〔いんさいど世界〕 「風邪ひきマウス」が「誕生」 霊長類以外で初めて 治療に光
ことしはネズミ年。春節を迎えた中国もネズミ年。
ネズミってなんか、ひたすら邁進する、チョースゴ・パワーを感じますよね。
でも、いまは冬。
風邪ひいてパワーが落ちてる方、多いんじゃないでしょうか?
そこで(?)今日は「ネズミ」プラス「風邪」の話題を。
風邪って英語ではコールド(コモン・コールドとも言うそうです)、フル(インフルエンザ)とは区別されてるんですね。(この違いについては、説明不可。小生にはわかりません)
ところでこの風邪、霊長類以外の動物はひかないんだそうです。
風邪をひくのは、霊長類のチンパンジーと、われわれ人間だけ。「高等」(別にほかの生物をバカにするわけじゃありませんが……)な病気、なんですね。
エヘン、ゴホン(そう、小生、いま風邪ひいてます。どうも茅ヶ崎の親友=真人間=ぼくと同じ旧人類?からうつされたみたい)
霊長類でない動物といえば、たとえば、動物界のことしの年男・年女である「ネズミ」たちがそうです。この「ネズミ」さんたちが風邪をひかない。(だから、パワーがあるんですね。少子化にあえぐ、われわれと違って、ネズミ算で子づくりしている)
で、ここからやや専門的になって、小生の説明能力の限界を超えてしまうのですが、人間の風邪って主に、100種類以上ある「ライノ・ウイルス」(ライノとは鼻腔の意味)の、どれかにやられて、かかるんだそうです。
もちろん、ネズミたちはこのライノウイルスに感染しないのですが、ロンドン・インペリアル・カレッジのセバスチャン・ジョンストン教授ら、英国の研究者たちがライノウイルスにかかる……つまり「風邪をひくマウス」づくりに成功したそうなんです。
鼻水タラタラ、エヘン、ゴホンの「風邪引きネズミさん」たちが、よりによってネズミ年(英国では関係ないんでしょうが)のことし(去年かも知れませんが)、遺伝子操作で誕生した。
やや詳しく言うと、ライノウイルスが体内の細胞に入り込む、いわば「ドアの鍵」である「受容体たんぱく質」(これが人間とチンパンジーにはあるんですね。だから風邪をひく)をネズミに埋め込んでしまった……(???)。
ライノウイルスたちはこの鍵をつかってネズミの細胞に侵入、体内で爆発的に増殖して気管支炎、その他の症状を引き起こすことができるようになったわけです。
遺伝子操作でこんなカラダにさせられたネズミこそいい迷惑ですが、「実験用のマウス」なんですからいたし方ありません(やな言い方ですね……)。
なぜ、英国の研究者たちがこうした「風邪ひきネズミ」をつくったかというと、これで風邪治療の研究がぐんと進むのじゃないか、と期待しているからです。
実は英国では1946年から、常時30人の「風邪ひきさん」(人間)を10日間にわたって診察(観察)、風邪治療法をさぐる研究プロジェクトを続けて来たのですが、結局、成果が上がらず、43年後の1989年に研究を放棄しちゃってるんですね。
それもこれも、風邪をひける実験マウスがいなかったから。
人間だと、風邪ぐらいで会社休むと叱らせますから、とか、もう直りましたとか、いろいろあって、落ち着いて研究できなかったんじゃないでしょうか???
でも、これからは違います。
ネズミたちがわれわれ人間のためにどんどん風邪をひいてくれる……。
うれしくもあり、チョー(いや、チュー)気の毒な、「風邪ひきネズミさん誕生」のお話でした。