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2008-03-17

〔いんさいど世界〕 中国の国威発揚策 「聖火エベレスト登頂」に暗雲 「北京五輪」で勢いづくチベット独立運動

 チベット独立運動が再燃しました。中国政府の支配に抗して立ち上がったのは、ビルマ同様、ここでも仏教の僧侶たち。赤い僧衣の列がチベットの都、ラサの市街を行進し、国際社会に「支援」を訴えました。

 デモの模様は、さっそくビデオ映像で世界に流れました。なかでも市民の「携帯」が威力を発揮したようです。ビルマ(ミャンマー)同様、インターネットが現地の模様を全世界に伝えました。

 チベットでは1989年にも独立運動が盛り上がったのですが、そのときと今とで違うのは、このインターネットの有無。この新しいメディアが、旧来の戒律に生きるチベット仏教僧らの運動を世界に報じた!

 中国政府は国内の民主化運動などの動きを警戒し、インターネット規制を強めていますが、その網の目をかいくぐって、チベット(の民衆)発の映像が一瞬のうちに、国外に出た……
 
 出たら最後、もう止められません。英紙ガーディアンなど欧米の有力メディアはこぞって電子版に「ビデオ・クリップ」を掲載、僧や民衆のプロテストと、それに対する中国官憲の弾圧の模様を報じています。

 チベットの独立運動にとっても、インターネットは「追い風」になっているわけですね。

 今回、チベット及び周辺地区で起きた、チベット族による独立運動は、「ネット」の他にもうひとつ、とんでもなく強力な「キャンペーンの武器」を手にしています。

 そう、言わずと知れた「北京五輪」。北京でオリンピックが開かれる8月までの期間……この先、4ヵ月以上も「五輪」とリンケージ(連関)しながら運動を続けることができる……。

 中国政府が「血の弾圧」を続ければ、「北京五輪ボイコット」の声は強まるので、北京の政権としても、そうそう強硬な姿勢はとれない。その間隙をついてデモを続けていけば、中国政府を「交渉のテーブル」に引き出すことができるかも知れない……これがチベット独立派の戦略でしょう。

 つまり、これから五輪開幕まで、4ヵ月間もの長丁場で勝負ができるわけです。

 そんななかでいま、世界の注目を集めているのが、「エベレスト」です。あのヒマラヤの屋根、世界最高峰のエベレストにいま、視線が集まっているのです。

 なぜ、「エベレスト」か、というと、あの山、南はネパールにありますが、北はチベット(中国)なんですね。
 
 中国からすれば、「エベレスト」は「おれたちの山」なんですね。だから「チョモランマ」という中国名さえある。

 で、その「エベレスト」で中国政府がいま何を計画しているかというと、「聖火の登頂」なんです。世界最高峰の山頂、世界の尾根に、中国人クライマーによって「聖火」が灯る……これってけっこう凄い国威発揚ですよね。

 エベレストの山頂から「聖火」を手に世界を睥睨するわけですから。

 「北京五輪」の聖火の採火式がギリシャのオリンピアで行われるのは今月(3月)25日。月末には、いったん北京へ運ばれ、そのあと世界の五大陸でリレーを行い、中国に戻って8月8日の開会式に臨むというスケジュールですが、中国政府としてはどうも5月初旬の10日間に、聖火の登頂を計画しているらしい。

 なぜ、そんな推測が成り立つかというと、中国政府が登山エージェンシーに対して、この期間の外国人による「エベレスト入山禁止令」を出したからです。南側のネパール政府にも協力を求め、カトマンズもこれに同調することにした。

 北京政府が「エベレスト入山禁止令」を出したのは、もちろん、今回の「反乱」が起きたあとのことですが、狙いはもちろん、チベット独立派による妨害活動の阻止です。チベット独立派に「聖火」を奪われたら、目も当てられませんからね。

 で、この「入山禁止令」、早くも世界のクライマーの間に波紋を広げているそう。というのも、その時期に登頂を計画していたチームがけっこういるからです。

 英紙インディペンデントによると、世界のクライマーの間では、けっこう「チベットびいき」の人たちが多い、といいます。昨年には、アメリカ人登山家4人がチベット側のベースキャンプに「ワン・ワールド、ワン・ドリーム フリー・チベット2008」の幕を、記念に残したりしている。

 ですから、中国政府の「禁止令」、チベット人だけでなく、外人クライマーらの動きを警戒してのことかも知れません。

 いずれにせよ、8月の開会式へ向け、チベット情勢をめぐる緊張は高まってゆくばかりですが、「血塗られた五輪」という最悪の事態を避けるには、中国政府がダライ・ラマとの交渉をテーブルにもう一度、着き、話し合いするなかでお互い、歩み寄るしかありません。

 前回、1989年のチベット「騒乱」の際、現地の責任者をしていたのが、いまの胡錦濤主席だそうです。だから当然、チベット問題について、よく知っているはず。

 中国政府にはこの際、チベットの自治権拡大を認めるなど、懐の大きなところを見せてほしいところですね。
 チベット問題を平和解決することができれば、中国政府は世界の尊敬を集めることができるでしょう。「北京五輪」にダライラマも出席!

 そんなふうに事態が進むとよいのですが……

⇒ http://www.independent.co.uk/news/world/asia/climbers-banned-from-everest-as-china-seeks-to-stop-protests-on-summit-796782.html

Posted by 大沼安史 at 03:11 午後 1.いんさいど世界 |

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