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2009-04-04

〔いんさいど世界〕 金融崩壊のニューヨークに花咲く、草の根融資の希望

 春が来ました。2009年の4月。

 金の亡者、マネーのドラゴンどものやりたい放題で、荒地と化した、世界のECO。危機の震源のひとつ、「円キャリ」の供給源となった日本にも、春が来ました。

 経済危機の真っ只中、どこもかしこも寒々とした春……。
 今日は、そんな世界大不況の最大の震源地、ニューヨークで、ウォールストリートの強欲さとは対極にある、ヒューマンな、希望あふれる、草の根融資の花が開いている――という話題をお届けしたいと思います。

 場所は同じニューヨークでも、摩天楼の高層ビル群が空を衝く、マンハッタンではなくて、中心部から外れたクイーンズ。

 移民も多い、庶民的なこの街に、1昨年(2007年)11月にオープンした、「グラミン・アメリカ銀行」1号店、クイーンズ支店が大健闘、経済不況の直撃を受けた、地元の貧しい女性たちの「ビジネス」を支援し、大成功を収めているそうです。

 「グラミン銀行」といえば、ご承知の通り、2006年のノーベル平和賞を受賞した、モハマド・ユヌス博士が、世界の最貧国のひとつ、バングラデシュで立ち上げた、担保もない貧しい人々を助ける、あの「貧者の銀行」。

 それが「世界1の経済大国」(といっても、金満ドラゴンどもが富を簒奪しているわけですが……)、アメリカの、それもニューヨークに進出して、ウォールストリートの大銀行が貸し渋りに走る中、融資機関として。見事に社会的責任を果たしているっていうんです。

 本家バングラデシュの、貧しい人が貧しいからこそ、お金を貸して自立を援助するという方式を、ニューヨークでも断固崩さず、この1年半というもの、銀行業務を立派に続けて来た!

 これって凄いことですよね。

 地元紙のニューヨーク・タイムズ(3月13日付)が伝えたABCテレビのニュースによると、クィーンズのコロナ地区を地盤とする、この「グラミン・アメリカ」銀行、営業開始後、これまで13ヵ月間に、500人を超える地元の人たち(全員、女性。女性は男性よりも責任感があるので、女性に貸すのだそうです)に、累計120万ドルを貸し付て来たそうです。

 1人あたりの貸付は500ドルから2000ドル程度。日本円で言えば5万円から20万円といったところ。貸付先は自立自営の志を持った女性たちで、その多くが移民の女性たちだそうです。

 そんな1人の女性を、タイムズ紙は紹介しているのですが、彼女の名はヴィヴィアン、4ヵ月前、コロナ地区のナショナル・ストリートに小さな店を出し、がんばっているんだそうです。

 シングルマザーのヴィヴィアンさんは娘たちの将来も考え、自分でビジネスを起そうと、地元の商業銀行を訪ね、融資を申し込み、断られました。

 担保もないヴィヴィアンさんにお金を貸すのは、フツー(?)の銀行家からすれば、お金をどぶに捨てるようなもの、断るのは当然ですが、幸いなことに彼女の前に、「断らない」銀行が現れた。それが、「グラミン・アメリカ」だったわけです。

 2000ドルの融資を得て店を出したヴィヴィアンさんは、服や財布、装身具(トリンケット)、帽子、スカーフなどを売っているのですが、食料品も売ることがある。つめり、売れるものは何でも……といった、下町のよろず屋さん、なんですね。

 経営もうまくいっていて、グラミンから借りたお金も毎週毎週、ちゃんと返している。
 そう、ちゃんと、やれてるんですね。

 ヴィヴィアンさんの場合は、よろず屋ですが、他の人たちはどんなビジネスに乗り出しているか?
 老人の介護、ハウスクリーニング、フラワー・アレンジメント、保育といった仕事をしてるんだそうです。

 で、気になるのはやはり、貧しい人にお金を貸して、ちゃんと回収できてるの?……ですが、「グラミン・アメリカ」によると、返済率はなんと99・5%。
 バングラの本家並みの、高率なんだそうです。

 これまた、ユヌス博士が信じる、「貧しい人こそ、責任ある起業家になれる」――の証明じゃないでしょうか?(あるいは、富める者ほど踏み倒し、政府に肩代わりを求める逆証明……???)

 では、なぜ、ヴィヴィアンさんのような貧しい女性たちが、ビジネスに成功し、借りたお金をちゃんと返済できているか?

 それが、本家バングラで培われた「5人組」の知恵なんです。
 借り手が5人でチームを組み、その中の最も貧しい人からお金を借りてゆく。他の4人は最初の仲間の起業をサポートし、それが返済を含め軌道に乗ったところで、次に貧しい人が融資を受ける……といった、借り手の側の「同志的な連帯」があるからです。
 (グラミンはどうしても責任が拡散する、「グループ」への〔個人ではなく〕貸し出しはしていません)

 「経済大国」のアメリカは、「貧困大国」でもあり、貧困にあえぐ女性は2000万人を突破しており、その4割、980万人がシングル・マザーだそうです。

 クィーンズでの「グラミン」の成功は、こうした女性たちに希望の灯をともしたわけです。

 「グラミン・アメリカ」では、ニューヨークの、ブルックリンやブロンクスのほか、マンハッタンへの進出を計画しています。ボストンにも出る準備も始まっているそうです。

 あぶく銭儲けに狂奔するのではなく、地域の貧しい人たちを助け、その支えとなる……「グラミン・アメリカ」の活動で、銀行とは本来、何のための、誰のためのものか、そのほんとうの姿が見えて来たような気がします。

 日本にも、宮城にも、仙台にも、「グラミン」を!

 見果てぬ「春の夢」ではあります……。

⇒  http://abclocal.go.com/wabc/story?section=news/consumer&id=6707353&pt=print

  http://www.grameenamerica.com/

Posted by 大沼安史 at 03:05 午後 |

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