〔いんさいど世界〕 100万人が抗議デモ 「イラン・運命の日」&「雨の中のメーク・ラブ」 ロバート・フィスク記者@テヘラン
英紙インディペンデントのロバート・フィスク記者がテヘラン入りして、現場からレポートを続けている。
16日の同紙(電子版)でのレポートのタイトルは「イランの運命の日」。
前日、15日のデモを目撃したフィスク記者は「それはイランの運命の日であり、勇気の日だった」と書いた。
フィスク記者は、あのビンラディンとも何回か会って取材している、中東報道の第一人者。その彼がテヘランに入っている! 頼もしい限りだ。
フィクス記者によれば、「群衆は歌い、叫び、笑い、大統領を“クズ”と呼んでバカにした」そうだ。
1979年の「イラン革命」以来の大群衆の抗議行動。100万人!
群衆の勇気は「信じられないほど」だとフィスク記者は言う。
デモの人々は皆、テヘラン大学で学生が5人、ピストルで無残に撃ち殺されたことを知っており、それを知りながら街頭に出た。
フィスク記者が15日朝、大学のゲートに行くと、学生たちが泣いていたという。「虐殺だ」と叫んでいたという。
雨の中、フィスク記者の横を、若いイラン人男性が歩いていた。ペルシャ語の詩を歌いながら。テヘラン大学の学生だった。フィスク記者はその学生に、その歌を訳してくれ、と頼んだ。
「現代イランの詩人、ソーラブ・セペリの詩です」
学生の(英)訳はこうだった。
私たちは雨の中、行かねばならない
私たちは目を洗わなければならない
そして私たちは世界を別の目で見なければならない
現場からのレポートで、詩を紹介するフィスク氏。
さすがだ。
テヘラン大学の学生はさらに、フィスク氏にこう続けた。
「この詩の次の一行は、雨の中での女性とのメークラブ。ちょっとデモには似合わないね」
その学生と、仲間の2人は笑いながら、頷き合ったのだそうだ。
雨の中のメーク・ラブ……デモの本質――「自由」を、この一言で見事に描いてみせた、イランの学生たち&フィスク氏。
やがてテヘランの雨が上がって、デモの群衆の上に陽が降り注いだという。
運命の女神がイラン民衆に微笑むことを祈る。
⇒ http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/fisk/robert-fisk-irans-day-of-destiny-1706010.html