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2007-11-22

〔コラム 机の上の空〕 「小春日和」のイラク 

 シリアなど国外に脱出したイラク人が帰国し始めているという。
 イラクが「小康」状態になっていることから、帰り出したらしい。
  ⇒ http://www.guardian.co.uk/Iraq/Story/0,,2214918,00.html

 避難先のシリアなどでも生活に窮迫、それが帰国を決断させている。そんな側面もあるかもしれない。
 いずれにせよ、イラクに「平穏」が戻ることはいいことだ。

 ブッシュ政権は「イラク占領」のお手本として「日本占領」を挙げている。

 さしもの「神国・日本」の民主化に成功したのだから、イラクの「民主化」も可能なはず、と軽く考えて侵攻に踏み切った。

 「日本占領」と「イラク占領」の違いの中で大きいのは、日本に対して連合軍は「無条件降伏」を強いる戦いを続け、それに対して日本の指導部も「徹底抗戦」で応えたということだ。

 その中で日本の民衆は徹底的に消耗し、占領軍に対するレジスタンスを展開する余裕を失ったが、イラクの場合は別だった。

 連合軍を「サダム除去」のための道具に使い、サダムとともに徹底抗戦することはなかった。

 その際、温存された「パワー」がその後、「武装抵抗」となって一気に噴出する。

 が、アメリカもさるもの、スンニ、シーア派の「内戦」をエスカレートさせて 「イラク・ナショナリズム」の「団結」を崩壊させながら、「パワー」の放電に努める。

 全開となり、ふたつに割れながら、そのそれぞれがアメリカと戦うことで、遂にここに来て「電池切れ」に至ったイラクの両派……「イラク小康」の背景には、こういう事情があるのかも知れない。

 

  「ブッシュのアメリカ」も疲れ果ている。
 膨大な戦費支出を支えきれないところまで追い込まれている。

 イラク駐留米軍の兵士たちの疲労困憊ぶりは極限に達している。
 制空権を握り続け、地上の拠点を押さえておけばいい。そんな戦略に転換している。

 そんななかで、束の間(?)の「偽の平和(フォニー・ピース)」が続く。

 アメリカを尻目に、サウジも動き出している。
 サウジはもとから、「アメリカのイラク侵略」に反対だったのだ。

 サウジはイラク内の武装抵抗勢力に対する支援の蛇口を閉めている。どうも、そんな感じがする。

 イラクの「小康」はスンニ、シーアの宗派対立を弱める方向に働くかも知れない。もともと同じ「イラク人」。「イラク民族主義」が復興して、「再独立」、すなわち「アメリカ追い出し」の機運が高まるかもしれない。

 「小康」の中でふたたび力を蓄えた「イラクのパワー」は、もしかしたら、11月の米大統領選をにらみながら、来年の春あたりに、もう一度、一気に噴き出す可能性がある。
 全面的な反米武装抵抗! それも宗派対立による「逆噴射」なしの。

 「和平」はそこから動き出すだろう。
 米軍の部分駐留を認める代わりに、イラク側が石油権益の一部を取り戻す……。

 着地点はその辺にあるのかも知れない。

 バグダッドの「小春日和」は、いつまで続くのか?

 わが敬愛する英国人ジャーナリスト、パトリック・コバーン氏なら、これにどう答えるだろう? バグダッドからの、本格的な解説が待ち遠しい。 

Posted by 大沼安史 at 03:25 午後 |

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