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2008-03-08

〔コラム 机の上の空〕 「大統領を弾劾せよ!」 アメリカの草の根に広がる バーモントの田舎町が「ブッシュ逮捕」を決議 「コード・ピンク」の女性たちは「味噌汁パワー」でハンスト抵抗運動

 オバマ候補との「3・4決戦」を制したヒラリー・クリントンが、首の皮一枚、残った辛勝であったにもかかわらず、こう言い放った。「オハイオがこういう結果だから、全米もこうなるはずだ」と。次の大統領になるのは、この私よ、と強がって見せたのだ。

 これに対して、反戦放送局「デモクラシーNOW」の女性キャスター、エイミー・グッドマンさんが、こんな反論コメントを突きつけた。
 「彼女(ヒラリー)はバーモントで起きていることを考えるべきだ」と。
 ヒラリーよ、驕るなかれ、バーモントこそ、明日のアメリカの風向きを示す天気予報だ、と指摘したのだ。 

                      ◇

 なぜ、アメリカ北東部の、「リンゴとハチミツ」の小さな州が、アメリカの未来を写す出す鏡であるのか?
 
 グッドマンさんは、予備選が行われた3月4日、バーモント州のブラットルボローとマルボローのふたつの町で同時実施された「町民投票」の結果に言及し、それが全米及ぼす、意味の重さを語った。

 町民投票で何が決議されたか?
 
 驚くなかれ、ブッシュとチェイニーがこの町に現れたら、さっそく逮捕・拘留し、弾劾のため送致せよ、という「正副両大統領を捕まえろ」決議が可決されたのだ。
 開票結果は、ブラットルボローでは賛成2012に対して反対が1795、マールボローでは43対25だった。

 逮捕の罪状は、嘘で固めてイラク戦争を始めたあげく、いまなお違法な拷問、盗聴を続けていること。

 こういうことを、このバーモントの田舎町のわれわれは許さないと宣言したわけだ。住民のひとりは言った。

 A little means a lot! (小は大を意味する!)

 グッドマンさんは、こうした町民投票の結果を紹介しながら、大統領選の最大の争点のひとつは、やはり「イラク戦争」であり、このバーモントでオバマが圧勝した事実こそ、アメリカの明日を占うものだ、指摘したのだ。同感である。

                      ◇

 同じ予備選当日この日、ワシントンの連邦議会の議事堂で、下院司法委員会のメンバーの事務所を訪ねて歩く、女性の一団があった。女性平和団体「コード・ピンク」のメンバーたち。

 「コード・ピンク」は、カリフォルニアに女性たちが2002年11月に結成したもので、運動の輪は、米国内ばかりか世界各地に合わせて250の支部を持つまでに広がっている。〔コード・ピンクのコードとは、作戦の暗号名の意味や正義の法典の意味を持つ言葉だ。ピンクが何を指すのかは、言うまでもなかろう。古代ギリシャのあの有名な喜劇を思い出す名前だ……〕

 その「コード・ピンカー」(そのメンバーをこう言う)たちが下院司法委メンバーの事務所に押しかけたのは他でもない。ブッシュとチェイニーの弾劾手続きを始めよ、と迫ったのだ。

                      ◇

 ワシントンの政界紙、「ポリチコ」が、そんな「ピンカー」の一人を紹介している。

 テキサスからやって来たエレン・テイラーさん(54歳)。
 彼女の顔色が青白いのは、すでに15日間、抗議のハンストを続けているからだ。でも、意気は軒高、上着の背中に、こんな「スローガン」を書いて、議員事務所を回ったそうだ。

 Hungry for justice? Impeach him fast!

 パンチの効いたユーモアではある。〔 念のため説明すると、「ハングリー・フォー」には「腹ペコ」のほかに「強く求める」、「ファースト」には「早く」のほかに「絶食」の意味がある。なお、「ジャスティス」は「正義」、「インピーチ」は「弾劾」である〕

 「ポリチコ」紙のコメントも傑作だ。
 「彼女の動機は大きくも小さくもある。彼女の望みは、早くチェイニーを弾劾して、早くランチを食べることだ」

                      ◇

 このテイラーさんのハンスト、実は彼女だけなく、数百人に上る仲間の「コード・ピンカー」も一緒に続けているという。

 ホワイトハウス前で何度もプロテストを行い、二度、逮捕されたツワモノ「ピンカー」のレスリー・アンジェリーヌさん(51歳)などは、10日間、ハンストして司法委のコンヤース委員長との面会を勝ち取り、その後、弾劾が始まらないことに抗議してハンストを再開、25日目でドクターストップがかかるまで、やめなかったというから凄い。

 「ハンスト」と言っても「ピンカー」たちの場合は、完全な「飲まず食わず」ではなく、水やお澄ましのジュース、「味噌汁(ミソ・スープ)」などは摂取する、ヘルシー(?……でも、おなか、減るだろうなぁ~……)絶食だそうだ。美容と健康のため、体内の毒素を摂り、平和と希望のために、政治の浄化も図る、一石二鳥(でも、すぐにはヤキトリを楽しめない??)の狙いが込められている。

 うれしくなってついつい冗談が滑ってしまったが、言いたいことはひとつ、アメリカの草の根から、反戦の動きがさまざまなかたちをとって噴き出していることだ。

 ヒラリーとオバマの「空中戦」にばかり目を奪われてはならない。

                       ◇

 民主党の大統領予備選では、1970年代の初め、ベトナム戦争を支えた徴兵制度延長に抵抗し、連邦議会で、「フィリバスター」というマラソン、いや「トライアスロン演説」を繰り返した、マイク・グラヴェル元下院議員(77歳)も名乗りを上げ、一石を投じている。

 アメリカが戦争を繰り返すのは、軍産複合体があるせい。おかげで、国防予算は今や、世界の軍事費の46%に及んでいる。これを一気に60%カットする――これがグラヴェル氏の公約である。

 このグラヴェル氏に対する「支持」をメーン州の地方紙で表明した、米国の女性コラムニスト、パット・ラマルシェさん(『アメリカに放り出されて―米国におけるホームレスの現実』の著者)は、ベトナムで戦った復員兵のうち実に「9万4千人」もが、「昨日の夜」も真冬のストリートで眠っていたことを忘れてはならない、とコラムの中で書いた。

 アメリカのストリートでは、イラク帰りの復員兵ホームレスだけでなく、これほど多くのベトナム戦経験者が「今日の夜」も、野宿を強いられている……

                       ◇

 もはや、問題は所在は明らかだ。問題はヒラリーのいうように「経験の有無」にあるのではない。争点は、「平和への意志の有り無し」にある。

 「ワシントンの権力(軍産複合体)」VS「平和を求める草の根のアメリカ」……米大統領選の対立軸のひとつは、まさにここにあるのだ。
 
 そう、「戦争」に対し「平和」がいま、戦っている。

 その「平和」への戦いに、「味噌汁」ほどの力もないかも知れないが、この「机の上の空」も加わることにしよう。

 「戦争」か「平和」か……わたしたちは――いや、わたしは、このブログを通じ「戦争」ではなく「平和」を訴え、「平和」を求める。
 
 
⇒ http://www.politico.com/news/stories/0308/8836.html

  http://www.codepink4peace.org/

  http://www.reformer.com/ci_8456857?source=most_viewed

 http://bangornews.com/news/t/viewpoints.aspx?articleid=161139&zoneid=117

Posted by 大沼安史 at 04:49 午後 3.コラム机の上の空 |

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