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2008-07-10

〔いんさいど世界〕 TOYAサミット 無責任の極み(サミット)で限界露呈に「大成功」  増補・訂正版

 道民がかつて「バブルの館」と呼んだ、お山の頂上、金ぴかリゾートホテルでの「G8サミット」が終わった。

 「大成功」だった!!??
 ……そう、「首脳」たちの「無力」と、「サミット」の「地上」との隔絶ぶりを満天下に曝したという意味で、史上「最高」のサミットだった。

 「標高」においても「無責任」ぶりにおいても、まさに史上「空前」のサミットだった。

 ■ 「最悪汚染男から、おサラバさ」

 英紙インディペンデントが報じたところによると、G8の首脳会議の場で、ブッシュ大統領が「これでグッドバイだ、最悪汚染男から」と、ジョークを一発、放ったという。

 「2050年まで50%削減」への「前向きな取り組み」を表明したときのことらしい。

 インディペンデント紙は「石油を寝て来たテキサス男の大統領」の口から、よもやそんな言葉が飛び出すとは、とからかっていたが、ブラックユーモアとしても気色悪い。

 「50年50%」で「最悪汚染男」の汚名が晴れると思ったら、「100%」大間違い。
 「ジョージ・ブッシュ」の名は、「石油奪取・イラク戦争男」の異名とともに、「人類最悪男列伝」の中の、輝かしいトップの座の一画を占め続けることだろう。

 ■ 「3B」仲間に「史上最悪汚職男」のレッテル

 ニューヨーク・タイムズ(電子版)に載った、ルスツ(留寿都)プレスセンター発特電の末尾についたAFP電には、正直ビックリした。

 ホワイトハウスが同行記者団に配った参考資料の中に、イタリアのベルルスコーニ首相に関する、こんな「人物紹介」が交じっていたそうだ。

 「政治汚職と悪で有名な、イタリア史上最悪の問題男」と。

 国務省あたりの内部資料がフリーパスで出ただけのことのようだが、慌てたホワイトハウスのスポークスマン氏、「明らかにミステーク、ずさんな仕事だった」と、火消しに懸命だったそう。

 それはともかく、ベルルスコーニといえば、名前の頭文字をとって「3B」と称せられる(TOYAサミットに抗議に来日した「グローバル・ジャスティス運動」の指導者、スーザン・ジョージ氏の表現)、最悪政治家トリオの重要構成員。

 その「3B」の親玉格のBUSHから(残る3人目はブレア)冷や水を浴びせかけられたベルルスコーニ首相、サミット会場では(日本のテレビ報道で見る限り)なぜか、終始、満面の笑みをたたえていた。

 ブッシュといい、ベルルスコーニといい、自国の若者を「ラカイユ(社会のクズ)」と呼んだサルコジといい、とんだ「トンデモ男」が、そろいもそろって、TOYAの山の上に登ったものだ。

 あの種の人間のことを、東北弁では「ホイド」という。「Gホイド」

  ■ 「食糧危機」尻目にグルメ大盤振る舞い

 TOYAサミットでもうひとつ、世界の失笑を買ったものがある。そう、あの「18コース」グルメ大盤振る舞い。

 食糧が世界的に高騰、飢えが進行しているにもかかわらず、「対策」を話し合うのも忘れ、美食、美酒に舌鼓を打った、あの醜態。

 カネの出所はもちろん、日本国民が納めた税金。
 その財源の中には、北九州市で老人の「生活保護」を剥ぎ取り、「オニギリ、食いたい」と叫ばせて餓死に追い込んだ「節税分」も含まれていよう。

 この「グルメ三昧」もまた、「G8」の正体を明らかにしたものとして、「歴史」に残るに違いない。

 ■ 「KY日本」、流れを読めず

 あのブッシュに「50年50%」を認めさせたと、鬼の首でもとったかのような日本政府だが、アホとしか思えない。

 「TOYAサミット」を、プラスの意味で後世に残るものにしたかったら、ホスト国=日本としては、最悪でも例の自爆カミカゼ戦術をとるべきだった。

 ブッシュのわがままを放っておき、「宣言なし」「合意なし」の「空中分解サミット」にしておけばよかったのだ。

 そうすれば、「ポスト・ブッシュ」の世界で、一から出直すことも可能だったはず……。

 ないしろ、オバマは「80%カット」を、ブッシュ後継を目指すマケインでさえ「60%カット」の公約を掲げているのだから、もっと高い場所で仕切り直しし、交渉を再開することも考えられたはずである。

 なのに、「50%」で手打ち……。

 ブッシュが悪乗りして、ジョークを飛ばしたくなった気持ちもわかる。

 ■ 年金積立金損出「5兆8000億円」の謎

 それにしても、「温暖化ガス抑止」コミットメントに、あれだけ「断固ノー」を貫いていたブッシュが、サミット会議中、一転、「まあ50%なら仕方ない。それも2050年時点でなら」と態度を変えたのは、どうしてなのか?

 朝日新聞によると、日本側の「最後のお願い」に、「ホスト国に恥をかかせるわけにもいかない」と米側が「譲歩」した、水面下の交渉があったようだが、いかにも日本の「政治部記者」の手になる「真相報道」のようで、気持ちが悪い。

 これは全くもって根拠のない話であり、まったくもって直感に基づく想像だが、疑い深い元「社会部記者」の小生としては、サミット直前に発表された「年金積立金 2007年度 5兆8000億円運用損」と関係あり、と睨んでいる。

 日本の政府当局は、ブッシュからの依頼(恫喝)を受け、恐らくは前年度の最終局面、ことしの1-3月期において、「債権証券化デリバティブ商品」の紙屑の山の買い取りを迫られたのではないか……これが、小生の元ブン屋としての「勘」である。

 日本政府は、あれだけ出血大サービスしたのだから、「50パー」ぐらい言ってくれたっていいんじゃないの(クーン、クーン、ワンワン)と迫った!!!……

 この「推論」を支える状況証拠はふたつ。

 ひとつは、1月のダボス会議で行われた、G8の秘密「債権証券化バブル崩壊対策」会議(この秘密会議については、ウォールストリート・ジャーナル紙が報じている)。

 もうひとつは、ニューヨーク・タイムズの東京特派員(経済担当)が書いた、「ドル安円高対策で日本政府にできること」という記事の内容である。
 その記事にはなんと、サブプラ組み込み「債権証券化商品」の日本政府による大量購入アイデアが書かれていた!!

 日本の現役ジャーナリストに期待したいのは、事の真相の解明である。「5兆8000億円」もの年金積立金が、投資の失敗(または覚悟の「損失補填」)で消えたのだ! 「ブッシュの押し売り」によるものなのか、ハッキリさせてほしい。

 ■ 「山頂」と「下界」と

 今回の「TOYAサミット」は、お山のサミット(頂)の「リゾートホテル」を会場としたことで、その「下界」(現実の生活世界)との隔たりを際立たせ、その点では予想を超える「大成功」だった。

 「G8」がいかに「世界の民衆」から遠い存在なのか、いかに「世界の民衆」を見下しているか、「頂上」と「裾野」の「標高差」が、その絶望的なまでの隔たりが、全てを物語った。

 これほどまで現実から離れた「別世界サミット」は史上初めてのことではないか?

 山頂でのサミットは、G8の限界をも曝け出した。

 G8だけでは最早、世界を動かせないことが、あの洞爺湖畔の山頂で明らかになった。

  そして高らかな「TOYA宣言」を合図に始まった「全世界同時株安」!!

 ふだんは熊しか出ないTOYAの山から、「不況」を連れて「ベアー」が降りて来た!!

 「視界ゼロ」の濃霧に閉ざされ、その後、晴れ間が覗いた洞爺湖の頂上からの眺めに、(もしかしたら熊の姿はあったかも知れないが)人の姿はなかったはずだ。

 世界の現実にコミットせず、世界の民衆の姿に目を向けないで来た先進国サミット。

 「TOYAサミット」が終わり、「G8」に、世界が「グッドバイ」を告げる時が来た。
   
  

⇒  http://www.independent.co.uk/news/world/politics/bush-to-g8-goodbye-from-the-worlds-biggest-polluter-863911.html

 http://www.nytimes.com/2008/07/09/science/earth/09climate.html?pagewanted=2&sq=Gay%20Stolberg&st=nyt&scp=4

http://www.democracynow.org/2008/7/9/as_global_food_crisis_tops_g8

http://www.ft.com/cms/s/0/43f7cf18-4e05-11dd-820e-000077b07658.html

Posted by 大沼安史 at 08:16 午後 1.いんさいど世界 |

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