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2007-12-30

〔コラム 机の上の空〕 ロバでも分かるパキスタンの真実

 昔、カイロに駐在していた頃、かの国の尊き権力者をホマール(ロバ)と書いて、かの地の役人にとっちめられたことがある。署名入りの記事を東京の大使館員が読んで、国の上司にご注進に及んだのだ。

 日本でロバは「可愛らしい働き者」ってプラス・イメージ、ぼくとしては褒めたつもりなんですけど……と弁解にもならない弁解をして、ようやく勘弁(国外追放??)してもらった。

 ロバってバカのことを言う……。
        
                 ☆

 英紙インディペンデント(電子版)に、ロバート・フィスク記者のコラムが出ていた。題は、「誰もアルカイダを非難していない。ムシャラフ(大統領)を非難している」。ベナジール・ブット女史の暗殺をめぐる解説コラムである。

 そこに、こんなくだりが……。

 「善・悪をハッキリさせるロバが、あのラワルピンディでの惨劇の現場から、真相を告げに現れたとしても驚くべきことではない」……ということは、つまり、「ロバでもわかる暗殺の黒幕」ってわけ。

 すなわち、「アルカイダ」がどうの、といった煙幕が早速、張られているが、「真犯人」はロバでなくとも(いやロバであるなら??)お見通し、とフィスク記者は指摘しているのである。

 ロバが前脚を上げて犯人だと「指?差す」のは、「ムシャラフ」、および、その黒子を務める「ISS」(軍情報部)。

 そして、そのロバ……いや、フィスク記者は、騙されやすいわれわれ読者に対して、「ムシャラフ大統領」と答えれば「正解」になる、「今月、ベナジールの支持者数千人を逮捕するよう命じたのは誰ですか?」など、4つの質問を並べたあと、最後にこう問いかける。「それでは、ベナジール・ブットを殺したのは誰でしょう?」と。

                 ☆

 ブット女史暗殺の後、ブッシュ政権は例によって「テロリスト」の犯行と決めつけ、「非難」の言葉を投げつけているが、それはブッシュが米国民を――、さらにはブッシュ政権に追従するわれわれ日本国民を、ロバにも劣る、判断力のない者と見下しているからだ。

 日本のマスコミに、フィスク記者並みの眼力と筆力を期待することは土台、無理なことかも知れないが、せめてロバ並みの愚直さ、一徹さぐらいは期待したい。

 ロバでさえすでに、前脚の蹄を上げ、こう言い切っているのである。「黒幕はムシャラフだ」と。

 人間(主流ジャーナリスト)である君たちに、書けないわけはないだろう。

⇒  http://news.independent.co.uk/world/asia/article3291600.ece

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Posted by 大沼安史 at 10:27 午後 3.コラム机の上の空 |

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