〔NEWS〕 アメリカの市民よ、決起せよ! 歴史家のハワード・ジンが呼びかけ 「オバマは政治家 われわれは市民 われわれは彼を白紙委任したわけではない われわれ市民はヴィジョンを持ち、われわれの考えをオバマに告げなければならない」
アメリカのリベラル派を代表する「プログレッシブ」誌(電子版)が、歴史家、ハワード・ジン氏の「オバマ論」を掲載した。
拷問写真の開示撤回、軍事裁判の継続など、最近、「逆コース」が目立つオバマ大統領について、「アメリカの良心」というべきジン氏が率直な評価を下し、オバマをホワイトハウスに送り込んだリベラル派として今度、オバマに対してどんなスタンスを採るべきか、語ったものだ。
この中でジン氏は、オバマはあくまでも「政治家」であり、「市民ではない」と指摘。「われわれ市民は彼に白紙委任状(白紙の小切手)を渡すのではなく、われわれ自身がヴィジョンを打ち出し、われわれの考えをオバマに告げなければならない」と述べ、オバマに政治軌道の修正を迫るため、市民運動を強化するよう呼びかけた。
ハワード・ジン氏は「初めからオバマが好きだった」と告白する一方、2006年の上院予備選で、オバマが平和主義者の候補ではなく、タカ派のリーバーマンを支援したことを指摘し、「彼は政治家である」事実を見逃してはならないと強調した。
ジン氏はさらに、オバマもまた歴代の大統領が党派を超えて陥った、「ナショナリズム」と「資本主義」の「二つの政治遺産」から逃れることができていないと語り、オバマに対して無条件に夢を託すのではなく、市民である「われわれこそが夢を抱き、まともな社会の実現を希求しなければならない」と訴えた。
大統領ではなく、民衆の政治運動がアメリカを変えた(民衆の運動で、大統領が動いた)実例としてジン氏は、リンカーンの「奴隷解放」と、ルーズベルトの「ニューディール」のふたつの例を示し、「希望の光」はそこにある、と指摘した。
ジン氏によれば、「ニューディール」政策では20万点もの芸術作品が制作され、そこで描かれた数千点もの「壁画」が今も残っているという。観劇料を格安にする政策もとられ、ふだん劇場にいけない人も演劇を楽しむことができたという。
ジン氏はさらに、オバマが「軍事的使命感の思考様式」から脱していないと批判、「イラクからの撤退」公約を思い出させ、「オキナワだけで14もの米軍基地を置いている」現状を変えさせなければならない、と述べた。
結びの言葉でジン氏は、アメリカ民衆の歴史を振り返り、「彼らはただ文句を言っているだけではなかった。彼らは働きかけ、活動し、組織し、必要なときには反乱さえした……それこそ今日、われわれがしなければならないことである」と述べ、アメリカの市民に対し決起を求めた。
Posted by 大沼安史 at 06:31 午後 | Permalink