〔いんさいど世界〕 サルがマインドコントロールでロボットアームを操作 食べ物を口に BMI(脳・マシーン・インターフェース)、実用化へ一歩
「マインドコントロール」というと、誰かに自分の心が操られてしまう感じがして、嫌な気がしてしまいますが、自分が気合を入れるだけで、たとえば機械を動かすことができる、そんな「マインドコントロール」なら、どうでしょう?
これなら、嫌じゃありませんよね。頭の中で考えただけで、その通り、機械が動いてくれるんですから……。
頭が考えただけで機械が動く――これって「BMI」というんだそうです。BはBrain(脳)のB、MはMachineのM、IはInterface のI。つまり、「脳・マシーン・インターフェース」。
インターフェースって界面、二つの別々の顔(もの)をつなぐ(接続する)ことですよね。
BMIってつまり、脳とマシーン(機械)を接続することなんです。脳が考えたことを、カラダではなく人体の外の機械に伝え、脳の指示通り、機械を動かす。
そんなSFまがいの、夢のような実験に、アメリカの脳科学者たちが成功して、世界中の評判になっています。米紙ニューヨーク・タイムズや英紙インディペンデントなどが報道して、いっぺんに知れ渡りました。
お猿さん2匹を使ってBMIに成功したのは、ピッツバーグ大学のアンドリュー・シュワルツ博士らのチーム。
で、どんなBMIだったかというと、ロボットアームを使った事件だったそうです。
お猿さんの脳の運動中枢にある、100個のニューロン(神経単位)に電極を取り付け、お猿さんの脳が出す「指示(考え)」をコンピューターが解析、その信号を、マシュマロとかフルーツといったお猿さんの好物を運ぶロボットアームに伝える仕組み。
お猿さんの脳がちゃんと指示を出せば、ロボットアームはちゃんと口の前まで食べ物を運んでくれる仕組みです。
お猿さんとしは、食べ物が口の前まで来たところで、(これはロボットアームではなく)自分の手で握っていたグリップを緩めると、食べ物がポーンと口の中に飛んで入る――そんなBMI実験の成功し、食事風景を撮影したビデオを公開しました。
(下記の英紙インディペンデントの記事にアクセスすると、ビデオを見ることができます)
念力というか、マインドコントロールでロボットアームを操作し、好物をゲットする……これはもう、ものすごいことですが、このお猿さんたち、けっこう簡単に「マスター」してしまったんだそうです。
どんなふうにして、そこまでたどりついたかというと、よくスポーツ選手(もちろん、人類の……)がする「イメージ・トレーニング」――アレなんだそうです。
ロボットアームがこう動くと、食べ物が口の前まで来て、そのときグリップを緩めれば、おいしいものにありつけるよ、っていうことを何度もお猿さんに見せる。
それをお猿さんが頭の中で正しく「再現」したとき出す脳の電気信号が、コンピューターを通じてロボットアームに送られ、ロボットアームが正しく動く……どうも、こういうこと、らしいんです。
で、この実験成功が、われわれ人間にとって、どれぐらいの意味を持っているかというと、これが計り知れないぐらい大きいんだそうです。
たとえば脊椎損傷で手足が麻痺した人がいたとします。いまのところ、介助なしにモノを動かすことはできませんが、このBMIが実用化すれば、「考えた」だけでロボットアームが、自分の手(足)になって動いてくれる。
今回のお猿さんの実験では脳に電極をつないでいますが、脳科学者たちはシリコンのハードウエアを脳の運動中枢に植え込み、炭素のソフトウエアで動く構想を練っているそうです。
つまり、脳の思考による遠隔操作が可能となる時代が遅かれ早かれやって来る。
うーん、なんだか、すごいことになって来ましたね。
で、今回、お猿さんMBIに成功した、ピッツバーグ大学のシュワルツ先生たちですが、次の目標に掲げているのが、お猿さんにロボットアームがモノをつかむ「感触」を(脳で)感じてもらうことなんだそうです。
脳の「考え」をロボットアームに一方的に伝えるだけでなく、逆方向の信号を脳で受け取ることができるようにする。
な~るほど、そこで「双方向性」が生まれるわけですか(?????)。
うーん、やっぱ難しい……知ったかぶりもここまで。アタマがこんがらがって来たところで、この辺でお開きにしたいと思います。