〔コラム 机の上の空〕 戦争と娯楽による子殺し
5月1日、バグダッドの貧民区、サドル・シティーで、米軍が破壊した家の瓦礫の下から、2歳になる男の子が遺体で見つかった。
アリ・フセインちゃん。
そのいたいけな、何枚かの写真は、通信社の手で全世界に流れた。死んでなお、あどけない顔。小さなスニーカーを履いた、歩き出したばかりの細い足。
このイラクの男の子の命を奪ったのは、米軍が放った「200ポンド誘導ロケット弾」だった。
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アリちゃんの父親は、米国ABCテレビの取材に対して、こう言った。
「アリはわたしの足にすがって、父ちゃん、父ちゃんと言って、いつも外に出たがっていた。戦闘が続いていたから、表へ出せなかった」
アリちゃんはこの1ヵ月半、家の玄関で、外に出て遊びたいと言い続けて来た。スニーカーを履いていたのは、すぐにでも外に飛び出したかったからに違いない。
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そんな矢先、こんどはさらに気持ちの悪い「ニュース」が届き、吐き気を催しそうになった。アリちゃんの悲劇とはまた別の意味で、胸に重苦しい衝撃を受けた。
「ディズニーランド」を設計したデザイン会社、「ライド&ショー・エンジニアリング」の手で、米軍、傀儡政府機関の立て篭もる、バグダッドの「グリーンゾーン」隣接地に、アメリカ式の「アミューズメント・パーク」をつくる計画が進んでいるのだそうだ。
英紙「タイムズ」などが報じた。
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事業主体は、ロサンゼルスの「C3」という企業。
「イラク政府」から50年リースで、「バグダッド動物園」(イラク戦争開戦時に壊滅した!)を中心としたアル・ザウア公園の一帯、20ヘクタールを借り受け、そこに「バグダッド動物園とエンターテイメント・エクスピリアンス(娯楽の体験)」というアミューズメント・パークを建設するのだそうだ。
その第一弾として、ことし7月にお目見えするのは、スケボー場。
アメリカから20万台分の部品を輸入、現地で組み立てて、ヘルメット、ヒザあてと一緒に無料で配るという。
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このプロジェクトについて、カナダの「グローバル・リサーチ」研究所代表のマイケル・チョスドフスキーさんが、「戦争のプロパガンダ:ディズニーランドが戦火のイラクへ」という論文で、手厳しく批判している。
イラクの文化を破壊しておいて、何がアミューズメント。
子ども心につけこむ、米軍お得意の「心理戦」、「イメージニアリング(イメージ+エンジニアリング)」のプロパガンダであり、悪質だ……と批判している。
まさに、然り。チョスドフスキー教授(オタワ大学)の言う通り。
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お外で遊ぶことも出来ないイラクにしておいて、何がアミューズメント(娯楽)だと、ぼくもまた声を大にして叫びたい。
「グリーンゾーン」も、その周辺も、武装抵抗勢力の砲撃が続き、とっくに「安全地帯」でなくなっているのに、そこでスケボーをさせる?……
プラスチックのヘルメットで、ロケット弾を防げるとでも?
それとも、スケボーで釣って呼び込んだイラクの子どもたちを、「人間の盾」代わりに使おうとでもいうつもり?……
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東京湾の最深部、浦安に「東京ディズニーランド」が出来たのは、四半世紀前、1983年。アメリカが「帝都」を「東京大空襲」のファイアーストームで焼き払ってから、38年後のことだった。
「5月5日」の「子どもの日」のある日本にも、「死ぬまで遊ばせる(Amused to Death)」(アメリカの教育・メディア学者、ニール・ポストマンの表現)時代が来た!
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が、バグダッドではなお「戦争」が続き、戦闘が、街の破壊と人間の死が日常化している。
バグダッドのみならず、イラクの全土で、日常が破壊され、生活が死んだ!
それはイラクの子どもたちにとって、未来がすでに奪われてしまったことを意味する。
米軍が破壊しきったファルージャを記録したビデオ(「クロスファイア」)に、忘れられないシーンがある。
自転車のわきで呆然とたたずむ、生き残った男の子の虚ろな顔……。
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アメリカよ、ふざけるな、と言いたい。
アミューズメント・パークよりも先に、歩き出した子どもが元気いっぱい、スニーカーをはいて外に飛び出せる「通り」の復興が先決だ。
バグダッドに平和を、イラクに平安な日々を!
「戦死」したわが子の柩に、「ミッキーマウス」を入れる親は、イラクにはいない。
⇒
http://www.abcnews.go.com/International/story?id=4775808&page=1
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/iraq/article3802051.ece
http://www.globalresearch.ca/index.php?context=va&aid=8837
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/iraq/article882037.ece
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Posted by 大沼安史 at 03:45 午後 3.コラム机の上の空 | Permalink

















