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2009-01-21

〔NEWS〕 「この日のために たくさんの人が死んだ……」「危機に瀕し、瀬戸際に臨み、尖端に立って……この光の中を、歩き続ける、歌を讃えよ」 オバマ就任式 エリザベス・アレキサンダーさんの祝い詩(うた)

 黒人女性詩人、エリザベス・アレキサンダーさんの「オバマ大統領」への祝いの詩は散文詩だった。

 例によって、教養のなさを顧みず、拙訳を。

            △ △ △

 大統領就任を祝う詩(うた) 

 今日この日を讃え、歌え。

 私たちは毎日、仕事に出かける。互いにすれ違い、相手の目を見たり、見なかったり。話かけようとしたり、話していたり。私たちとはつまり、ざわめき。私たちとはつまり、騒音、そして荊。棘、そして喧騒。でも、その一つひとつが、私たちの言葉の祖先。誰かが服のへりを縫い上げている。制服の穴をかがっている。パンクを直している。直さなければならないものを直している。

 誰かが何処かで音楽をつくる。ドラム缶の上を不器用に木の匙で叩いて。ドラム缶は太鼓になり、チェロやアンプやハーモニカや声を、響かせる。

 女と息子は、あのバスを待つ。

 農民は空の変化に考えを巡らす。教師は言う。「鉛筆を出して。さあ、始めなさい」と。

 私たちは言葉の中で出会う。棘ある言葉だったり、優しい言葉だったり。ささやかれた言葉、声に出した言葉。考え、考え直す言葉。

 誰かの意志が刻まれた泥道を、道路を、私たちは渡る。「向こうに何があるか、知らなくちゃならない。この道の果てには、きっといいことがある」と言った、大勢の人たちの歩いた道を。

 安心していられる場所を、私たちは見つけなくちゃならない。まだ見ることのできない場所へ、私たちは歩いてゆく。

 一言申し上げるなら、今日この日のために、たくさんの人が死んだ。死んだ者たちの名前を歌い上げようではないか。私たちをこの場所へと届けてくれた人を。鉄道の線路を敷いてくれた人を。橋を架けてくれた人を。綿花やレタスを摘んでくれた人を。煉瓦をひとつずつ積み上げ、壮麗な建物を築き、清潔に保ち、中で働いてくれた人を。

 闘いを讃え、歌え。今日この日を讃え、歌え。手書きの文字のひとつひとつを讃え、歌え。台所のテーブルで書かれた文字を讃え、歌え。

 「汝のごとく汝の隣人を愛せよ」を、いま生きている人がいる。

 「病める人に害を与えることなかれ」を、「無用に貪ることなかれ」を生きている人がいる。

 「愛」という言葉がもし、戦争や宗教や国家を超えた、何ものにも負けないものであるなら。「愛」がもし、溢れる光を広げるものなら。「愛」が悲嘆に目を背けないものなら。

 今日この日の直射する陽の閃きと、冬の清冽な大気の中にあっては、すべては可能であり、すべては語り出すことができる。

 危機に瀕し、瀬戸際に臨み、尖端に立って……この光の中を、歩き続ける、歌を讃えよ。

 

 Inaugural Poem

 Praise song for the day.

 Each day we go about our business, walking past each other, catching each others' eyes or  not, about to speak or speaking. All about us is noise. All about us is noise and bramble,  thorn and din, each one of our ancestors on our tongues. Someone is stitching up a hem,  darning a hole in a uniform, patching a tire, repairing the things in need of repair.

 Someone is trying to make music somewhere with a pair of wooden spoons on an oil drum with  cello, boom box, harmonica, voice.

 A woman and her son wait for the bus.

 A farmer considers the changing sky; A teacher says, "Take out your pencils. Begin."

 We encounter each other in words, words spiny or smooth, whispered or declaimed; words to consider, reconsider.

 We cross dirt roads and highways that mark the will of someone and then others who said, "I need to see what's on the other side; I know there's something better down the road."

  We need to find a place where we are safe; We walk into that which we cannot yet see.

  Say it plain, that many have died for this day. Sing the names of the dead who brought us here, who laid the train tracks, raised the bridges, picked the cotton and the lettuce, built brick by brick the glittering edifices they would then keep clean and work inside of.

  Praise song for struggle; praise song for the day. Praise song for every hand-lettered sign;   The figuring it out at kitchen tables.

  Some live by "Love thy neighbor as thy self."

  Others by first do no harm, or take no more than you need.

  What if the mightiest word is love, love beyond marital, filial, national. Love that casts a widening pool of light. Love with no need to preempt grievance.

  In today's sharp sparkle, this winter air, anything can be made, any sentence begun.

  On the brink, on the brim, on the cusp -- praise song for walking forward in that light.

⇒  http://www.nytimes.com/2009/01/20/us/politics/20text-poem.html?_r=1&scp=1&sq=Elisabeth%20Alexsander&st=cse

Posted by 大沼安史 at 11:16 午前 |

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