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2008-06-29

〔NEWS〕 北極に氷なし!

 英紙インデイペンデント(電子版、6月27日付)が、「北極にいま氷はない」と報じた。

 考えられないことが、ついに史上初めて、いま、起きている!

 ユーラシア大陸寄りの部分に氷の帯は続いているものの、北極とその周辺は海が顔をのぞかせ、天候にさえ恵まれれば、ボートを漕いで北極の海面にたどり着くことも可能。

 科学者たちの予測では、この夏、完全に氷のない北極海になる確率は、50対50だそうだ。

〔大沼・注〕 「洞爺湖サミット」の会場となる、あの山頂の豪華ホテルは、札幌のバブリーな建築会社が、いまはなき「拓銀」から湯水のように金を引き出して建てた「バブルの館」である。

 そんなところで、ソロスの言う「スーパーバブル」が崩壊し始めた今、「環境サミット」を開こうというだから、日本の政府も趣味(?)が悪い。

 海外の記者団から、「このホテル、バブルの館っていうそうじゃないですか? こういうところでサミットを開く?……どういうつもりなんです? あんたら正気か?」と突っ込まれたら、どう答えるつもりだろう。

 北極から氷が消えた非常事態の中、ゴマカシ&先送りの「TOYA宣言」を出そうものなら、「レークTOYA」の名は、いかにも日本的な不作為の代名詞として、歴史に刻み込まれるだろう。

 「TOYA」の悲劇は、あの青函連絡船の転覆だけで十分である。
  

⇒  http://www.independent.co.uk/environment/climate-change/exclusive-no-ice-at-the-north-pole-855406.html

Posted by 大沼安史 at 04:02 午後 | | トラックバック (1)

〔いんさいど世界〕 姿を変える変身ビル 「可変・超高層マンション」 湾岸のドバイで着工へ

 ペルシャ湾岸、アラブ首長国連邦の都市、ドバイ。
 一度だけ行ったことがあります。

 もう20年近くも前のこと。イラクのサダム・フセインが侵攻したクウェートに、バーレーン経由で現地入りしようとして失敗、仕方なくドバイまで、すごすごと引き揚げた時のことです。

 そのときですら、ドバイの繁栄ぶりはもの凄いものでした。まるで、現代建築の見本市。
 その後、海面埋め立てが進み、人工島がいくつも出来て、いまや非現実感さえ漂わせる、未来を先取りした都市へと成長しています。

 そのドバイに、超高層ビルのイメージを一新する革命的なビル(マンション)の建設が計画されているそうです。

 フィレンツェ在住、イタリアの建築家、デーヴィッド・フィシャー氏が先日、ニューヨークで記者会見して発表しました。

 その名も「ダイナミック・アーキテクチャー(動く建築)」。

 これがどういうものかというと、高さ420メートル、地上80階建て。

 ふつうのビルだと、鉄骨を組み上げ、各フロアを仕切って部屋を配置する建築法ですが、このビルはまず、ビルの芯になる巨大な円筒を建て、その周りにプレハブの「家(部屋)」を最上階から地面に向かって、1階ずつ配置して行く。

 「プレハブ」の「家」は、イタリア南部のバリの工場でつくるんだそうです。そこで内装まで仕上げ、壁に絵をかけた完成品にして、ドバイまで運んで大円筒に取り付ける。
 これだと、1階あたり1週間で出来上がるのだそうです。

 革命的なのは建築法だけではありません。大円筒の周りに取り付けられた「家」(部屋)は、各階ごと、なんと水平に、ぐるぐる、自由に動くことができる。

 フロアごと自分の住まいにしてしまえば、自分の寝室の窓から朝日を見たいなと思ったら、その寝室部分を東に向ける。「居間」から、ペルシャ湾を眺めてみたいときは、「北」向きに……。

 そんなふうに、80階の全てが、ルービック・キュービックのように、それぞれ思い思いの方向へ水平に移動することで、ビル全体の形が変わる。

 つまり、ドバイに建設予定のこの超高層ビルは、世界初の「変身するビル」になるわけです。

 もっと驚くことがあります。

 各階ごとに、大きな風車がついているんです。ふつう、風車の羽根は垂直に回転しますが、このビルのは水平に回る。ビル風をとらえて、それで風力発電し、各戸の屋根に取り付けた太陽光パネルと合わせ、エネルギーを自給するのだそうです。

 この「動くビル」、ドバイの次はモスクワで、70階建て、高さ400メートル。そのあと、摩天楼の本場、ニューヨークにも建てる計画。

 いずれ、日本にもお目見えするのでしょうが、たしかに革命的ではあるけれど、僕にはどうも、住みたいって気がしません。

 そんなに動いてどうするの?……てな感じ。

 家にいるときぐらい、動かず、じっとしていたい、「いつもの窓からの眺めと眺めていたい」と思いますが、皆さんはいかがですか???  
 

⇒  http://www.dynamicarchitecture.net/ 

http://www.independent.co.uk/arts-entertainment/art-and-architecture/news/revolutionary-skyscraper-will-offer-rooms-with-a-variable-view-853536.html

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Posted by 大沼安史 at 03:26 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2008-06-28

〔NEWS〕 ブッシュを汚水とともに流し去ろう! シスコで11月に住民投票 汚水終末処理場を「BUSH記念」と命名

 英紙ガーディアンによると、サンフランシコで11月の大統領選に合わせ、同市最大の汚水終末処理場への「命名」を決める住民投票が行われることになった。

 提案される命名案は「ジョージ・ブッシュ記念(汚水終末処理場)」。

 「サンフランシスコ・大統領記念委員会」という市民グループが、提案に必要な署名を集め終わった。

 「命名」とともに、賛同市民による「ブッシュ一斉フラッシュ(便器洗浄)」も呼びかけるという。

 シスコでは2006年にもブッシュ・チャイニー弾劾決議が採択されており、処理場への「命名」提案は可決される見通しだ。

 

⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/americas/san-francisco-to-vote-on-naming-sewer-after-george-bush-855433.html

Posted by 大沼安史 at 01:33 午後 | | トラックバック (0)

2008-06-22

〔いんさいど世界〕 「スーパーバブルが弾けている!」 ジョージ・ソロス氏 「狼少年、3度目の正直」

 世界的な投資家、ジョージ・ソロス氏が、「スーパーバブルが崩壊している」と、警報を発している。過去25年間に膨らんだ、空前の「バブル」がいま、弾け出したというのだ。

 ソロス氏は過去2度にわたり、世界経済の崩壊を予言、2回とも外したが、3度目の今回は確信を持って「叫ぶこと」が出来るそうだ。
 今度こそ、「スーパーバブル崩壊」という「ホンモノの狼」が来た、と。

 ソロス氏は、ハンガリー生まれのユダヤ人投資家。今はアメリカに住んでいる。
 子どもの頃、「ナチス・ドイツ」「ソ連」とふたつの「全体主義」を経験、英国に出て苦学したあと、投資家としてのし上がった。
 1992年には英政府を相手どって戦いを挑み、遂には英ポンドを切り下げに追い込むなど、華々しい実績を残して来た。

 ソロス氏が運営するヘッジ・ファンドの、1969年から2000年までの平均収益(リターン)は、実に30.5%。 

 そんな投資家として名を成す一方でソロス氏は、「全体主義」に反対する慈善活動を続け、旧東欧に大学を開設するなど、リベラルな「開かれた社会」づくりに富を還元している。
 氏の「開かれた社会」財団の寄付金は総額50億ドルに達するという。

 投資家としてのソロス氏は昨年(2007年)になって一線を引退するが、すぐさまその年夏、現役へ一時復帰する。

 世界経済の雲行きが怪しくなったことを察知し、自ら対策に乗り出したのだ。
 「ソロス・ファンド・マネジメント」が運営するヘッジファンドのポジションを変更、サブプライム・ローン問題が顕在化する直前、逃げ切りに成功した。おかげでソロス氏のファンドの昨年の利益は40億ドルに達し、利益率としては32%という高水準の維持に成功したという。

 新たな「ソロス伝説」が生まれたわけだ。

 そんなソロス氏が、いま世界で「スーパーバブルが崩壊し始めている」と、警告を発したのは、ことし5月のこと。
 当時は、経営破綻したウォールストリートの大手証券会社、ベア・スターンズが、巨大投資銀行、JPモルガン・チェースに「吸収」されることが決まり、サブプライム・ローン問題に端を発した「金融危機の」前途に、ようやく光明が見えて来た(と言われていた)矢先。

 そんな最中の、ソロス氏の警告(ソロス氏は同月発売の新著、『金融市場の新しい枠組み』の中で、「スーパーバブル崩壊」を指摘し、その後、欧米マスコミとのインタビューで自説を繰り返している)だけに、発言は衝撃波となって広がったが、世界経済の安泰ぶりを強調する「金融エスタブリッシュメント」からの反発もまた激しく、いまなお揺れ続けているのが現状だ。

 ソロス氏に反旗を翻してる筆頭は、ウォールストリートの「機関紙」、「ウォールストリート・ジャーナル」紙。

 6月21日の紙面で、ソロス氏とのインタビューを掲載、同氏が1987年と1998年の2回、世界経済の崩壊を予言して、いずれも外している事実を指摘、まるで今度も「外れ予言」だと言わんばかりの聞き方をしている。

 そんなインタビューアーの突っ込みを軽くいなしてソロス氏はこう語っている。

 「狼は、少年が3度、叫んだあとに来る」と。

 つまり、3度目の今回は、ホンモノの狼、ホンモノのバブル、ホンモノの世界経済の危機だと言っているのである。

 そのバブル(崩壊)の規模、危機の規模についてソロス氏は、ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビュー(新著発売前のプロモーション会見)で、77歳になる彼の人生の中で最大のものだと言っている。ソロス氏は、あの大恐慌の翌年、1930年生まれだから、大恐慌以来、最大の経済危機がいま、世界に襲いかかっている、というわけだ。

 それでは、ソロス氏がいう「スーパーバブル」とは一体何ものなのか?
 その膨れ上がった「泡」の具体的な中身は何なのか?

 この点に関し、ニューヨーク・タイムズ紙に書かれているのは2つ。
 ひとつは「住宅・住宅ローン」バブル、もうひとつは「石油バブル」。同紙によれば、ソロス氏はこの2つのバブルに言及、それが過去25年間に膨れ上がったものだと語っている。

 そう、たったそれだけ……。ソロス氏は、それしか語っていないのである。

 なぜ、たった、それだけなのか?……
 もちろん、それしか話せないだけのこと。それ以上、話せば、「崩壊」の速度を加速しかねないと心得ているからだ。

 しかし、「たったそれだけ」でも、およそのことは想像がつく。

 いま、崩壊し始めた「スーパーバブル」とは、1980年代半ば以降のマネーの奔流が四半世紀後に生み出した「債権証券化バブル」と、そのバブルから逃避したマネーが生み出した「石油バブル」の双子のバブルのことである。

 中でも親バブルの「CDO債権証券化バブル」は、62兆ドルもの「CDSデリバティブ保険」という「金融核兵器」を抱え込んでおり、破綻の連鎖反応が始まれば一気に核爆発を起こしかねない、とんでもない代物である。

 ソロス氏はそのことを臭いほど知っているから、言わずにはおれないから、投資家人生の終幕の今、オブラートに包んだ形で、敢えて発言したのだろう。

 ソロス氏はブッシュ政権の「CDO・CDS」野放し政策を批判し、オバマ氏支持を早くから明言していた人物だ。

 ことし1月、G8の中央銀行が「CDO・CDS対策秘密会」を開いたといわれる、スイス・ダボスでの「世界経済フォーラム」にも居合わせて、慌てふためく「金融エスタブリッシュメント」エリートどもの姿を冷ややかな目で眺めていたはずだ。

 こうしてみると、このダボス会議で、アメリカの記者団にソロス氏が語った「日本の非ナチ化しなければならない」との発言(本ブログ既報)は、ますます重大な意味を帯びて来る。

 「日本銀行」を、ヒトラーの「ライヒス・バンク」のように「打ち出の小槌」化し、円キャリ=ドル・ツナミを送り続けたブッシュ政権のポチどもの無節操・無責任ぶりに、たぶんソロス氏は怒って発言したのだ。

 「スーパーバブル」を極大化した責任のかなりの部分は、ブッシュ政権の言いなりになり、「格安マネー」の怒涛の出荷を続けた、日本の金融権力者にもあるだろう。

 「スーパーバブル」の崩壊がいよいよ本格化した来たら、おそらくソロス氏はもっと具体的な形で、「犯人」の名指しを始めるはず。

 ソロス氏が「3度目の正直」で呼んだ「狼」は、日本の当局者の喉笛にも食らいつこうとしている。

 
⇒ http://www.nytimes.com/2008/04/11/business/11soros.html?scp=18&sq=Soros&st=nyt#

  http://www.nytimes.com/2008/06/07/business/07oil.html?scp=8&sq=Soros&st=nyt

  http://dealbook.blogs.nytimes.com/2008/04/11/george-soros-the-face-of-a-prophet/?scp=2-b&sq=Soros&st=nyt

http://online.wsj.com/article/SB121400427331093457.html?mod=home_we_banner_left

Posted by 大沼安史 at 03:49 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)

2008-06-19

〔アフガンから〕 英軍女性兵士 初の戦死

 英紙インディペンデントによると、アフガンのヘルマンド州で6月18日、作戦を終え、ラシュカール・ガール基地に戻ろうとしていた英軍情報部隊を狙って、路肩爆弾が爆発、英兵4人が死亡した。

 犠牲者の中には女性兵士が一人(サラ・ブライアントさん)が含まれている。

 アフガンでの英軍女性兵士の戦死はこれが初めて。

 これにより、この10日間、戦死した英兵の数は9人に達した。

⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/asia/first-female-soldier-killed-in-afghanistan-849995.html

Posted by 大沼安史 at 02:06 午後 | | トラックバック (1)

2008-06-18

〔イラクから〕 占領下の真実 民衆のレンズ 「ケータイ写真館」

 オランダのカメラマン、ゲート・ファン・ケステレン(Geet van Kesteren)さんが、イラクの人びとが携帯で撮影した写真を集めた写真集、「バグダッドは呼んでいる(Baghdad Calling)」出版したと、英紙インディペンデントの中東特派員、ロバート・フィスク氏(ベイルート駐在)が18日付けの同紙電子版に書いていた。

 オランダでケステレン氏に会って、話を聞いたのだそうだ。

 ケステレン氏はプロの報道写真家だが、いまのイラクでは、本当に撮りたい被写体にカメラを向け、シャッターを切ることはできない。あまりにも危険すぎるからだ。

 そこで、ケステレン氏は、イラクの人びとが「ケータイ」で撮った写真を収集し、写真集として出版することを考えた。

 カメラではなくケータイが捕らえた、イラクの真実。
 デジタル画像はヨルダンに逃れて来たイラク難民のケータイに届き、ケステレンのもとに集められた。

 388ページの写真集に収められたケータイ・スナップは、イラク人の(外部世界に)知られざる日常の一瞬をとらえ、見るものの心を打つ(その一部、7枚の写真による「アルバム」が、同紙電子版の記事に付いている)。

 車の屋根に乗った少年のうれしそうな顔。ボウリング場の青年。トルコからの「帰国バス」の車内。クリスマスの祝うイスラム教徒のイラク人一家……「アルバム」に掲載されたケータイ・スナップは、イラクの悲惨と絶望の中でもまだ失われずにいる「希望」を伝えるものだ。

 その一方で、写真集には、バグダッドの死体置き場を車で通りかかりざま撮ったと見られる、惨殺体の写真など、占領・内戦下のイラクの地獄を伝えるものが多い。

 フィスク氏はだから、この写真集は「われわれ(占領軍)に対する告発だ」と指摘する。

 フィスク氏の記事の末尾に、ケステルン氏あてにイラクから届いた「ブラック・ユーモア」メールが紹介されていた。

 バクダッドの路上で、こんな口論が交わされたそうだ。

 のどの乾きを抑えようと、労働者が紅茶を氷で割って飲んでいた。それを見た通りかかりの男が、車から降りて労働者に近づき、「この不信心者めが、何やってるか、わかってんのか? マモメットだって水に氷を入れて飲んでいないぞ」とわめきながら、労働者に殴りかかった。
 労働者は怒って言い返した。「だったら聞くがな、マホメットは、お前さんのように車、運転してたのか?」と。

 その口論の様子がケータイで撮られ、写真集に収められたのかどうか不明だが、撮影者が特定されることを恐れたか、他の何かの理由で、ケステレン氏が「ボツ(没)」にした写真の中に、こんな一枚がある、とフィスク氏は書いている。

 それは、ロバにまたがり銃を構える米兵の写真。

 画像処理の演出写真かも知れない、それで「ボツ」にされたかも……とはフィスク氏の推測。

 この写真がホンモノなら、まさに世紀の「スクープ写真」、ピュリツアー賞は確実だ????

 米軍がイラクから撤退し、報復の恐れがなくなったら、きっと「公表」されるはず。

 その日が一日も早く来ることを、イラクの人びとと一緒に、われわれも祈ることにしよう。
  

⇒ http://www.independent.co.uk/news/fisk/robert-fisk-snapshots-of-life-in-baghdad-849226.html?action=Popup&ino=1

  http://www.independent.co.uk/news/fisk/robert-fisk-snapshots-of-life-in-baghdad-849226.html

Posted by 大沼安史 at 03:35 午後 | | トラックバック (0)

2008-06-17

〔NEWS〕 「債権証券化バブル」崩壊……国際金融資本 延命に血道

 米ウォ-ルストリート、英シティーなどに巣食う「ドラゴン」(国際金融資本)どもが、自らの生命線である金融システムの維持・延命に血道をあげているようだ。

 FT紙によると、ロンドンのヘッジ・ファンド、「チェーン・キャピタル」が運営、破綻したSIV(投資ビークル)を、米国の大手投資銀行、ゴールドマン・サックスが救済するそうだ。

 SIVとは、サブプライム住宅ローンなどを組み込んだ「COD」(債務担保証券)を、投資銀行から仕入れては売りまくっていた「別会社」を指すが、ロンドンのこのSIVは、デフォルト、あるいはデフォルトの恐れの強い、筋悪のCODを70億ドルも抱え込んでしまったらしい。
  
 たぶん、このSIVの「親」であるヘッジ・ファンドも、CODをヘッジする「CDS」なるデリバティブ保険を売りまくった挙げ句、参照債務のデフォルトで、莫大な保険金の支払いを迫られ、追い詰められたはずだ。

 FT紙によると、救済に乗り出したゴールドマン・サックスの今年第2四半期の業績は前年同期よりは落ちているものの、予想外の「好調」ぶり。

 最近は、日本のGDPにしろ、アメリカのGDPにしろ、「予想外に好調」ばかりで、眉につばつけて見るほかないが、国際金融資本が各国政府、中央銀行とともに、史上空前の「COD+CDS危機」を、ソフトランディングでなんとか凌ごうとしている姿が伺い知れる。

 FT紙は、ゴールドマン・サックスによるロンドンSIV買収・救済で「闇の銀行界」の延命に希望の灯がともったような書き方をしているが、「金融ツナミ」に巻き込まれた人々(たとえばサブプライム・ホームレス)の救済はどうなっているのか?

 「ドラゴン」どもに、たとえば為替取引税を課税して、その「ボロ儲け」を吸い上げる、といった、国際社会による抜本的な規制の創設が急務になっている。

⇒  http://www.ft.com/cms/s/0/db9ed2e0-3bd5-11dd-9cb2-0000779fd2ac,dwp_uuid=ffa475a0-f3ff-11dc-aaad-0000779fd2ac.html

  http://www.ft.com/cms/s/0/54ec522a-3c68-11dd-b958-0000779fd2ac.html

Posted by 大沼安史 at 11:37 午後 | | トラックバック (1)

〔NEWS〕 ゴア氏 オバマ支持を表明

 アル・ゴア元・米副大統領が「オバマ支持」を表明した。

 ゴア氏はオバマ政権で「環境長官」に就任するとの観測もあるが、本人は「あり得ないことだ」と否定している。
 
 

⇒  http://www.guardian.co.uk/politics/2008/jun/16/algore.barackobama

Posted by 大沼安史 at 10:23 午後 | | トラックバック (0)

2008-06-15

〔コラム 机の上の空〕 凶器か、それとも磁石か

 日曜日、休日。
 自分を解き放つ日。

 朝、短パンで家を出て、ゆっくり駆け出した。川沿いの遊歩道に出て、ジョギングする。

 50分ほどで、鶴見川の合流点に到達。こんどは鶴見川の上流へ向け、歩き始める。

 いつも辿る左岸の遊歩道ではなく、今日は右岸の道。

 左岸はサンクリングロードで整備されているが、右岸の道は未舗装の部分が多い。

 右岸を歩いてよかった。水溜りがあったし、途中、子連れの若いお母さんと話もできたから。

 午後、家に戻って、ラジオ用の原稿(モーガン・フリーマンのこと)を書き、昼寝をして、7時前、町田に出かけた。

 馴染みの店で、泡盛をロックでいただく。甘みと香りがあって旨い。

 ほろ酔いで家に戻り、映画「ショーシャンクの空に」のビデオをまた観る。
 モーガン・フリーマンに、会いたくて、また観た。

 「発見」がひとつ。
 何度も見ているのに、これまで気付かなかったことがひとつ。

 刑務所を仮釈放されたRED(モーガン・フリーマン)が、罪を再び犯して刑務所に戻ろうか、と迷い、質屋のショーウインドーを覗くシーン。

 そこで、決定的に大事なことが、さりげなく提示されていた。

 ショーウインドーには、「拳銃」と並んで、「コンパス(磁石)」があったのだ。

 拳銃を持てば、「ムショ」の中に戻れる。が、REDは磁石を買って、脱獄した友、アンディーとの約束の地に向かう。

 REDは「樫の木の下、黒曜石の下でお前を待っているものがある」というアンディーの言葉を思い出したのだ。

 そして、REDが、黒曜石の下を堀リ返すシーン。 

 石の下から出て来たのは、メキシコで待つというアンディーのメッセージと、50ドル札の束。

 REDは、「懸命に生きる」か、「懸命に死ぬか」の2者選択のうち、生きる側を選び、アンディーが待つメキシコ行きのバスに乗る。

 この「質屋」から「樫の木」のシーンを繰り返し見たのは他でもない。AKIBAで惨劇を演じた加藤智大容疑者のことが哀れでならないからだ。

 福井のミリタリーショップには、ナイフのそばに磁石もあったはず。

 どうして君は、磁石ではなくナイフを選んだんだ、どうして磁石を手に出来なかったか、と思ったからだ。

 磁石があれば、君も歩いていけただろう。
 磁石を手に、磁石を見る余裕が君にあれば、君はAKIBAに向かわないで済んだのではないか?

 鶴見川右岸の道は、市ヶ尾で「東名」の高架下をくぐり抜ける。

 トンネルのような通路を通り抜けたとき、轟々たる通過音に包まれた。が、遮蔽に遮られ、車の姿は見えない。

 加藤容疑者は、前の日曜日の朝、この高架の上を、トラックで通過して行った……。

 「ナビ」でAKIBAに。
 お前はどうして、ナイフを買ってしまったんだ? どうして磁石を買わなかったんだ?

 磁石さえ買えば、どこからでも、「自分の一歩」を歩み出せたろうに……。   

 加藤智大容疑者よ、こうなった以上、今、君がしなくてはならないことは、なぜ惨劇を起してしまったか、身を切る思いで原因を探り出すことだ。

 あの永山則夫氏も、必死になって書いたではないか。

 加藤智大氏よ、こんどは君が君の「無知の涙」を、君の「木橋」を、書く番である。

 なぜ、犯行に至ったか、君はコトの真実を書き残さなければならない。

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Posted by 大沼安史 at 11:42 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

〔コラム 机の上の空〕 人種の壁超え卒業パーティー 米ミシシッピー州 黒人俳優 モーガン・フリーマンが一役

 黒人俳優、モーガン・フリーマン(71歳)。ご存知だろうか?
 映画「ミリオンダラー・ベイビー」でアカデミー賞(助演男優賞)を受賞した俳優(というより「役者」といった方がいような……)である。

 わたしも彼の大ファンで、映画「ショーシャンクの空」のRED役を見て、それ以来、注目している。

 生まれはテネシーだそうだが、育ちはミシシッピー。少年時代を人種差別がことのほか激しい、アメリカの深南部(ディープ・サウス)で過ごした。(その後、インディアナのゲイリーを経てシカゴに行く)

 映画俳優で成功を収めた今、住んでいるのは、少年時代の思い出がいっぱい詰まったミシシッピーのチャールストン。人口2000人の小さな田舎町だ。

 役者の枠を超えた人で、事業家でもある。映画の制作会社をつくったりもしているが、面白いのは、レストランを地元のミシシッピーで開いていることだ。「マディディ」という店で、クラークスデールという町にある。

 南部の豊かな食文化を伝えたい……老俳優はアメリカの新聞のインタビューに応え、こう語っていた。もう、3年か4年も前のことだが……。

 そんな記事(たしか、ニューヨーク・タイムズだったか……)に目を通したのも、この黒人俳優のことが気になっていたからである。

 そして一昨日(金曜日)――英紙インディペンデント(電子版)を閲覧していて、ファンとしてはたまらない、嬉しい記事が出ていた。

 モーガン・フリーマンが一役買って出て、地元チャールストンの公立高校で、初の人種統合プロム(卒業ダンスパーティー)が開かれたというのだ。

 去年まで、白人と黒人、それぞれ別個にプロムを開いていたというのだから、アメリカ南部の人種差別の根深さは相当なものだが、そんな悪しき伝統を止めさせたモーガン・フリーマンの心意気や、よし、である。

 家族とともに、チャールストンの親戚を頼ってテネシーから移って来たモーガン・フリーマンは近くのグリーンウッドというところで育った。その町には映画館が一軒、あったが、黒人(の子)は2階の桟敷席、白人(の子)はフロアの椅子席という具合に見る場所が区別されていた。

 モーガン少年が12歳のとき……ということは、1955年の年に、グリーンウッドに近いマネーという町で、シカゴから帰省した14歳の黒人少年が、白人の店主に生意気な口を利いた、といったささいな理由でリンチに遭い、川に投棄される事件が起きている。

 そういう土地柄だからこそ、1970年以来、人種統合後もなお、チャールストン高校では、人種別プロムという悪しき伝統が続いていたのである。「うちの娘を、ニガーに触れさせるものか」といった風な。

 今回、モーガン・フリーマンが「人種統合プロム」の開催を働きかけたのは、友人のカナダ人映画プロデユーサーとの会話がきっかけだったそうだ。

 モーガン・フリーマンの地元の高校で、いまだに人種別プロムが続いていることを知ったカナダ人プロデューサーが、老友に電話をかけて聞いたのだ。

 「オレ、若い頃、そう、今は昔の1960年代に、カナダからミシシッピーに入って公民権運動の応援したことあるけど、あんたのところの高校のプロムがまだ人種隔離されてるってホントか?」
 「ああ、ホントだ」
 「いいのか、それで」
 「いや。だから、今から10年前、地元の教育委員会に、オレ、プロムの金、出してもいいから、人種統合でやってくれって頼んだんだ。でも、聞いてもらえなかった」
 「でも、その提案、まだ生きているんだろう? 金、出す気、あるよな」
 「ああ」
 「だったら、もう一度、働きかけてみないか。実現したらオレ、ドキュメンタリーの映画を撮りたいしさ」
 「わかった。じゃあ、一緒に働きかけてみよう」

 ――というわけで、地元教育委員会との再交渉の結果、ついに人種統合プロム実現という事態に相成ったわけである。 

 で、プロムの日、実際、どんな風、だったかというと、主役の卒業生たちは肌の色など気にせず、音楽に合わせ、一緒にダンスを楽しんでいたが、親の方はついて行けず、世代のギャップが目立ったそうだ。

 この人種統合プロムとは別に、小規模ながら「白人オンリー・プロム」を強行する親たちもいて、差別意識の根深さを見せつけもしたが、深南部のミシシッピーで「人種統合プロム」が開催されたことは、大きな一歩。
 ディープ・サウスにも、新しい時代の風が吹き出したらしい。

 変わるアメリカの草の根。
 老優モーガン・フリーマンもまた、あの「オバマ」支持者であることは、言うまでもない。
 
 
⇒  http://www.independent.co.uk/news/world/americas/charlestons-first-integrated-prom-846261.html

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Posted by 大沼安史 at 03:24 午後 3.コラム机の上の空 | | トラックバック (0)

2008-06-12

〔いんさいど世界〕 フラットな市場幾何学@AKIBA 惨劇の意味を問う

 東京・秋葉原の電気街で、日曜日の白昼、悲劇は起きた。トヨタ系自動車工場への派遣社員、加藤智大・容疑者(25歳)が歩行者天国にトラックで突っ込み、歩行者を無差別にナイフで突き刺して17人を死傷させた惨劇――。

 そこでは、あのオウムのサリン事件のような、世界の救済のために人殺しをしでかす集団倒錯はなく、孤独な一人の青年による、まるでマニュアル通り仕事をこなすような「自己=他者の破壊」の作業が、異様な集中力でもって黙々と演じられた。

 犯人の青年に、いったい何があったのか?

 動機の核にあるのは、すでにハッキリしている。「派遣労働」に伴う絶望が、青年の怒りを掻き立てた……これはもう、すでにわかっている。

 分からないのは、そうした絶望と怒りが、なぜ「AKIBA」に向かったのか、という問題である。
 なぜ、青年は「AKIBA」を目指したか?……

 わたしになりに到達した結論は、青年は「市場の原理」を、そのフラットな断面、平面の一次元において内面化させ、その限りにおいて、純粋な「自己=世界の破壊」へと突き進んだという、至極、当たり前なことである。

 別な言葉で言えば、加藤智大という若者は、労働力が「市場化」され、若者が「使い捨て」されている、日本経済(ECO)の、取り付く島も奥行きもないフラットな「現実」の中で、折り目正しく、対称的な補償行動に走っただけのことだ。

 その恐るべき「素直さ」「正直さ」に、わたしは慄然たる思いを禁じ得ない。

 自動車工場で塗装の仕事を命じられていた彼は、「解雇通知」を機に、怒りを募らせる。が、その怒りの矛先は、工場あるいは派遣会社に、ではなく、「AKIBA」に向かった。

 青年はおそらく、「生産」の現場における絶望的な自らの「生」の「対称点」を、「AKIBA」に見出したのである。「生産」から遠く離れ、しかも、その「生産」から逃れられない、「消費」の聖地でもある「AKIBA」に。

 自動車工場における「派遣労働」は、青年にとって「負の労働」でしかなく、永続する自己否定=死ぬまで続く「生の死」を意味した。対する「AKIBA」は、刹那の歓喜の連続する自己肯定=死ぬまで続く「死の生」。
 そのことを、青年は無意識にせよ、感じ取っていたのではないか。

 青年はたぶん「AKIBA」に、「自動車工場」の日常から連続する、反転してポジ化した「死」の臭いを嗅ぎ取り、その「偽装された生の謳歌」に我慢ならなかったのだ。だから静岡から高名高速で直行し、「AKIBA」の「生」の抹殺を演じた。

 「不特定」多数を狙った「無差別」殺人ではない。自動車工場における自分から見て「対称点」に群れる「特定」多数を狙った、ある意味で徹底して「平等」な殺人だった。

 「派遣労働」の地獄を許したのは、「小泉構造改革」という「政治」だったが、「AKIBA」の惨劇には、「政治的な怒り」のカケラもなかった。「労働の市場」(工場派遣)において「敗者」を自認し、絶望の人生を送ることを拒否した青年による、「消費の市場」(AKIBA)における、瞬間的な「リベンジ」、一瞬の「勝者幻想」……。

 あの殺戮はまさに、「AKIBA」という祝祭の場における、花火のような血祭り。「政治」として制度化される「他者」の存在に一切、目を向けることのない「市場原理主義」的な、生と死の秘儀だった。

 フラットで、酷薄なほど公平な、「AKIBA」というマーケット。青年はたぶん、その「市場」の評価を期待して犯行に及んだのだ。「惨劇」を「惨劇」として、エンタメとして評価の秤にかけてくれる「AKIBA」――(青年は犯行の前日、秋葉原でゲームソフトを売り、定価より高く売れたと、携帯の掲示板に書き残していた……)

 それにしてもやりきれないのは、「自己破壊」に向かって、一路、「AKIBA」に突き進む、青年の「律儀さ」である。

 まるであの「カンバン方式」のように、効率的な「工程表」の指図するまま犯行に及んだ、青年の「段取り」の確かさは異様だ。それはまるで、自動車工場での作業を、そのまま再現したようでもある。

 恐らく、それは、たとえ無意識であったにせよ、「真面目」だったというこの青年にとって、曲げてはならない、人生態度であったろう。変身すらできず……いや、変身することを拒否し、「等身大」の、いつもの自分の姿をあくまでも晒し、値踏みをしてくれといわんばかりの懸命の作業ぶりで、車に塗装でもするかのように、ナイフを突き立て、突き立て、次々に新たな血潮を噴き出させた加藤智大容疑者。

 彼にとって、「AKIBA」とは、「対極」ではなく、あくまで「対称点」でしかなかった。彼は逆方向の福井に向かい、そこでナイフを買って静岡に引き返してしまうのだが、そのままどうして、たとえば日本海沿いを列車で北上し、ふるさとの青森に戻れなかったか、残念でならない。

 (彼は福井でナイフを買った店の店員を、「いい人だった」と掲示板に書き残している。この時点ではまだ彼に、引き返すチャンスはあっただろう……。せっかく福井まで「脱走」し、「AKIBA]を「工場」の向うにある、幻想の対極=対称点としてとらえられるポイントに立てたのに、そこに踏みとどまることができず――あるいは再出発すること叶わず――つまりは「福井」を「対極」ととらえられず――、弓を振り絞るように、己という矢を放ってしまった……)

 「対極」は、ラウンドな、まるい大地を前提とし、地平の向うには何かがある。が、「対称点」は一次元の、フラットな平面における、一見、正反対の価値を持った「一点」でしかなく、そこには逃げ場も、隠れ家もない。あるのは任意の必然性だけだ。

 ナビに導きかれるまま、トラックのハンドルを握り、アクセルを踏んで、一路、東名をひた走った、解雇された派遣労働者、加藤智大容疑者。

 「AKIBA」は彼の、自らの「自己破壊者」としての「価値」を最大化する、「工場」からの線分の延長にある平面幾何学の「対称点」、フラット化した市場社会の、「消点(バニッシング・ポイント)だった。

 「対極」として用意された「ウラ=もうひとつの日本」、生を養える逃げ場、再出発の場の制度的再保証(たとえば、派遣労働者への雇用保険の適用……)――「労働」を再建する「政治」が動き出さなければ、この国は滅んでしまうだろう。

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Posted by 大沼安史 at 10:23 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (1)

2008-06-09

〔アフガンから〕 アフガンでカミカゼ自爆テロ 戦死の英兵 遂に「100人」

 英紙インディペンデントが6月9日、報じたところによると、アフガニスタンのヘルマンド州サンギン渓谷で8日、パトロール中の英軍部隊に対して男が近づき、ベストの爆薬を爆発させた。

 このカミカゼ自爆攻撃で、英兵3人が死亡、4人が負傷した。

 これにより、アフガンでの英兵の戦死者は「100人」に達した。

 サンギン渓谷は「殺戮地帯」と呼ばれる危険地帯だ。

〔大沼・注〕こんなアフガンに対して、日本政府は自衛隊派遣へ向けて現地に調査団を送るという。
 
 そんなにアフガンで戦いたいなら、旗振りしている政府高官こそ、真っ先に、現地で活動すべきである。

 石破大臣よ、自衛隊をアフガンに派遣するなら、トップに立つ君が、先頭に立つべきである。

 われらが自衛隊員の命を粗末に扱ってはならない。
 

⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/asia/suicide-bomb-takes-british-death-toll-in-afghanistan-to-100-842839.html

Posted by 大沼安史 at 02:46 午後 | | トラックバック (1)

2008-06-07

〔いんさいど世界〕 「オバマ」を育てた「黒毛のアン」

 写真を見たら、髪の毛が黒かった。黒褐色かも知れないと思っていたら、「raven-haired(黒髪)」と出ていた。「赤毛のアン」ならぬ「黒毛のアン」……アメリカの次期大統領(候補)、バラク・オバマのお母さんは、われわれ日本人と同じ、みどりの黒髪の持ち主だった。

 アン・ダンハムさん。
 1942年の生まれ。1995年、52歳で亡くなった。生きていれば今、65歳。
 自分より5つ年下のヒラリーを破り、民主党の大統領候補になったわが子の姿を、天国からどんな思いで見守っていることだろう。

 まさに、「この母にしてこの子あり」……。白人の母親の勇気は、自らを「黒人」という長男の挑戦心となって受け継がれている。

 アンお母さんは、カンサスからハワイへ移住した白人家具セールスマンの家に生まれた。
 ハワイ大学でケニア人留学生と出会い、18歳で結婚。その年、オバマをもうけたあと、こんどはインドネシアからの留学生と再婚。ジャカルタに渡り、一子をもうけ、ハワイに帰郷、ハワイ大学に入り直し、文化人類学のフィールドワークで、再びインドネシアへ。「村の鍛冶屋」という800頁もの大論文を書き上げて博士号を取得、ジャカルタで貧しい人びとのための「マイクロ・クジレット」事業に取り組む……

 彼女がケニア人留学生と結婚したのは、1961年のこと。当時、白人女性が黒人男性と結婚することは、(ニューヨークタイムズは「稀」なこと、と書いているが)実際はタブーに近いことだったろう。
 そんな母親を、オバマは「リベラルな1960年代の申し子」と書いている。

 再婚した母に連れられてオバマは幼少の頃の5年間をインドネシアで過ごした。現地の学校に通うオバマを、母親は毎朝4時にたたき起こし、通信教育の教材で一緒に英語を勉強したという。

 そのころ、母親は共働きで、ジャカルタのアメリカ大使館に勤務していた。「働きながら教える」教育ママ。

 そんな早朝レッスンをサボったオバマを、母親はこう言って叱りつけたそうだ。「ピクニック、やってるんじゃないんだ。このバカたれが」と。

 教育ママのお母さんは「働きながら学ぶ」人でもあった。再婚した夫との間に生まれた娘とオバマを連れてハワイに帰郷、ハワイ大学に入り直して、働きながら、子育てしながら、勉強を始めた。

 フィールドワークの場をインドネシアに定め、農村をオートバイの荷台に乗って駆け巡った。「農民の鍛冶屋」がテーマだった。

 彼女の最後の活躍の場は、ジャカルタを拠点とした、マイクロ・クレジット事業。貧しい人びとを対象にした民衆金融の普及に取り組んだ。

 ジャカルタの彼女の家は、人権活動家やコミュニティー活動家のたまり場だったという。
 コロンビア大学を出て、シカゴのスラム(サウスサイド)に入り、コミュニティー活動を始めたオバマのカラダには、そんな母親の血が流れているのだ。

 これはオバマの回想でもあり、異父妹のヌグ(9歳年下)の証言でもあるが、母親は、「正直、率直な物言い、自立した判断」を尊ぶ人だった。偉ぶった人間も大嫌い。動物が不当な扱いを見ただけで涙を流す、同情心にあふれた女性だった。
 
 ニューヨークタイムズは彼女のことを「オバマの道筋をつけた、自由な心の放浪者」と呼んだが、まさにその通り。異国の草の根に飛び込んでゆく彼女の自由闊達な行動力と、「Yes,We Can!」と叫んでホワイトハウスを目指すオバマのチャレンジ精神は、同じDNAに刻み込まれたものだろう。

 そんなアンお母さんがハワイの病院で亡くなったとき、オバマはイリノイ州の上院議員選挙戦で、彼女のそばにいることができなかった。そのことがオバマの人生最大の悔いだという。

 オバマにとって「一番大事な品」は、オアフのサウスビーチの崖で撮った写真だ。その崖の上から、インドネシアの方角目指し、太平洋に母親の遺灰を散らしたのだ。

 『Audacity of Hope』という本の中でオバマは、少年の頃の母親との思い出をいくつか綴っている。

 夕暮れ時、散歩の途中、母親に「目をつぶって」と言われて聞いた、葉ずれの音のことを。
 
 真夜中、母親に起こされ、並んで一緒に見上げた、素晴らしい月のことを。
   
 オバマは「命短し、だからこそ生きるのだ」と、どこかに書いていた。

 それは正しく「母の教え」であり、たぶん、アメリカ大統領への道をひたすら歩む、一個の異色の政治家、オバマを導くものである。

 
⇒ http://www.nytimes.com/2008/03/14/us/politics/14obama.html?_r=2&oref=slogin&oref=slogin

  http://www.time.com/time/nation/article/0,8599,1729524,00.html

Posted by 大沼安史 at 02:35 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (2)

2008-06-06

〔観る、このビデオ この映像〕 オバマ、セントポールで勝利演説

 オバマが6月4日、ミネソタ州セントポールで「勝利演説」を行った。

 聴衆のこの喜びよう。

 ヒラリーの集会では見られない「歓喜」が爆発した。

 ⇒ https://donate.barackobama.com/page/contribute/nomination?source=20080604_NOM1_NDR_X_L1

Posted by 大沼安史 at 03:37 午後 | | トラックバック (1)

2008-06-01

〔いんさいど世界〕 サルがマインドコントロールでロボットアームを操作 食べ物を口に BMI(脳・マシーン・インターフェース)、実用化へ一歩

 「マインドコントロール」というと、誰かに自分の心が操られてしまう感じがして、嫌な気がしてしまいますが、自分が気合を入れるだけで、たとえば機械を動かすことができる、そんな「マインドコントロール」なら、どうでしょう?

 これなら、嫌じゃありませんよね。頭の中で考えただけで、その通り、機械が動いてくれるんですから……。

 頭が考えただけで機械が動く――これって「BMI」というんだそうです。BはBrain(脳)のB、MはMachineのM、IはInterface のI。つまり、「脳・マシーン・インターフェース」。

 インターフェースって界面、二つの別々の顔(もの)をつなぐ(接続する)ことですよね。
  BMIってつまり、脳とマシーン(機械)を接続することなんです。脳が考えたことを、カラダではなく人体の外の機械に伝え、脳の指示通り、機械を動かす。

 そんなSFまがいの、夢のような実験に、アメリカの脳科学者たちが成功して、世界中の評判になっています。米紙ニューヨーク・タイムズや英紙インディペンデントなどが報道して、いっぺんに知れ渡りました。

 お猿さん2匹を使ってBMIに成功したのは、ピッツバーグ大学のアンドリュー・シュワルツ博士らのチーム。

 で、どんなBMIだったかというと、ロボットアームを使った事件だったそうです。

 お猿さんの脳の運動中枢にある、100個のニューロン(神経単位)に電極を取り付け、お猿さんの脳が出す「指示(考え)」をコンピューターが解析、その信号を、マシュマロとかフルーツといったお猿さんの好物を運ぶロボットアームに伝える仕組み。

 お猿さんの脳がちゃんと指示を出せば、ロボットアームはちゃんと口の前まで食べ物を運んでくれる仕組みです。

 お猿さんとしは、食べ物が口の前まで来たところで、(これはロボットアームではなく)自分の手で握っていたグリップを緩めると、食べ物がポーンと口の中に飛んで入る――そんなBMI実験の成功し、食事風景を撮影したビデオを公開しました。
(下記の英紙インディペンデントの記事にアクセスすると、ビデオを見ることができます)

 念力というか、マインドコントロールでロボットアームを操作し、好物をゲットする……これはもう、ものすごいことですが、このお猿さんたち、けっこう簡単に「マスター」してしまったんだそうです。

 どんなふうにして、そこまでたどりついたかというと、よくスポーツ選手(もちろん、人類の……)がする「イメージ・トレーニング」――アレなんだそうです。

 ロボットアームがこう動くと、食べ物が口の前まで来て、そのときグリップを緩めれば、おいしいものにありつけるよ、っていうことを何度もお猿さんに見せる。

 それをお猿さんが頭の中で正しく「再現」したとき出す脳の電気信号が、コンピューターを通じてロボットアームに送られ、ロボットアームが正しく動く……どうも、こういうこと、らしいんです。

 で、この実験成功が、われわれ人間にとって、どれぐらいの意味を持っているかというと、これが計り知れないぐらい大きいんだそうです。

 たとえば脊椎損傷で手足が麻痺した人がいたとします。いまのところ、介助なしにモノを動かすことはできませんが、このBMIが実用化すれば、「考えた」だけでロボットアームが、自分の手(足)になって動いてくれる。

 今回のお猿さんの実験では脳に電極をつないでいますが、脳科学者たちはシリコンのハードウエアを脳の運動中枢に植え込み、炭素のソフトウエアで動く構想を練っているそうです。

 つまり、脳の思考による遠隔操作が可能となる時代が遅かれ早かれやって来る。

 うーん、なんだか、すごいことになって来ましたね。

 で、今回、お猿さんMBIに成功した、ピッツバーグ大学のシュワルツ先生たちですが、次の目標に掲げているのが、お猿さんにロボットアームがモノをつかむ「感触」を(脳で)感じてもらうことなんだそうです。

 脳の「考え」をロボットアームに一方的に伝えるだけでなく、逆方向の信号を脳で受け取ることができるようにする。

 な~るほど、そこで「双方向性」が生まれるわけですか(?????)。

 うーん、やっぱ難しい……知ったかぶりもここまで。アタマがこんがらがって来たところで、この辺でお開きにしたいと思います。

⇒ http://www.independent.co.uk/news/science/a-small-bite-for-a-monkey-a-giant-leap-for-mankind-835851.html

http://www.independent.co.uk/news/science/bmi-the-research-that-holds-the-key-to-hope-for-millions-835850.html

  
 

Posted by 大沼安史 at 03:31 午後 1.いんさいど世界 | | トラックバック (0)