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2008-10-11

〔いんさいど世界〕 氷の国 アイスランド メルトダウン

 北大西洋の氷の国、アイスランドで金融メルトダウンが一気に進み、国家破綻の危機に瀕している。人口30万人の小さな島国は、「グローバリゼーション」の反動「引き潮」の中で、今や「沈没」寸前だ。

 国有化された3大銀行が抱え込んだ負債は、アイスランドGDPの12倍にも上る。この計算の根拠となった「GDP」は、金融ツナミが押し寄せる前のものだろうから、今後の国内経済の縮み具合では「数十倍」「数十年分」にも達するはずだ。

 国家破綻を回避しようとアイスランド政府はロシアから「40億ユーロ」の外貨注入を受け、息をつなごうとしている。

 北欧諸国にSOSを出したが、断られ、なぜかロシアにすがりついた。

 しかし、この「40億ユーロ」も(本当に融資が行われたとしても……)当座をしのぐだけで、最終的には「IMF」による「救援」を待つしかないと言われる。

 が、そんな頼みのIMFも欧米救済を優先せざるを得ず、今後の展開しだいでは、「焼け爛れたまま」放置される恐れもある。

 仮にロシア、IMFなどの救援があったとしても、国家破産は避けられない。
 経済のグローバル化が引き起した、史上初めての「国家倒産」劇だ。
 なぜ、そうなったのか、原因究明、真相のあぶり出しが求められている。

 しかし、それにしても不思議なのは、漁業が主産業(ニシンはしかし、1982年を最後に、獲れなくなってしまった……)のこの氷の島国に、なぜ「金融センター」が出現したか、ということである。

 この疑問に、フィナンシャル・タイムズがヒントらしきものを出しているので紹介しよう。
 10月10日付の「残酷な風」という、同紙の資本市場担当エディター、ジリアン・テット記者(元東京特派員)が補足取材してまとめた追及記事である。

 アイスランドは今世紀に入って、いきなり急角度で「離陸」を始めるが、そのエンジンをふかした「マネー」は何処から来たのか?

 これについてFT紙の記事は、「ロシアとの不思議なリンクの物語」を指摘する。アイスランドの金融力の起源にはロシアの影の部分がつきまとっている、というのだ。
 これはもう、アイスランドの「奇跡」の陰に、ロシア・マフィアが存在していると言ったも同然である。

 ロシアとアイスランドとのかかわり……。同紙によれば、たとえばアイスランド一の大金持ちは40歳になったばかりのカリスマ富豪だが、ロシアのサンクトベテルブルクで醸造所を営み、それをハイネケンに売って財を成した人物だ。その男は今や世界第4位のジェネリック薬品メーカーを経営するまでになっている。

 こうしたロシア・マネーのローンダリングの受け皿として、アイスランド金融セクターの規制緩和を徹底的に進めたのは、前首相のディヴィッド・オドソンだ。

 「規制緩和(デレギュレーション)」とは耳障りのいい言葉だが、要は「無法地帯」の容認。オドソンは、レイキャビークを「番外地」化し、なんでもあり・やりたい放題の「金融ヘイブン」にしてしまった。

 アイスランドの銀行も地道な商業銀行の枠を超え、ウォールストリートの投資銀行のような真似を始めた。地元の産業に「投資」するのではなく、欧米の金融カジノでの「投機」にうつつを抜かす、酒と薔薇の日々。ドイツや英国の銀行がジャブジャブ金を貸してくれるので、ギャンブル資金に不自由しない日々が続いた。

 ガーディアン紙(10月8日付)によれば、「円資金」もスイス・フランとともに、キャリー・トレードで流れ込んでいたそうだ。

 とすると、今回のアイスランド・デフォルトで、重い火傷を被った(逆にぼろ儲けした)日本の金融機関、投資家(機関)もあるはず。在京の経済ジャーナリストには是非とも実態を解明してもらいたい。

 英国では自治体がアイスランドに投資して、巨額の焦げ付きが出そうな雲行きだ。おそらく、日本でも、ハイ・リターンを期待して、投資に走った公的団体もあるはず。
 在京ジャーナリストには、この点についても、是非ぜひ、追及してもらいたいものだ。

 疑い深い元社会部記者の小生としては、厚生年金・国民年金のファンドなんかも案外、注ぎ込まれているかも知れない、などと、ついつい勘ぐってしまう。

 氷の国の首都、レイキャビークでは国有化された銀行の前で、アイスランドの「プレスリー」による、士気高揚のロックコンサートが開かれたりしているそうだ。(ニューヨーク・タイムズ、10月9日付)

 もう、ここまで来ると「歌う」しかないのかも知れない。(そういえば、あの「大恐慌」のあと、アメリカではジャズ&ミュージカルを中心としたショービジネスが最盛期を迎えた……)

 しかし、歌えば気は晴れるかも知れないが、アイスランドの一般大衆の前途に待ち構える苦難はリアルなものであり、歌って消せるものではない。通貨の価値は下がり、インフレは激化し、借款返済のための増税も始まるだろう。

 が、ただ黙って金満家どもから回されたツケの支払いを続けるのは癪だし、正義に反する。
 そこで、提案である。

 ① アイスランド国営の「民衆銀行」を設立し、国民経済・国民生活の安定を図れ!
 (これはあの「華氏911」のマイケル・ムーア監督が、アメリカ民衆の救済策として打ち出している提案である)

 ② 公式通貨、クローネと「平行」して、国内限定のコミュニティー通貨を発行し、経済復興を図れ!
 (アメリカでは大恐慌後、「スクリップ」という代替通貨が自発的に流通した!)

 ③ アイスランドの監督官庁、捜査当局は国営化した3行の取引履歴を精査し、送金元での脱税、マネーロンダリングなど犯罪事実を掴んだら、「国際刑事裁判所」に告訴せよ!
 (アイスランドはいわば「密室」。犯罪の立証は意外に簡単かも……)

 ところでさっき、「歌で現実は変わらない」などと、とんでもないことを書いてしまったので、最後に弁明をひとつ。

 アイスランドの首都、レイキャビーク沖の島には、オノ・ヨーコさんが建てた「イマジン・ピースタワー」がある。
 そう、あのジョン・レノンの「イマジン」を光に換え、世界の空へと放射している「光のタワー」だ。

 「歌で現実は変わらない」のは確かだが、「イマジン」すれば、「歌で現実を変えられる」かも知れない。

 同じ島国、アイスランドの苦境は他人事ではない。アイスランドの国難を無にしない、想像力が求められている。
   
⇒ http://www.ft.com/cms/s/0/57967514-96f9-11dd-8cc4-000077b07658.html

  http://www.guardian.co.uk/world/2008/oct/08/iceland.globaleconomy

  http://www.nytimes.com/2008/10/09/business/worldbusiness/09icebank.html?_r=1&oref=slogin
  
  http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/council-millions-at-risk-in-icelandic-banks-955702.html
 

      
  

Posted by 大沼安史 at 11:44 午後 1.いんさいど世界 |

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