〔ジャック天野の目が点丼〕 日の丸・変態・教育界
畏友・ジャック天野より、「暑中、怒りのお見舞い」メールが届いた。夏休みで、大分の湯布院に来ているそうだ。
温泉につかって、のんびりしてりゃいいものを、またまた怒髪天を衝く、お腹立ちのよう。「日本の変態教育界」にはもうガマンならないと、いきり立っておられる。
ま、いま注目の「大分」にいる以上、仕方ないか……。
以下は、例によって、彼のメールの全文である。
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おい、大沼、まだ死んでないよな。お前、このクソ暑さの最中、クーラーなしでガンバッテるそうじゃないか? 何? 地球環境を守る? 電気代、ケチってるだけじゃないのか?
オレ、いま大分だ。湯布院、いいとこだ。天国だぜ。エアコンも効いてるし。
夜なんか、窓を開けると、ひんやりした風が入ってくる。
東京を脱出して来て、ほんとによかった。命と垢の洗濯だぜ。湯船につかって、よ。
東京から、脱出したのにはわけがある。薄汚くて、うっとうしいんだよ。
何? そんなのいつものことだろ、って?
そうだよ、その通りだよ。でも、今度ばかりはオレも切れた。
新聞の「読者の声」欄、読んで、ある、とんでもないことを投書で教えられて、オレ、もうすっかり、東京のこと、やになっちゃたんだ。
どんな投書か、って? 「痴漢の副校長 処分軽減とは」ってやつだ(朝日、7月25日付)。
「電車で痴漢をして昨年1月に懲戒免職処分となった都立高校の副校長が、今春の都人事委員会の採決で停職6カ月と処分を軽減された。そして先月から教員として復職したという。君が代斉唱時に不起立だった教師と痴漢の管理職が同じ処分で良いのだろうか」
卒業式の「君が代」に「不起立」で応えた教師は、憲法で保障された思想・信条の自由を貫いた人間だよな。それと、たぶん「起立」しながら痴漢した、憲法に保障されない破廉恥行為をした教師が、まったく同じ処分。
投書した高校の先生は「(軽減の)理由は、痴漢が悪質とは言えないのだとか。開いた口がふさがらない」「人事委員会などとの癒着があったと思われても仕方ない」と書いているが、これ、まったく同感だな。
この痴漢野郎はきっと、卒業式で「起立!」とか何とか声をかけ、立たない教師を無理矢理立たせていたやつだぜ。そうじゃなければ、いとも軽々、現場に復帰できるわけ、ないじゃないか。
それにしても何だな、「痴漢」って行為と、こういう痴漢教師どもがしてる「教育」と、似すぎるほど似ているぜ。
閉鎖空間で(満員電車の、または文科省=教委からの)圧力を背に、弱い者(女性、または子ども=生徒)に対し、その人格・権利・関心を無視し、無理矢理、手を突っ込む……。
似ているどころか、これはもう、まったく同じ、だな。
ま、そんなこんなで、薄汚い東京ってところをオサラバして来た訳だが、オレ、大分に来て失敗した、と今、思い始めている。
湯布院は空気がきれいだし、いいとこだが、ここの教育界も東京と同じ、変態教育界だ。腐臭が漂っているぜ。
お前(小生=大沼のこと)、前に『緑の日の丸』(仙台・本の森・刊)って売れない小説を書いてバラしていたけれど(そして、オレは、いくらなんでも、日本の教育界、そんなに腐っちゃいないだろう、って思っていたけど)、アレ、ほんとだったんだな。
教育界に閥が出来て、金権支配が生まれ、3Kヒラメ教師ばかりがのさばるようになる……
で、オレ、昨日、大分県警に出向いて、お前が書いた『緑の日の丸』、参考にしてください、って捜査本部に一冊、差し入れして来たぜ。
今のところ、金を貢いだ・懐に入れた贈収賄事件だが、お前さんが小説に書いたように、今に背任・横領って線が出てくるかも知れないな。
学校の公費、もしくは出入り業者からピンハネした金、生徒(の親)から徴収した金に手をつけ、それで上司に貢いだ線も大ありだからな。
しかし、それにしても、お粗末な話だな。
お前さんの言うように、日本は、文科省を頂点とした、北朝鮮と世界一を争う、統制教育のメッカ。
官僚教育制度のピラミッドの第2列には都道府県教委があり、その何段か下の最底辺には学校という「現場」があり、そこには調教役の教師がいて、子どもたちの好奇心をおしつぶしている。
全国一律の「金太郎飴教育」。
「大分」は、腐った日本の統制教育の断面に過ぎない。
全国、どこを切っても、腐臭を放った膿が飛び出て来るはずだぜ。
大分で捕まった連中は皆、「不起立」を通すような骨のある教師ではなかったはずだ。全員そろいもそろって、卒業式で教師や子どもたちを「起立」させ、自分も「起立」した「管理職教員」だったはずだ。
なぜ、「起立」を命じ、自分も「起立」しているのか?
それは彼ら・彼女らが「起立」を命じる者(文科省・教委)対して「立つ」ことがないからだよな。
思想・信条の自由を、学問(学び)の自由を侵す者に対して、「立つ」ことがないからだよな。
マゾ的に「立たされた」者が、サド的に下位の者を「立たせている」。
これって、ひどいことだぜ。こういうのを、ホントの「汚職」っていうんだな。
日本の教育現場に自由と自立があり、教師に誇りと自立心があれば、ロボットのように「起立」はしないだろうし、変態振る舞いには及ばないはずだ。
「福祉」と「労働」に続いて、「教育」もついに陰湿な、「本性」が暴露されたな。
大分に来る前、東京で読んだ「朝日」の「声」欄の「かたえくぼ」に、こんな「コント」が載っていたぜ。
『先生への暑中見舞い』
昔 お元気ですか
今 大丈夫ですか
――生 徒
(静岡県・カワセミ氏)
笑えそうで笑えない、傑作コントじゃないか。
Posted by 大沼安史 at 01:00 午前 | Permalink