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2007-11-16

〔コラム 机の上の空〕 11月16日夜、町田の盛り場での出来事

 妻の命日(10月26日)を過ぎても、なぜか苦しくてたまらない。

 ことしは雨の中、仙台西郊の丘の上にある墓参を済ませた。線香が濡れて火が回らなかった。

 そのせい、かも知れない。いつもの年なら、命日が過ぎると、気持ちが少し楽になるのだが、ことしは何故か違う。

 今日も朝から苦しくて、夕方、JRで町田に出た。駅のすぐ近くにある馴染みの店に向かった。

 その居酒屋の主人から、なぜか初めて「おにいちゃん」と呼ばれた。「何年の生まれ?」と聞いて来るので、「昭和24年、2月。間もなく59歳」と答えた。

 坊主頭の店の主人は「やっぱり、おにいちゃんだ」と笑って、ツマミの量を増やしてくれた。

 いつものように、したたかに飲んだ。ビール、そして、焼酎のお湯割りを6杯。

 フラフラになって店を出て、駅に向かった。

 東急デパートの裏の角で、杖をついた若い女性が方向を見失い、ガードレールに衝きあたりそうになっていた。

 近くにいた客引きの若い男女が目配せし、女性の方が盲目の彼女に近づいていった。

 心配で見ていると、客引きの若い女性は、盲目の彼女に手を差し伸べ、やさしく誘導するではないか。

 盲目の彼女は、その後も道を見失い、向い側の町田市の施設の入口の前で立ち往生してしまった。

 それを見ていた客引きの男が相棒の彼女となにやら言葉を交わした。

 客引きの彼女は持ち場を離れ、盲目の彼女のところへ駆け寄り、ビルの入口へと一緒に階段を登って、杖をついた彼女が中に入るのを見届けてから帰って来た。

 その客引きの彼女が、駅に戻るわたしを追い越して、狙いをつけた女性をつかまえ、何やら話しかけ出した。説得が失敗に終わったらしく、すぐわたしの方へ引き揚げて来た。

 すれ違う瞬間、わたしは思い切って、彼女に声をかけた。

 「お姉ちゃん、おれは全部、見ていたよ。あんたら、いいやつだな。ガンバレよ、なぁ」と。

 若い彼女の目が、驚いて大きく見開かれた。ぼくの目を覗き込んで、何か言いたそうにしていた。

 大きな、美しい目だった。

 わたしは一礼して、そのまま町田駅へと向かった。

 うれしいな、と思った。

 大丈夫だな、とも思った。

 この国はまだ、大丈夫だ、こういう若い連中がいる限りは……。

 嬉しくなって感動して、酔っ払ったわたしの目から、涙があふれた。

 

Posted by 大沼安史 at 08:47 午後 3.コラム机の上の空 |

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