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2007-12-10

〔コラム 机の上の空〕 バングラデシュ・サイクロン被害 「グラミン銀行」が救援活動

 先日、東海道新幹線の小田原駅のホームで「こだま」を待っていたら、「ひかり」が物凄い勢いで、目の前を通過して行った。

 空気を切り裂く、一本の楔(くさび)となって轟々と走り抜けて行く。

 11月にバングラデシュを襲ったサイクロン(熱帯の台風)「シドル」は、この速度、この風圧で、「ひかり」のような「点」ではなく、空いっぱいの「面」――それも連続する「面」として、つまり「大気の大津波」となって、襲い掛かって来たのだな、と、そのとき思った。

 バングラデシュの「グラミン銀行」のサイトに、「シドル」の風速が時速240キロ(秒速67メートル)に達した、と出ていたのを思い出していた。

                ◇

 11月15日、バングラデシュを直撃した「シドル」は、ベンガル湾に面した南アジアのこの国を、文字通り引き裂いた。

 死者10000人以上。数百万人が飢餓に直面している。

 国際赤十字社や「国境なき医師団」が現地入りしているが、復興は遅々として進んでいない。

                ◇

 「シドル」被災の報を聞いて、「グラミン銀行」のサイトにアクセスしたのには理由がある。

 昨年、ノーベル平和賞を受賞したエコノミスト、ユヌス博士の「グラミン銀行」なら、きっと救援に動き出しているのないか、と思ったからだ。

 貧しい人に、貧しい人から、それも無担保で融資し、社会的な自立を支援する「グラミン銀行」(グラミンとはベンガル語で「村」の意味だそうだ)なら、必ず支援に動き出しているに違いない。そう思ってアイコンをクリックした。

 思った通りだった。

 「グラミン」は――ユヌス博士たちは動いていた。
 「シドル」来襲が分かったときから。そして今も。

 すごい「銀行」だと思った。「銀行」の枠を超えている……いや、本来、「銀行」とはこうあるべきではないか、と思った。

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 「グラミン銀行」は「シドル」上陸に備え、対策本部を設け、被災情報の収集と支援対策づくりに乗り出した。

 被災した「支店」は366ヵ所、「融資センター」は13125ヵ所。

 「グラミン」から融資を受けている人(その家族を含む)で亡くなったのは931人。同じく行方不明者は1071人。

 また、「グラミン」の「メンバー」で家屋を失った人は321510人。家畜をなくした人は46000人。

 「グラミン銀行」は早速、スタッフを被災地に派遣し、救援活動に入った。

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 被災したメンバーの返済をとりあえず来年6月まで停止することにした。被災の状態によっては、返済猶予を、それ以上の期間、認めることにした。被災者からは元本の返済は受けるが、利子は受け取らないことにした。

 無利子の住宅再建ローンを(もちろん無担保で)貸し出すことにした。被災の程度が最もひどい世帯には10000タカを貸し出す。

 「グラミン」のメンバーになっていない被災者に対しても、新規の融資をすることした(もちろん無担保で)。

 学生には奨学金を融資することにした。高卒資格試験の受験料は、「グラミン」が肩代わりすることにした。

 「融資」だけではなく、被災者に対し、食糧や生活必需品を買うための「現金」供与も始めた。

                ◇

 金銭的なバックアップに加え、「グラミン銀行」は医師、看護師らによる医療チームを派遣し、被災地に「医療センター」を開設した。

 井戸を掘り、浄水装置も設置し、被災地の家畜の世話をする係りも配置した。

 毛布を配り、煮炊き用のポットなどを供給した。

 被災者に野菜の種子を配って歩いた。

                ◇

 「グラミン」の救援活動のあれこれを列記したのは他でもない。「銀行」が「地元」のために、「人びと」のために、ここまで、これほどまで支援に動いている……このことに心を動かされたからである。

 「シドル」の残した「死の谷」(グラミン銀行のサイトに、こう書かれていた!)に向かい、「マネー」を手渡し、生きる希望の種まきを続ける「グラミン」の「銀行員」たち。

 その姿を思うと、何か温かな、勇気付けられるものが、千の風、いや万の春風になって、はるかバングラデシュの地から優しく吹いてくるような……そんな錯覚にとらわれ、日本の「銀行」もそうあってほしい、そう変わってくれ、と痛切に願った。 

⇒ http://sidr.grameen.com/index.php?option=com_content&task=view&id=133&Itemid=1

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Posted by 大沼安史 at 12:43 午後 3.コラム机の上の空 |

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