〔いんさいど世界〕 「自分の真実を見つけるんだ。そしてソウルフルな人生を生きてくれ」 アメリカのソウル歌手、ジョン・レジェンドが母校、ペンステートの卒業式でスピーチ
グラミー賞を受賞したアメリカのソウル歌手、ジョン・レジェンドさん(31歳)が17日、母校のペンシルバニア州立大学(ペンステート)の卒業式(学位授与式)で、「クラス・オブ・2009の」(2009年卒業組)の、人生の門出を祝うスピーチを行った。
ジョン・レジェンドさんは名曲、「エブリバディー・ノウズ」などで知られる本格派の歌手だが、スピーチを聞いて、あの伝説のリフレーン、♪ One more try,try を聴いた時のように鳥肌が立った。
ソウル歌手のソウルフルなスピーチのタイトルは、Finding Your Truth: Living a Soulful Life(「自分の真実を見つけるんだ。そしてソウルフルな人生を生きてくれ」)。
10歳年下の同窓生への餞の演説は、虚言と欺瞞に充ちたアメリカの権力政治を厳しく非難。善悪二元論の思考停止から脱却し、自ら真実の探し求めながら、リアルでピュアなものを見出してゆく、ソウルフルな人生を送るように、と励ますものだった。
ジョン・レジェンドさんはオハイオからペンステートへ出て来たばかりの頃を振り返り、当時の世界観を「善対悪、闇対光、天国対地獄、こちらの味方か、テロリストの味方か」という、「パーフェクトな二項対立」が用意された世界だった、と語り、このペンステートでの学生生活で、その呪縛から解放されるキッカケを掴んだ、と自らの精神の遍歴を明らかにした。
呪縛を解く言葉は、たとえば黒人作家、トニ・モリソンの「何もかも振り払えば、風に乗れるかも」――だったという。
単純明快、あれかこれかの二元論を超える道はどこにあるか?
自らの経験を振り返るや否や、ジョン・レジェンドさんの演説は早速、核心に向かい、「国民として、世界として、ぼくらにはもっと真実が必要だ」と訴えかけた。
何の「真実」か?
みんなが自ら知らねばならないこと、それはたとえば「イラク戦争」の真実であり、「金融危機」の正体である、とジョン・レジェンドさんは言い切ったのだ。
そしてその「真実」の追求を、「ソウル」の探求につなげて、人生を生きて行け、と。
♪「真実」を求めることも、「ソウル」を求めることも、同じだよな。
(Searching for truth is in many ways the same as searching for your soul.)
♪「ソウル」って、まともなことだし、人生でリアル&ピュアなことを探すってことだろ。それって、ぼくたちのど真ん中にあることだよな。それ、やるために、この地球に生まれたんだよな。
(Soul is about authenticity. Soul is about finding the things in your life that are real and pure. The things that are at your core. The things you know you were put on this earth to do.)
まるでソウルを聴くような、シンプルな文句の連打が心を揺さぶる。
演説の締め括りは、さらに凄かった。
「真実はいつの日か、君を自由にしてくれるぜ」
(The truth will set you free someday.)
「2009年の卒業生諸君、君たちの“いつの日か”は今日、始まるんだ!」
(Class of 2009, your someday begins today.)
こういう先輩歌手がこういう演説をし、共感の叫び声をあげる大学の後輩たち……
そう、それはもう、今や(間違いなく)レジェンド(伝説)と化した、と言っていい、稀に見る名演説だった!
Posted by 大沼安史 at 10:00 午後 1.いんさいど世界 | Permalink
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