« 〔コラム 机の上の空〕 人種の壁超え卒業パーティー 米ミシシッピー州 黒人俳優 モーガン・フリーマンが一役 | トップページ | 〔NEWS〕 ゴア氏 オバマ支持を表明 »

2008-06-15

〔コラム 机の上の空〕 凶器か、それとも磁石か

 日曜日、休日。
 自分を解き放つ日。

 朝、短パンで家を出て、ゆっくり駆け出した。川沿いの遊歩道に出て、ジョギングする。

 50分ほどで、鶴見川の合流点に到達。こんどは鶴見川の上流へ向け、歩き始める。

 いつも辿る左岸の遊歩道ではなく、今日は右岸の道。

 左岸はサンクリングロードで整備されているが、右岸の道は未舗装の部分が多い。

 右岸を歩いてよかった。水溜りがあったし、途中、子連れの若いお母さんと話もできたから。

 午後、家に戻って、ラジオ用の原稿(モーガン・フリーマンのこと)を書き、昼寝をして、7時前、町田に出かけた。

 馴染みの店で、泡盛をロックでいただく。甘みと香りがあって旨い。

 ほろ酔いで家に戻り、映画「ショーシャンクの空に」のビデオをまた観る。
 モーガン・フリーマンに、会いたくて、また観た。

 「発見」がひとつ。
 何度も見ているのに、これまで気付かなかったことがひとつ。

 刑務所を仮釈放されたRED(モーガン・フリーマン)が、罪を再び犯して刑務所に戻ろうか、と迷い、質屋のショーウインドーを覗くシーン。

 そこで、決定的に大事なことが、さりげなく提示されていた。

 ショーウインドーには、「拳銃」と並んで、「コンパス(磁石)」があったのだ。

 拳銃を持てば、「ムショ」の中に戻れる。が、REDは磁石を買って、脱獄した友、アンディーとの約束の地に向かう。

 REDは「樫の木の下、黒曜石の下でお前を待っているものがある」というアンディーの言葉を思い出したのだ。

 そして、REDが、黒曜石の下を堀リ返すシーン。 

 石の下から出て来たのは、メキシコで待つというアンディーのメッセージと、50ドル札の束。

 REDは、「懸命に生きる」か、「懸命に死ぬか」の2者選択のうち、生きる側を選び、アンディーが待つメキシコ行きのバスに乗る。

 この「質屋」から「樫の木」のシーンを繰り返し見たのは他でもない。AKIBAで惨劇を演じた加藤智大容疑者のことが哀れでならないからだ。

 福井のミリタリーショップには、ナイフのそばに磁石もあったはず。

 どうして君は、磁石ではなくナイフを選んだんだ、どうして磁石を手に出来なかったか、と思ったからだ。

 磁石があれば、君も歩いていけただろう。
 磁石を手に、磁石を見る余裕が君にあれば、君はAKIBAに向かわないで済んだのではないか?

 鶴見川右岸の道は、市ヶ尾で「東名」の高架下をくぐり抜ける。

 トンネルのような通路を通り抜けたとき、轟々たる通過音に包まれた。が、遮蔽に遮られ、車の姿は見えない。

 加藤容疑者は、前の日曜日の朝、この高架の上を、トラックで通過して行った……。

 「ナビ」でAKIBAに。
 お前はどうして、ナイフを買ってしまったんだ? どうして磁石を買わなかったんだ?

 磁石さえ買えば、どこからでも、「自分の一歩」を歩み出せたろうに……。   

 加藤智大容疑者よ、こうなった以上、今、君がしなくてはならないことは、なぜ惨劇を起してしまったか、身を切る思いで原因を探り出すことだ。

 あの永山則夫氏も、必死になって書いたではないか。

 加藤智大氏よ、こんどは君が君の「無知の涙」を、君の「木橋」を、書く番である。

 なぜ、犯行に至ったか、君はコトの真実を書き残さなければならない。

☆☆PR 「ソーシャル・ビジネス」の市民出版社「本の森」原稿全国募集 PR☆☆ 
          低価格(四六版並製 500部50万円 より) 全国書店配本可
⇒ http://homepage2.nifty.com/forest-g/  

Posted by 大沼安史 at 11:42 午後 3.コラム机の上の空 |

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 〔コラム 机の上の空〕 凶器か、それとも磁石か: