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2009-01-19

〔コラム 机の上の空〕 オバマ読書家大統領

 ニューヨーク・タイムズの書評記者、ミチコ・カクタニさんが、「オバマ新大統領と読書」をテーマに解説記事を書いていた。

 電子版の見出しは「新大統領 本に声を見出す」。

 読んで改めて感心した。これほどの読書家だったとは……。

 ラルフ・エリソン、ラングストン・ヒューズ、トニ・モリソンら黒人作家はもちろん、シェイクスピア、ハーマン・メルヴィル(『白鯨』)、エマーソン、ドリス・レッシングにも目を通し、その一方で聖アウグスティヌス(『告白』)やラインホルト・ニーバーらの宗教書(キリスト教)も読み、他方、アフガン戦争とCIAの関係に迫ったスティーブ・コルのノンフィクション、『ゴースト・ウォー』などを読破する幅の広さだ。

 ブッシュの場合、ネオコンの著作など偏った読書だったそうだが(それでも2006年の1年間に96冊、読んだそうだ)、オバマの関心領域は広く、深く、教養の厚みのようなものを感じる。

 電子版の記事に添えられた写真は、オバマの遊説中のスナップで、ザッカリーヤの『ポスト・アメリカ世界』を手にしている。

 漫画しか読まない(その前々任者はDVDしか観ない)、どこかの国の教養のない宰相たちとは大違いだ。

 こうした読書の中から、オバマはアイデアを汲み取り、自身の著作や演説に生かしているわけだが、『白鯨』を読んでいるところが気になった。

 米国の作家、コラムニスト、ジェームズ・キャロル氏によれば、『白鯨』こそ、大統領を上回る実質権力を持つに至った、米国の軍産複合体(その中核としてのペンタゴンおよび軍事化した国務省)のメタファーであるからだ。

 オバマ新大統領は就任式の翌日、米軍のトップをホワイトハウスに呼んで、イラク撤退計画をまとめるよう指示するそうだが、果たして現代の「白鯨」を御することが出来るか、この点、やはり気がかりである。  
 
 就任式の前日、19日(1月の第3月曜日)は「マーチン・ルサー・キング師の日」。そしてその翌日、20日に就任するオバマ新大統領は「第44代」の合衆国大統領だ。
 「44」はキング師が暗殺された日付―「4月4日」と響きあう数字。

 この点も気がかりでならない。

 「小説と詩が大好き」で、学生時代、「とてもひどい詩」を書いていたという、「オバマ読書家大統領」の前途の無事を祈らずにはいられない。

 オバマ新大統領が、ホワイトハウスの一室で、夜、本を広げ、静かに思索に耽る時間こそ、世界が正気を取り戻すチャンスを生み出すものだろう。

 麻生首相よ、あなたもバーでとぐろを巻かずに、1日に1時間でもいいから、本を開いてみてはいかが……。
 せめてブッシュ並みに、1年に100冊程度は……。

 

⇒  http://www.nytimes.com/2009/01/19/books/19read.html?hp

Posted by 大沼安史 at 11:59 午後 3.コラム机の上の空 |

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