〔いんさいど世界〕 アジアで米不足 深刻化 日本 「農業安保」強化の必要性
アジアで米不足が深刻化している。タイではこの3ヵ月間に価格が倍近くに高騰、「ドロボー狩り」さえ横行する事態になっている。カンボジアのように米の輸出を禁止する国も出て来た。
「毒ギョーザ」問題で、度を越した「食の海外依存」ぶりがあらわになった、瑞穂の国=日本。「米」をはじめとする「農業安保」の強化が求められている。
英紙ガーディアン、タイムズ紙の報道によると、アジアの米需給がこれまでになく逼迫している。域内における人口増に伴う需要の増大、インド、中国における開発に伴う農地つぶし、異常気象、産油国などによる買い占めなど、さまざまな要因が重なり合い、「米不足」が増幅している。
カンボジアでは先週末、米を輸出を向う2ヵ月間、全面禁輸することを決めた。自国の「食料安保(フード・セキュリティー)」を守るための措置である。米の輸出禁止は、中東のエジプトに始まった動きで、アジアに波及したかたちだ。
サイクロン被害に続く旱魃にあえぐバングラデシュ。国民の4割が貧困線以下の極貧生活にあえぐこの国でも食糧難で価格が高騰し、3月半ば、世界銀行が隣国のインド政府に米を融通するよう働きかけたが、拒絶された。
インド自体、2006年に食料輸入国に転落、輸出どころか関税を下げてでも輸入を拡大しなければならない立場に追い込まれているのだ。
フィリピンのアヨロ大統領はベトナムに対して、ことし、150万トンの輸出枠を守ってくれるよう懇願した。
その頼みのベトナムもついこの間(3月28日)、輸出の2割削減を決定する事態に追い込まれている。
こうした中、世界最大の米の輸出国、タイでは価格が高騰、ことし1月、トンあたり400ドルだたったのが、同760ドルに跳ね上がっている。
こうした中で、他人の稲を勝手に刈り取る「稲ドロボー」が横行、ショットガンで自衛する状況さえ生まれている。
米はいまや、まさに「黄金の稲穂」になっているのだ。
タイの米の輸出先で最も多いのは、アフリカのナイジェリアで、全輸出に占めるシャアは40%。ナイジェリアは産油国だから、お金があるので買い込むことができるわけだ。
同じ、米輸出国、インドネシアでは値上げに抗議する暴動さえ起きている。
米農務省によると、世界的な米の備蓄はことし(2008年)、7000万トンに落ち込むという。8年前、2000年の半分という低い水準だ。
米の世界価格も今後、さらなる高騰が見込まれ、トンあたり1000ドルの大台に乗ることも時間の問題になって来たようだ。
田植えへと続く、われらが宮城のオラが春……。異常気象で外米を緊急輸入する、20年ほど前にあった悪夢の再来しないことを祈りつつ、わが国の「農業安保」の強化を願わないわけにはいかない。
「道路(ロード)」より「米(ライス)」、「イージス艦」より「稲狩り」の方が死活的に重要である。
⇒ http://www.guardian.co.uk/world/2008/mar/31/thailand.food
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/industry_sectors/consumer_goods/article3613071.ece
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Posted by 大沼安史 at 09:50 午後 1.いんさいど世界 | Permalink | トラックバック (0)