〔いんさいど世界〕 オバマが拓く 「グリーン・ニューディール」 「軍産金油官複合体」を超えて
いよいよ、世界が注目する米大統領選の投票です。ブッシュ政権下、最悪のものになった「悪夢」が、夜明けの光の中で、退場の時を迎えるのか、それとも延命し続けるか?
選挙戦は最後まで過熱したものになりました。
事前投票では、電子投票のソフトウエアに「トリック」が仕込まれ、「オバマ」のタッチパネルを押すと、「マケイン」に「清き一票」が入る“不正”も発覚。
大統領選と同時平行で行われている上院議員選挙では、共和党女性候補がオバマと同じ、民主党の女性候補の「声」を捏造、テレビコマーシャルで「神なんか、いない」と言わせる、とんでもないネガティブ・キャンペーンまで繰り広げられて来ました。
ブッシュが初「当選」した、あの2000年の「フロリダ逆転?劇」のような、不正な選挙管理による「新大統領」の「捏造」は、二度とあってはならないことです。
さて、「オバマ新大統領」に世界が期待をかける中で、オバマの選挙「公約」の中から、新しい世界の標語、というか、合言葉が生まれています。
ネオリベ+ネオコン、「軍産金油官複合体ドラゴン」どもが食い荒らした、われわれ世界の人々が住まう「家(エコ)」を、新たに立て直そうという「願い」と「決意」のこもった「新語」が登場しました。
「グリーン・ニューディール」という言葉です。哲学でも、政策構想でもあります。
「グリーン」とはもちろん、あの「環境を守る」グリーン。「ニューディール」とは、あの有名な、ルーズベルトによるアメリカ世直しプロジェクトのことです。
1929年の大恐慌でメチャクチャになったアメリカ(の「エコ・ノミー」(家政)を)を立て直した「ニューディール」を、世界的な金融経済危機に苦しむ現在において再現しようというプロジェクト、これが「グリーン・ニューディール」です。
この希望の哲学&政治が、米大統領選キャンペーンの中で浮上したのは、オバマ候補の努力によるものです。
オバマ候補は「今後10年間、毎年150億ドル以上を投入し」、
①アメリカを石油に頼らない再生可能なエネルギー経済の国にチェンジする
②それによって、500万人分の新しい「グリーン・ジョブ(環境雇用)」を生み出す
――と公約に掲げました。
オバマ候補は、この「第2のアポロ計画」(人間を月に送った)によってアメリカ経済の「グリーン景気回復(リカバリー)」を実現すると宣言しました。
このオバマ候補の公約が大きな弾みとなって、「グリーン・ニューディール」を目指す世界的な潮流が生まれているのです。
たとえば、米誌「ネーション」(電子版、10月29日付)には、「グリーン・ニューディールに向けてともに活動しよう」という、ヴァン・ジョーンズさん(「万人のためのグリーン」という組織の代表)の論文が発表されました。
労働者、社会正義活動家、環境保護運動家、学生、宗教者を中心に「グリーン成長同盟」を結成、新たな社会づくりに取り組もうと呼びかけています。
また、英国の「新経済財団(NFE)」という組織は、「金融危機」「ピーク・オイル(石油枯渇)」「気候変動」を一体化してとらえ、「成長」の「神話」に見直しを迫りつつ、現在進行形で破局へと進む世界的危機への対策プログラムを発表しました。
「金融・経済」と「環境」という「双子の脅威」が国際社会を、人類の生存を脅かす中、今後さまざまな「グリーン・ニューディール」構想が生まれ、現実化してゆかねばなりません。
日本政府も「バブル崩壊後の経験を教えてさしあげます」などとばかり言わずに、「日本発」の、画期的な「グリーン・ニューディール」の政策・提言づくりに取り組むべきでしょう。
オバマ候補は、「脱石油」経済への移行を「アポロ計画」に譬えましたが、日本政府が取り組むなら、「グリーン維新」とでもいうべき、体制変革を伴う、根本的なものになるかも知れません。
「緑の維新」を、果たして日本の政治は起すことができるのか?
今、口をヘの字にして頭を悩ますべきは、「解散」の時期ではなく、戦時中以来の全体主義のゾンビがネオリベ路線をとった挙げ句、ついに日の本を奈落の底に突き落とした、この国の従来型政治の「解体再構築」でありましょう。
⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/americas/obamas-green-jobs-revolution-984631.html