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2008-04-23

〔コラム 机の上の空〕 岩国・松陰・河上肇

 東京・世田谷を走る路面電車、世田谷線の「松陰神社前」駅から歩いて数分のところに、幕末の志士、吉田松陰をまつる松陰神社がある。

 小塚原で死罪に処せられた松陰の遺骸を、維新後、世田谷に移し、改葬して建立した神社である。

 平日の午後、お参りに出かけた帰りの境内で、30前後とおぼしき若い男性とすれ違った。思いつめたような表情が、強い印象として残った。まるで村塾門下のような……。松陰の墓前で、しばらく時間を過ごしたせいで、そんな感じがしたのかも知れない。

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 松陰と同じ山口の人、河上肇も東京帝大の学生時代、祭日になると、松陰神社に出かけた。「貧乏物語」のマルクス主義者は、吉田松陰を尊崇したナショナリストでもあった。

 戦前、共産党員として検挙された河上が収監されていたのは、松陰、処刑の地に近い小菅の刑務所。獄窓から夕空を見ながら、西の方、故郷、山口に思いを馳せ、幼少の頃に思い出に耽った。

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 河上肇は山口の岩国の出身。岩国吉川藩、下級武士の子。維新後に生まれた、近代日本の第一世代に属する。
 東京帝大を出て読売新聞の記者になり、京都帝大の講師になって教授に昇格、前後して欧州に留学し、パリの客舎に島崎藤村を訪ねている。

 終戦は京都で迎えた。翌年、京都で死去。
 郷里に戻ることはなかったが、終戦前日の8月14日、岩国に対して米軍が空襲をかけ、500人の市民が死んだことは、その耳にも入っていたはずだ。

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 去年、亡くなった小田実さんが指摘していたが、「8月14日」には大阪も大空襲に遭っている。それは日本政府が「降伏の正式回答をしぶ」ったからだ(「西雷東騒」より、以下の引用も同じ)。その3日前、「8月11日のアメリカ合州国の新聞はこぞって『日本降伏』とともに『大統領が「天皇制存続」を決めた』と報じていた」。
 
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 岩国は昭和20年の5月にも空襲を受けている。瀕死の日本に対し、情け容赦ない無差別爆撃を加えたアメリカもアメリカだが、「国体の護持」にかまけ、天皇の「ご聖断」を遅らせ、ぐずぐずしていた日本政府も酷い。
 終戦の前日、岩国の500人の市民の命は、日米両国の権力者たちの思惑の中で奪われたのである。

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 その岩国で、米海兵隊の基地の拡大強化が進められようとしている。かつての鬼畜、焼夷弾の雨を降らせた米軍の「岩国占領」を進めるのは、われらが日本政府の権力者たちである。

 建設される米軍住宅には、上ものの建築費だけで一戸あたり4500万円もの、日本国民の「血税」が投入されるという。多くの日本国民が「サブプライム」以下に成り下がり、マイホームをあきらめざるを得ないこのご時世に、対米追従政権のこの振る舞い……。
 
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 この世にいま、河上肇が生きていたら……吉田松陰が生きていたら、この岩国のありさまをどう思うことだろう。

 27日は地元山口2区の衆院補選。

 肇、松陰の「日本のナショナリズム」が、日本の「愛国心」が、いま問われている。

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Posted by 大沼安史 at 11:43 午後 3.コラム机の上の空 |

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