっている。
「アフガン 砂漠に乾いたもの」――
ファフ氏の “NO’s” に響きあう題だ。
⇒ http://www.truthdig.com/report/item/20090723_us_foreign_wars_not_going_according_to_plan/