〔いんさいど世界〕 金融危機を生き延びる 「マネー創出」の時代、到来
カジノ化した世界経済が崩壊し、グローバルな危機が進行しています。巨大バブルが弾けて金融機関、及び財テクに走っていた企業はどこも、火の車。貸せない、借りれないの「マネー不足」が深刻化、流れの末端に位置する庶民の生活を直撃しています。
世界の中央銀行はマネーの大放出でもって危機を乗り越えようとしていますが、放出先は一般の庶民ではなく、あくまで金融機関。担保力のあるリッチな企業、個人しか、恩恵にあずかることはできません。
日本も同じ。日銀がいくらマネーを供給しようと、われわれ一般の日本人の財布の中になかなか落ちて来ない。
そんな状況の中で、日銀オンリーではなく、中央政府もマネーを発行する「政府紙幣」構想が今、取りざたされているわけです。
国債だと買い手が必要ですが、「政府紙幣」であれば、買い手がなくともじゃんじゃん発行できる。これを使って、公共事業を実施し、景気の底上げを図ろうという狙いです。
「政府紙幣」とはつまり、公式通貨と「平行」して流通する、中央政府(お上)発行の「第二のマネー」ということになるわけですが、経済危機が一段と深刻化する中で、世界的には、コミュニティー・レベルで「新通貨(マネー)」を発行する動きが出ています。
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英国の新聞、「ガーディアン」は、ジョージ・モンビオというスター・コラムニストを抱える、高級紙です。英国のみならず、国際世論に影響力を持つ、この「ガーディアン」が先月、モンビオ氏の「政府がわれわれを救えないなら、われわれは自分たちをマネーを自分で刷るライセンスを持たねばならない」という論説を掲げました。
「われわれのマネーを刷る」……そう、われわれ民衆が中央銀行、中央政府の手をかりず、自分たちで自分たちのための「マネーを創出」せよ、というアピール文がガーディアンの紙面を飾ったわけです。
ついに出た、といべきか、ようやく出たというべきか?
実は、この自分たちで自分たちのマネーを発行し、地域社会(コミュニティー)の経済(モノとサービスの交換)を守るという取り組み、実は1929年の「世界大恐慌」(の前段階)以来、世界各地で実際に行われ、今に続いている、新しい経済の流れ、なんです。
この流れ――「代替通貨」とか「コミュニティー通貨」とか「平行通貨」とか「補完通貨」とか、いろんな呼称のある、自分たちのマネーの創出する運動については、僕個人、かねがね関心があり、以前、アメリカのグレコという人が書いた本を翻訳、『地域通貨ルネサンス』というタイトルで刊行したことがあるのですが、さまざまな成功例があるのに、これまでは「草の根」に隠れて、あまり知られることはありませんでした。
モンビオ氏はこの知られざるアイデアをガーディアンのコラムを通じて、一気に世界の人びとの元へ届けたわけです。
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これまで世界では、どんな「われわれのマネー」が発行されて来たか?
ドイツのシュバネンキルヘンという炭鉱町では1923年、シルビオ・ゲゼルという経済学者の提案に沿って、炭鉱主が「ヴァーラ」というマネーを発行、ヤマの暮らしを守りました。
モンビオ氏によれば、この「ヴァーラ」はドイツ国内2000の企業が採用、各企業コミュニティーの経済を支えたそうです。
当時のドイツは政府紙幣の「マルク」がハイパーインフレを続け、マネー不足が深刻化していたのです。
また、オーストラリアのヴェルグルという町では1932年に、町役場がゲゼル博士の草案した独自通貨を発行、市民の暮らしを守る一方、公共事業にも力を注ぎ、スキーのジャンプ台まで建設したそうです。
より現代に近いところでは、ブラジルの南部、パラナ州のクリティバ(現在の人口180万人)という都市(日系人も4万人いる!)。道路などのゴミ拾い、清掃をした人に、報酬として「クリティバ・マネー」というバス乗車コイン(という形の独自通貨)を発行、地域経済の活性化につなげたそうです。
以上が、モンビオ氏がコラムで紹介している事例ですが、世界的には1980年代以降、米国ニューヨーク州イサカの「イサカ・アワー」(紙幣発行)や、カナダ・バンクーバーの「LETS」(台帳方式)といったコミュニテイー通貨が次々に登場しており、「われわれのマネー」を創る動きは多面的、重層的に展開しているのが実情です。
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それでは金融危機の震源地であるアメリカでは、どんな状況か?
インディアナ州のサウスベンドでは、「ミチアナ・マネー」というコミュニティー通貨を創出する動きが出ているそうです。地元のコーヒーショップの店主らが立ち上げようとしているもので、「ドル」札が流れてこないなら、自分たちでマネーを発行、地元経済を維持しようと意欲を燃やしています。
北カルフォルニアのフンボルト郡では、「フンボルト交換コミュニティー通貨プロジェクト」が存在感を増しており、参加者(地元企業)は毎月、6社ペースで増えてる、といいます。(現在、70社加盟)
世界的にはどうか?
世界の動向を端的に示すものとして注目されるのは、ブラジルの動きです。ブラジルのベレムで先月、始まった「世界社会フォーラム」で、ブラジルの「新しいマネー」として、新通貨「アマゾニダ」と立ちかげる決議が採択されています。
日本ではどうするべきか?
「マネー創出」の動きを見続けてきた僕としても、モンビオ氏同様、「やってみる価値あり」という考えです。
たとえば、仙台なら仙台で、公式通貨「円」と同価値の市内及び周辺地域限定の地域通貨「ダテ」(伊達政宗から命名)を発行、モノとサービスの交換(売買)を支える。
「円」と組み合わせて(補完通貨機能)使えるようにすれば(たとえば、パン屋さんが代金の半額をダテで受け取る)、「円」の有効活用にもなり、それだけ地域全体の流動性が増すわけだし、(円の消費)税収にもつながる。
「われわれのマネー」、コミュニティー(地域)通貨の創設は、まさに「やる価値」あり、です。
⇒
http://www.guardian.co.uk/commentisfree/2009/jan/20/george-monbiot-recession
-currencies
http://www.dawn.com/2009/01/31/top17.htm
http://www.wsbt.com/news/local/39529132.html
http://www.times-standard.com/localnews/ci_11489434
http://www.rcreader.com/index.php?option=com_content&task=view&id=13473&Item
id=42
http://www.npr.org/templates/story/story.php?storyId=100450777

















